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歯内療法日記: 2014年10月アーカイブ
EEデンタルでの大きな虫歯の治療の流れ
- 2014年10月31日 09:13
- 【動画】:治療される方へ | マニアックレジン | 歯内療法日記
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大きな虫歯の神経を残すリスクについて(根管治療+レジン充填)
- 2014年10月28日 20:38
- 歯内療法日記
歯科医師会の夜間緊急当番でヒマヒマでやることがない院長です。
あまりにも平和(暇)で、パソコン内の症例を1つ
神経付近まで虫歯が達すると、神経を残すか?神経を取るか?
大きな選択をせねばなりません。
私は基本的に神経は可能な限り保存した方がいいと思っていますが、
薬剤を使用して行うような無理な神経の保存はしていません。
【歯の神経を残されたい方へ注意事項】
http://eedental.jp/ee_diary/2010/10/post-166.html
また神経が露出しなくても神経付近まで削った歯の1割ぐらいは1年ぐらい経過すると
勝手に神経が死んでしまい、歯茎から膿が出たり、腫れてきたり、痛みが出たりします。
(症状なく神経が死んでしまう歯もあります)
この前駆症状として、多くの場合で持続する違和感、温水痛などが現れます。
現在の私の考えでは、このような症状が出た場合は速やかに神経を取る治療に入ります。
とりあえず、様子をみましょうということもありますが3か月程度で次の処置に移るかどうか判断しています。
私の経験則として、症状の続く歯は健康な状態に戻らず、神経が死んでしまうことが多いからです。
私がすべきことは歯の保存であり、その中の1つの選択肢に神経を残すという選択肢があるのだと思っています。
ですので、歯を残す為に根管治療を行うというのも1つの選択を行います。
今回のケースも治療後半年以上して、多少違和感が出てきたと話され経過観察していた歯でした。
患者さんは遠方の方で、たまたま忙しく定期レントゲン検診に来れずいたのですが、
1年後やはり神経が死んでしまい腫れてきてしまいました。
黄色の部分が私がレジン充填をした所、
赤丸の部分が神経が死んでしまい、骨が無くなっている部分です。
(分かりやすく表現すると膿が貯まっている)
こういう状態になってしまうと、ネクローシスパルプと言って、神経部分に細菌感染が起こってしまい
専門医のデーターでは、最初の抜髄より10%成功率が下がると言われています。
この10%
私からすると非常に大きな成功率の差とも言えます。
どんな最新の機材、薬剤を用いても成功率を10%上げるということは今の医学ではできません。
はっきり言ってしまえば10%成功率が上がる道具、術式が現れればそれは革命的な歯内療法の進歩だとも思えます。(私見)
ですので、『歯を残す為の神経を取るタイミング』と言うのは個人的には非常に重要なことだと思っています。
今回の患者さんの歯は不幸にもネクローシスパルプになってしまいましたが、
可能な限り歯質の保存を行い根管治療を行いました。
術後レントゲン 根充後 レジン充填
3mm程度の穴から2根管の治療
綺麗に洗浄で来た為かたまたま側枝(神経の枝)まで綺麗に充填できました。
今後しばらく経過を見て行きます。
と、ブログを書き始めて1時間、このまま23時まで平和が続けばいいんだが・・・
(患者さんがいなくても夜間当番は23時まで軟禁状態)
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抜髄+レジンビルドアップ治療の動画編集中!
知らない間に進行していた大きな虫歯の動画を編集中
歯と歯の間の虫歯は知らない間に神経に達していることがあります。
治療の流れ
根の治療とレジンが得意な歯科医院にかかれば、こんな流れで治療を行うことで大きく削らず被せ物(クラウン)にせず治療が可能です(>ω・)ノ
忙しいので動画の方は少しずつしか進行していませんが、そのうちYou Tubeに上げますヾ(´・ω・ )
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日本国際歯科大会 (俺ノート エンド編)
- 2014年10月16日 09:06
- 歯内療法日記
エンド編
・リジェネレーション:無麻酔で冠部歯髄より下の部分で断髄(痛みが出る所まで削る)、出血を確認、ビタを詰め仮封
・現在の歯髄再生、1歯5000万のコストがかかる
・ステムセル 歯の周りには5種類ある
・根未完成歯の移植は根管治療なしでいい
・日本口腔顔面痛学会の非定型歯痛のガイドライン
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/NDTA/ndta.pdf
・マルコ先生 レジンとエンドの専門医
(私と同じような抜髄後にレジンでビルドアップ症例を見させてもらいました。)
・マルコ先生もコアにはSDRを使用
・海外から見ると日本は優秀な技工士が多く、技工士に困ることはない
・Ni-Tiの世代分け (←今の所 マルコ先生のスライドが一番分かりやすかった)
1世代 radial lands (ファイルにテーパーを付与)
2世代 active blades (ファイル断面の形状・カッティング面)
3世代 alloy treatment (金属の組成変更・革命 R層 M-ワイヤー)
4世代 unique movement (ファイルを動かすモーターの動き レシプロ運動など)
5世代 senterd section (ファイルに特殊な湾曲が与えられており、根管内で蛇のように動く Pro Taper NEXTなど)
*ファイルの分類は講演を色々聞いていても、先生毎に4世代目以降バラバラでしたが、この分類は非常に理解しやすいです。
・レッジの形成してしまう頻度 33%(専門医のデーター)
・レッジの存在は治療の成功率を下げてしまう
・根管の湾曲が20度以上でレッジができやすい
・Pass Filesの先端をベンディングしてレッジを取る方法もある(100回転ぐらい)
・根管治療後の再発は2年以内に出ることが多い
・ファイル破折除去は根管の内湾側を削ること
・破折ファイルの上1/3を削ることにより、ファイルは揺れ始める
・下顎大臼歯の83~93%はイスムスの感染による失敗
・下顎大臼歯の近心根が2根管性のものは18%程度
後は、3根管、2根管+イスムス、2根管+側歯
(つまり抜髄に失敗すると成功率が極端に悪くなる歯とも解釈できますね)
・根管治療においてマイクロスコープを使わないという理由がない
・太いテーパーのファイルの使用は歯根破折に繋がるので気を付ける
・根管形成、特に根管上部は徐々に太く削らないトレンドになりつつある
・X-Pendo Finisher (Ni-Tiファイル) 先端10mmが湾曲した形状 (第5世代)
(動画を見る限り内部吸収などには理想のファイルですね)
・根尖を大きく削り解剖学的な根尖を破壊した歯の再治療は予後が悪い
・水酸化Caを過剰に押し出し歯肉が壊死した報告がある
など色々勉強になりました。
エンドはどちらかと言うとテクニックよりいかに自己解釈で間違った治療をしないことが重要なポイントになりますね。
一番大きなホールでセッションがありましたが、昨今エンドブームが来ているので、
是非是非エンドに興味を持ち、原理原則であるラバーダム治療が普及してくれればとも思いました。
(一応「ラバーダムしてね」、と言わなければいけない立場のようなので^^;)
エンドに興味を持つ先生が同級生、知り合いの先生、先輩の先生とおられ、
「歯内療法学会入ったでぇ~」と報告を貰っています。
若い先生方も来年は横浜で歯内療法学会が7月11日12日にありますので是非是非!ヾ( ̄∇ ̄)
おっさんとおじいちゃん先生ばかりの学会に若い風を!(怒られるか!?(笑))
以上、国際歯科大会 俺ノートでした。
(ブログを見ている歯科医師の先生へ、聞いた話の羅列なので文献は個々で調べてくださいね)
1年のセミナー、学会、講演の内容を踏まえ、勉強し直して
12月14日のペントロンエンドセミナーのスライドを作ります!
セミナー参加の8名(+聴講4名)の先生方よろしくお願いします。
そのうちペントロンの藤崎さんからメールがあると思います。
抜去歯集めておいてくださいね(((( ・ω・)
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お金のかかる日本の医療現場
- 2014年10月 4日 09:24
- 歯内療法日記
昔、AAEで買ってきた「ei Down Pak」
コードレスヒートプラガーの先駆け的な商品で、師匠と一緒に購入したのですが、
買ってきたものは、前に壊れてしまい。
現在はペントロンのアルファーを使用していたのですが、
弟から、使わなくなったのでいるか?聞かれ
貰ってきました。
何が良いって、今のヒートプラガーに比べ「デザイン」が良い!
個人的にはバイブレーション機能もあり、好きな道具の1つですね。
因みに弟は、アメリカのオークションで購入したらしいのですが、
教えてもらったアメリカのオークション
プロテーパー1セットが12ドルだったり、怪しい商品まで売っています。
(弟曰く、中国製のバッタ物かもよ?と)
日本でプロテーパー1セット買うと7000円ぐらいするので、ものが良ければ1300円で使い捨てもありかな(笑)
日本で買うと10万オーバーのダイヤグノデントが340ドル(中古)とか・・・
ヤフオクとは比べ物にならないぐらい商品が充実していて、安い!
ただ、海外オークションで購入しても、薬事の関係でメンドクサイ書類を書かなくてはいけませんが(´-ω-`;)ゞ
日本の歯科治療費は先進国のなかでも世界一安いのに、
使用する材料は世界一吹っ掛けられた値段で、かなり高価な材料を使用しています。
日本で買うと700万オーバーの顕微鏡が、アメリカでは400万代で買えるって知っていますか?
AAE(アメリカ歯内療法学会)の会場でアホらしくなりましたよ(笑)
ハンドファイルも日本では1500円のものがアメリカでは5ドルとか。。。
アメリカの通販会社のカタログ色々ありますが、根管治療関係の商品は日本の半額がアメリカでの価格帯のようです。
ホント、高い商品使っているよなぁ・・・
かと言って中国製の安すぎる商品も怖いですけど(p・Д・;)
今週から弟にもらった「ヒートプラガー」使用していきます。
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根管治療に付きもののフレアーアップ(根管治療後の大きな腫れと痛み)
- 2014年10月 2日 19:36
- 歯内療法日記
根管治療を行っていると、
治療後に鎮痛剤が効かないような「大きな痛み」や「腫れ」が出ることがあります。
これはロシアンルーレットのようなもので、どの歯に出るか分からないもので、
どれだけ優れた先生でも、術前にこの歯は大きな痛み・腫れが出るなどとは判断できません ガ━━Σ(゚Д゚|||)━━ン!!
この術後起きる『大きな痛み・腫れ』 のことを【フレアーアップ】と言いますが、専門医のデーターでは
フレアーアップ(定義:術直後に救急処置が必要なケース)
・6つの論文のメタ解析を行ったIgorらは982例中82例(8.4%)
・Tropeは474例中12例 (2.53%)
・Waltonらは、フレアアップの発現率を(3.17%)
・Morseらは168例中33例(19.6%)
と報告があります、
中でも信頼性が置けるのが最初のメタ解析によるデーターの8.4%ではないでしょうか。
フレアーアップの定義の問題ですが、19.6%は多過ぎですね^^;
ただし、この数字は歯内療法専門医のデーターで、
細菌感染をあまり考えない日本の根管治療ではもう少し起こる割合は多いかもしれません。
フレアーアップが起こりやすいケースは分かってきています。
・根尖病変を有する歯に多く見られる (抜髄の4倍) (Trope)
・術前に疼痛のあるものは術後にも見られやすい (Torabinejad 1994)
・オーバーインスツルメーション ・オーバー根管充填は見られやすい (Georgopoulou,M et al IEJ1086)
EEデンタルでも極たまにフレアーアップのような症状が起こってしまうことがあります。。。( ´Д`;)
だいたい年に2~3ケースで、パーセントで言えば2%ぐらいです。
歯内療法の参考書にも書いてありますが、
適切な根管治療が出来ている歯科医院ほどフレアーアップの割合は少なくなるとのことなので、
今の所EEデンタルでの術式は大きくは間違っていない!━━v(´・ω・)v━━
ただ、ゼロにはできないのも事実。。。(TДT|||)
恐るべし2%のロシアンルーレット
・術前時に治療後のフレアーアップの説明を行いますが、(特に感染根管)
もし、起こってしまったらどう対処するか!?
1、痛みが出てしまったら、原因を考える!
抜髄ケースの多くは「根管形成不足による残髄」かオーバーインストゥルション
2、大きく腫れてきたら、原因を考える!(+抗生剤の投与5~6日)
a、根管から排膿があるか?ないか?
b、歯茎が腫れた、切る・切らない?
極たまに排膿が出来ないことによる内圧上昇 ⇒ 穿通・#30~#35程度まで根管拡大を行う( 太く削っても排膿するわけではないので注意)
20~30分しても排膿が止まらない時はその日のオープンを考える。
3、オーバートリートメントによるもの ⇒ 抗生剤投薬(3~6日)+咬合調整
4、オーバー根管充填 ⇒ 抗生剤投薬(3~6日)+咬合調整 ⇒ だいたい待てば治る
その他にフレアーアップが起こりやすいケース
*不適切な手技によるもの
・時間に焦るあまり中途半端に根管を触る
・根管洗浄の不備
・根尖部の過剰拡大
*細菌感染によるもの
・ラバーダムなしの治療
・隔壁がないような状態での治療
・カリエスの取り残し
・根管内容物、細菌の根尖孔外への押し出し
・器具の滅菌不足
*その他
・不適当な根管貼薬(根尖孔外への押し出し)
・咬合性外傷
私が思っているのは医療とはできるだけ無痛下で行うのが原則ですから、
根管治療中は必ず麻酔をした方がいいと思っています。
私は根管治療の際には100%麻酔を使わせてもらい、無痛下での治療を行っていますが
その方が術後疼痛の頻度は少なくなる気がしています。
*麻酔に関しては保険治療だと2回目から歯科医院が赤字で行わないといけない処置なので、ここにもコストの問題が。。。
(麻酔って、麻酔液、浸麻針、結構な費用がかかり気を使う治療なんです)
また痛みの中治療を続けることにより『感作』が起こってしまい、
痛みが定着すると患者さんは地獄を味わい、転院を繰り返しノイローゼに・・・
追記:「エンド専門医に治せない歯痛」 セミナー 【非歯原性歯痛】
http://eedental.jp/ee_diary/2015/09/post-1241.html
不適切な根管治療を続けることで痛みに悩まされることもあります。
本来根管治療は小外科手術で痛みは付きものですから、、
その痛みへの配慮というものは私は必要だと考えています。
ここまで書くと患者さんは怖がってしまいますが。。。( ̄ロ ̄;)
フレアーアップが起こっても適切な処置をすることで歯は残せます。
またフレアーアップが起こっても歯が残る成功率には大きな影響はありません。
では、今年起こってしまった1ケースを
術前(銀歯の歯)
実はこの銀歯神経が死んでしまい根管治療が必要でした。
患者さんに説明をして、感染根管治療をスタート!
1回目の治療を終え、フレアーアップの説明をして終わると、2日後
「先生、おもいっきり腫れてきました。。。」
レントゲンを撮ってみると
赤丸の黒い部分が骨の無くなった所
黄色の黒い部分が大きくなっている(骨が更に無くなった)
個人的には「まさか、このケースが腫れるの!?」とかなり意外でした(p・Д・;)
ということで、腫れてきてしまった患者さんには抗生剤を6日ほど飲んでもらいました。
(その間2~3日に一度来院してもらい腫れ、痛みの状況を診ました)
その後、腫れの引いた所で通常通りの根管治療を行い、
術前 ⇒ 9か月後
フレアーアップが出た=治療の失敗ではなく
慢性炎症を治療で急性転化させてしまっただけで、適切な処置を行なえばその後は普通の歯と同じ経過をたどります。
9カ月問題が無かったということで、ようやくオールセラミックを入れれました。
綺麗なオールセラミックが入りました。
一応、感染根管治療においては、極たまに腫れることがあると説明はさせてもらっていますが、
やはり腫れると「2%って、まさか私が!?。。。」と思われてしまうそうです(´ヘ`;)
個人的には開業以来、『抜髄治療』でトラぶったことはありませんが、
感染根管(やり直しの治療)では今回のようなことが稀にありますので患者さんも知っておかれてください( ̄ω ̄;)
個人的には2%(年に2~3人)の為に、治療後全ての患者さんに術後抗生剤を飲んでもらうような治療はしていません。
(これは先生のスタイルの違いであり、患者さんの為に抗生剤を毎回出される先生もおられます。 ただ、耐性菌の問題などのことを考えると不必要にも思えます)
以上、根管治療後どうしても起こってしまう『フレアーアップ』でした。
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