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大きな虫歯の神経を残すリスクについて(根管治療+レジン充填)
- 2014年10月28日 20:38
- 歯内療法日記
歯科医師会の夜間緊急当番でヒマヒマでやることがない院長です。
あまりにも平和(暇)で、パソコン内の症例を1つ
神経付近まで虫歯が達すると、神経を残すか?神経を取るか?
大きな選択をせねばなりません。
私は基本的に神経は可能な限り保存した方がいいと思っていますが、
薬剤を使用して行うような無理な神経の保存はしていません。
【歯の神経を残されたい方へ注意事項】
http://eedental.jp/ee_diary/2010/10/post-166.html
また神経が露出しなくても神経付近まで削った歯の1割ぐらいは1年ぐらい経過すると
勝手に神経が死んでしまい、歯茎から膿が出たり、腫れてきたり、痛みが出たりします。
(症状なく神経が死んでしまう歯もあります)
この前駆症状として、多くの場合で持続する違和感、温水痛などが現れます。
現在の私の考えでは、このような症状が出た場合は速やかに神経を取る治療に入ります。
とりあえず、様子をみましょうということもありますが3か月程度で次の処置に移るかどうか判断しています。
私の経験則として、症状の続く歯は健康な状態に戻らず、神経が死んでしまうことが多いからです。
私がすべきことは歯の保存であり、その中の1つの選択肢に神経を残すという選択肢があるのだと思っています。
ですので、歯を残す為に根管治療を行うというのも1つの選択を行います。
今回のケースも治療後半年以上して、多少違和感が出てきたと話され経過観察していた歯でした。
患者さんは遠方の方で、たまたま忙しく定期レントゲン検診に来れずいたのですが、
1年後やはり神経が死んでしまい腫れてきてしまいました。
黄色の部分が私がレジン充填をした所、
赤丸の部分が神経が死んでしまい、骨が無くなっている部分です。
(分かりやすく表現すると膿が貯まっている)
こういう状態になってしまうと、ネクローシスパルプと言って、神経部分に細菌感染が起こってしまい
専門医のデーターでは、最初の抜髄より10%成功率が下がると言われています。
この10%
私からすると非常に大きな成功率の差とも言えます。
どんな最新の機材、薬剤を用いても成功率を10%上げるということは今の医学ではできません。
はっきり言ってしまえば10%成功率が上がる道具、術式が現れればそれは革命的な歯内療法の進歩だとも思えます。(私見)
ですので、『歯を残す為の神経を取るタイミング』と言うのは個人的には非常に重要なことだと思っています。
今回の患者さんの歯は不幸にもネクローシスパルプになってしまいましたが、
可能な限り歯質の保存を行い根管治療を行いました。
術後レントゲン 根充後 レジン充填
3mm程度の穴から2根管の治療
綺麗に洗浄で来た為かたまたま側枝(神経の枝)まで綺麗に充填できました。
今後しばらく経過を見て行きます。
と、ブログを書き始めて1時間、このまま23時まで平和が続けばいいんだが・・・
(患者さんがいなくても夜間当番は23時まで軟禁状態)
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