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歯内療法日記: 2017年5月アーカイブ

何か違和感のあるレントゲン像の感染根管治療

根管治療の際撮影させてもらうレントゲン

 
専門で行っていると、そのレントゲンから病態を推測します(・∀・)ノ

 

多くの場合はパターン化しており、これは根尖病変で治療の対象になるな、折れている可能性があるな、パーフォレーション(歯に人為的な穴)からの感染だな、側枝に感染がありそうなど推測をして治療の組み立てをします。

 

ただ中には術前時に病態をイメージできないケースもあります。

そういった場合CTを合わせて撮影するとよりイメージしやすくなることもあります(・ω・)ノ

 

デンタルレントゲン=2D

CT=3D

なので情報量が変わってきます。

 

今回のケースは術前にデンタルレントゲン、CTで病態が具体化できず、

治療に入ったケース

2017 EEdental ST1 (1).jpg

根の先に影がぼんやりあるのですが、歯茎からは膿みが出ていますヽ(゚Д゚)

過去に根管治療を2回行い治らないので外科までしたとのこと 

 

前の先生は長い金属の土台が入っているので外すのにリスクが高いと判断して外科をしたのでしょう。

ただ、専門でしていると長い金属の芯でもこんな外し方で歯にダメージを大きく与えず除去することもあります。

「リトルジャイアント+セメントスパチュラ」

 

因みに、動画を上げたあとある先生からリトルジャイアントを販売終了になっていますと連絡を頂きました。

日本には良い道具があっても治療費が安過ぎるのでペイ出来ない為、購入を控え結果道具が売れず廃止になってしまう悪循環。。。 

  

治療費が安いことは素晴らしいですが、医療の発展のブレーキになっているのは事実です。。。(-ω-;)ゞ

 

 

さて、患者さんに話を戻して、

コア除去後

2017 EEdental ST1 (2).jpg 

徹底的に中を洗い、水酸化Ca貼薬で置くこと9カ月

*この間矯正前の他の歯の虫歯治療を優先していました。

 

膿みもなく症状もないことを確認してMTA根管充填

2017 EEdental ST1 (3).jpg

根尖辺りの側枝にも綺麗に入り、ここからあらき先生の矯正スタート 

  

 

治療着手から1年半近く問題なく矯正が続いていたある日

「先生腫れてきました・・・」と電話が

2017 EEdental ST1 (4).jpg

ん~、術前と同じはっきりとした根尖(根の先)病変は見られず、歯の側面に問題がありそうな感じ、経験上側枝のような気が・・・(-ω-;)

 

患者さんも問題が出たら外科と話させてもらっていたので

外科的歯内療法を選択⇒ http://www.eedental.jp/surgery.html 

 

すると・・・

 

2017 EEdental ST1 (5).jpg

太い側枝があり、その横に過去に外科で削ったクレーター状の凹みに歯石がビッチリ!!

この太い側枝であれば、顕微鏡・拡大鏡で十分分かります。
 

ただし、これは側枝が怪しいという頭を持っていなければ、見ることができません。

 

術前時にある程度何か怪しいのか、どこに問題がありそうかという思考を持っていなければ1mmの問題も見落としてしまうものなのです。(歯科で1mmはメチャ大きな単位になります)

2017 EEdental ST1 (6).jpg 

↑側枝から出た細菌が下のくぼみを見つけそこにコロニーを作ったのではないかと推測

 

逆に根尖にはビッチリ骨があったので、根の先には問題はないと分かり、歯石の除去、側枝をMTAにて穴埋めして外科終了!

 

レントゲン

2017 EEdental ST1 (7).jpg

*酸化ビスマスの少ないMTAを使用した為側枝の封鎖が分かりにくいレントゲンに

 

余談ですが、現在私は2種類のMTAを使い分けています(・з・)ノ

1つは先発薬の「プロルートMTA(白)」デンツプライ

これは非常に信頼性が高く2000以上もの論文が有効性を示しています。

ただ、デメリットとしてレントゲンに写る為の造影剤(酸化ビスマス)が歯を黒く変色させます。

ですので、前歯などには使いずらい材料になっています。

http://eedental.jp/ee_diary/2011/11/mta-1.html 

  

今回女性の薄い歯ぐきだったので、黒色が透けるのを避ける為に

酸化ビスマスの少ないジェネリックの「MTA Plus」を選択しました。

(どの程度黒変が出ないかはまだまだ未知数 ジェネリックだから)

  

 

綺麗に処置できたので、これで矯正治療を続けてもらい、同時に定期診断をしていく予定です。

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3年にわたる前歯の根管治療

早いもので歯科医師となって18年目となります。

  

根の治療を専門として開業していると、

痛みが取れないという患者さんが年に5~6人ぐらいおみえになります。

 

半分ぐらいのケースでは根管治療で治りますが、

http://eedental.jp/ee_diary/2016/09/post-1469.html 

半分ぐらいのケースでは根管治療をしても治らず『非原性歯痛を疑い』そちらの治療を勧めます。

非原性歯痛:http://eedental.jp/ee_diary/2015/09/post-1241.html 

 

歯が原因の痛みではないのか?

 

痛みが取れない患者さんの多くが思う疑問だと思います。

 

私が患者さんに言うのは、 

最初は歯が原因だったのですが、長い間の痛みを脳が記録してしまい

歯の悪い所は取れたのだが脳が勘違いして痛みを出し続けている。

「痛み」というのは脳が作り出しているものであり、脳の勘違いを治す為には、そちらの治療をしない限り痛みは取れませんよ。

と、話します。  

 

この厄介な痛みの多くは歯科治療

特に【細菌感染対策もしない根管治療】がスタートなのです。

ですから歯科治療はどこの歯科医院で治療するかが非常に重要になるのです。

(病院で痛みを作り出していては・・・(★。★))  

  

専門の科で非原性歯痛の治療をしても全て治る訳ではありませんが・・・

1年で非原性歯痛が取れ無事セラミッククラウンを入れた患者さん:http://eedental.jp/ee_diary/2015/09/post-1259.html 

 

というように長く痛みで悩んでいる患者さんというのは非常に大変な治療になります。

(因みに女性の患者さんに多い病気だとも報告があります) 

  

 

今回の患者さんも関西の患者さん過去に近医で医療を受けられ痛みが続き

現在、東京の一流専門医の歯科医院で治療を受けているセカンドオピニオン

2017 EEdental AM (1).jpg

根の先に飛び出したガッタパチャーと根の病変

   

もうこうなると、基本的に歯科に対する不信感が大きくなっており治療は難しい患者さんになります。(仕方がないといえば仕方がありません)

話しを聞くと、1件目の歯科医院で歯を削り、2件目で痛みが取れないので抜髄+小矯正(なぜ小矯正が必要なのか意味が分からない・・・)、3件目で病変が見つかり再根管治療 

  

三流歯科医師の私は、

「一流の○○歯科医院でやってダメならまずウチなんか・・・」(p・Д・;)

  

ということで、

○○先生の方針に従い治療を続けられることを勧めセカンドオピニオン終了 

  

 

半年後・・・

 

「やっぱり治療して!」と来院

痛みは取れない可能性のあること、違和感程度のものは残る可能性があることを了承してもらい治療スタート

1回目歯の中を見て歯の中は綺麗であることを確認 

 

1カ月後の2回目

○○先生の治療で病変も小さくなってきているので、レントゲン上では治癒傾向にあることを説明

もうやることないんで根管充填して薬詰めて様子を見ます。

根管充填+レジンコア+仮歯

2017 EEdental AM (2).jpg

仮歯Set

2017 EEdental AM (3).jpg 

   

5か月後の治療3回目 インタビューのみ

時々痛いが長くは痛まない、痛みの頻度は減っている。

*基本的に私は根管治療後6カ月して痛みが変わらなければ神経系の治療をするように話します。

今回痛みが弱くなっているのでそのまま経過観察を選択  

 

1年後の治療4回目 インタビューのみ

1カ月に2~3回くらい痛い、こめかみを押すとラクになる。

日によって痛みの程度長さは異なるが、痛みは減ってきている。

 

1年半後の治療5回目

疲れた時だけ痛い

*痛みが取れてきたことにより他の歯の治療スタート

  

そして他の歯の治療も終わり根管治療から2年半

落ち着いてきたとのことでセラミッククラウンSet

2017 EEdental AM (4).jpg

さすがセラミスト!

歯の幅の修正までテクニックで補ってくれました!! 

 

私の作った仮歯

2017 EEdental AM (5).jpg 

セラミストのセラミック

2017 EEdental AM (6).jpg

歯の形状を少し出っ張らせ、シンメトリーに

  

仮歯との対比

2017 EEdental AM (7).jpg

黄色い線:仮歯

 

歯のポジションの為に小矯正をしたと思いますが、

個人的には、『教科書通りの理想の歯科医療』≠『良い医療』

に必ずなるとは限らないと感じ始めています。

 

理想の高い治療=ゴール設定が高い(ハードルが高い)

となりますので、そのゴールまで到達できず問題が起こることも考えられます。

  

上手な先生であれば問題はないと思いますが、私のような極々平均的な歯科医師であれば必要最低下の介入で得られるメリットの方がダイナミックな医療より患者さん利益に繋がっている気がします(・ω・;)

 

術前⇒根充後⇒セラミックSet

2017 EEdental AM (8).jpg

医療、特に自費の歯科医院は結果を出し続けないと存続できませんので、より慎重な診断というのが重要になると考える歯科医師18年目です。

  

以前にもオーバー根管充填で痛みが取れない患者さんがおられましたね

オーバー根管充填による痛み:http://eedental.jp/ee_diary/2016/03/post-1351.html  

 

科学的根拠なしに水酸化Caを歯の先からドバドバ流し出して治そう

薬さえきちんと入っていればという間違った日本独自の根管治療基準。。。

 

こんな間違った根管治療受ければ痛みに悩まされる日々が始まるかも知れませんよ・・・(-ω-;)

だから毎回書くように後戻りできない歯科医療は特に誰に治療してもらうかが非常に重要な分野なのです!!

 

と三流歯科医師は思う訳です(・ω・)ノ

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問題なかった歯に4年後根尖病変(膿)⇒感染根管治療に・・・

過去に神経を取った銀歯などにセラミッククラウンを入れる際に

その歯の根管治療からやりなおすか?

やりなおさずにクラウンを入れるか?
 

model.jpg  
家で言えば、基礎からやり直すか?

壁・屋根の修復だけで済ませるか?

みたいないものです。 

  

これは同じ歯を見ても先生毎に診断が分かれます(・∀・)∩

 

根の治療が得意な先生、自信がある先生だと、

自分が入れるクラウンの歯に関しては病変など問題がなくても、

全て根管治療からやり直すというスタンスの先生もおられます。

  

私はというと、ケースbyケースで
・病変があれば当然根管治療からやり直した方がいいと話します( 'Θ')ノ
・病変がないがクラウン、コアの適合が悪い場合 その隙間からの細菌感染を疑いやり治した方がいいと話します( 'Θ')ノ

・病変がなく、きちんとした土台がはいっている場合は被せ物だけやり変えましょうと話します。( 'Θ')ノ

 
なぜ全ての根管治療をやり治さないか?(゜Д゜)

  

根管治療は治療できる回数が決まっており、うまく出来ても3回で打ち止めです。

ケースによっては2回の根管治療で打ち止め、次は抜歯になります。。。

  

一方、被せ物は根の方がしっかりさえしていれば5~6回ぐらいはやり代えのきく治療ですヽ(・∀・)ノ

 

すなわち、積極的な根管治療をしたが故に抜歯に近くづくことも考えられるので私は必要最低限の介入を勧めます。

(患者さんの希望があれば根管治療もしますが(p・Д・;))

 

というのが、私のスタンスなのですが中にはこんなケースもあります。

 

銀歯を白く治す治療で

2017 EEdental SK2 (1).jpg

銀歯の下は病変もなく土台もきちんと入っていたので、

患者さんに根には問題ないので被せ物だけ治療しましょうと話しセラミッククラウンを入れました。

 

4年経過したある日

セラミックを入れた歯が腫れてきた!と 

2017 EEdental SK2 (2).jpg

大きな病変が出来てしまっています(ー△ー;)

 

綺麗にセラミッククラウンを入れたのですが、これは一度外してやり直す必要があります。

2017 EEdental SK2 (3).jpg

ラバーダムをして、菌が入らないようにきちんと根管治療をして、

 

仮歯で生活してもらうこと7カ月

2017 EEdental SK2 (4).jpg

病変も綺麗に治ってきてくれていますヾ(^д^)

 

今回のケース開業以来初のケースでしたが、

個人的には根管治療をして5年以上問題なければ、そのままクラウンも選択肢の1つだとは思います。

 

ただ、極々たまにはこんなケースもありますので・・・(・ω・)ノ

 

積極的に残り少ない治療回数を消費するか?

多少のリスクはあるがそれを承知で悪くなってから治療をするか?

 

この辺りは歯科医師の考え方により違いがありますが、

今私の考えは「積極的な治療が歯を残すとは限らない」「必要最低限の介入で歯の保存を試みる」というものです(^ー^)

 

*セラミックの保障期間は5年なので5年以内に根管治療が必要でセラミッククラウンを外した場合、新たなセラミックの費用はかかりません。

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MTA根管充填をするのであれば!

AAE(アメリカ歯内療法学会)後毎日

師匠、阿部先生、三橋先生、末永先生、田中先生と一緒に飲みに行っていました。

(エンドマニアな先生ばかりの集い)

  

そこでするのは仕事の話、特に歯内療法の話(笑)

 

色々な話をするなかで1つのトピックスに

「MTA根管充填」がありました。

   

1つのいい材料が登場すると乱用され、

次第に原則に従わず治療を行い材料の評価が落ち、ダメな材料みたいに扱われることがあります( ̄ω ̄;).。

 

MTAも一般的な材料になってきました。

 

また再治療の際根の先が大きく開いているようなケースには良い結果が出ています。

2017 EEdental KF.jpg

 

ただ、一度固まったMTAはセメントなので、簡単に除去することができません。

MTA根管充填をした歯に関しては次は外科的歯内療法が治療の選択肢になります。

 

ですので、

MTA根管充填をした際には、入れた先生が外科処置まで担当すべきかと思います。 

   

患者さん的に言えば、MTA根管充填をしてもらう際には

もしうまく行かなかった場合その先生が【外科的歯内療法】が出来るか?

などは確認しておかれた方がいいと思います。

外科的歯内療法:http://www.eedental.jp/surgery.html

 

EEデンタルでも今年に入りMTA根管充填をしてからの転院の患者さんがおられ、凄く大変な思いをしました。

(取れないことはないが凄く大変・・・)

 

MTAセメント(バイオセラミック)は非常にいい材料です。

ただし、材料より誰に治療してもらうか?の方が大きなファクターになると思います(・∀・)ノ゙ 

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