Home> 歯内療法日記: 2019年7月アーカイブ

歯内療法日記: 2019年7月アーカイブ

歯内療法実践セミナーを受けに東京へ

今月は22日に大阪でロンドン大学の保存科のミラ教授の講義を聞き

(ロンドンはバルクフィルで審美的なレジン充填しないそう、予後は変わらないのでイタリアの先生みたいなことはしないとのこと)

27日夜はカリオロジー(虫歯学)に色々虫歯、どうやったら歯が長持ちするかの予防学の話を聞き

(虫歯のエナメル質突破は8年、象牙質から歯髄には3~4年で到達と衝撃なことを聞きました。 またデーターを頂き勉強します)

(後、歯磨き粉の低濃度フッ化物は有効らしい)

 

翌28日歯内療法で石井先生、尾上先生の講義を聞きにGCに

  

と、充実した月末でした。

  

臨床はどうしても独りよがりになりがちなので・・・、

色々な先生の話を聞くのは参考になります。

 

久しぶりの週末の俺ノート

・エンドは技術、道具よりルールを重視すべき

・診断名は「歯髄の状態」と「根尖部の状態」2つを診断する

・再根管治療、根尖病変(+)、オリジナルな根管が破壊されているの3つが揃うと成功率が40%となる

・病変が治る≠歯が長持ちする(歯の持ちは残存歯質量に依存する)

・病変がある⇒全身に悪影響を及ぼす←エビデンスなし

・バイアス 歯科医師の学んだ教育環境で治療方針に差がでてしまう(外科出身or保存出身)

・病変(+)があり穿通出来なくても62.5%は治る(まずは開けれる所までをきちんと洗浄)

・病変の大きさで治療方針が変わることはない(病変が大きい=外科ではない)

・エンド・ペリオ⇒まずペリオ治療はしない(ホント歯周治療をされてしまうと後が大変 http://eedental.jp/ee_diary/2017/03/post-1562.html )

・無菌的原則を万らない根管拡大形成は感染経路を拡大しているに過ぎない←日本のエンド

・ヨーロッパ法律で根管治療道具はディスポとなった(バー、ファイル、洗浄針など)

 ↑これ今日からEEデンタルもハンドファイル、洗浄針はディスポにします。(*ニッケルチタンファイルはしばらく滅菌して4~5歯まで使います)

 ファイルの再使用は麻酔針滅菌して使いまわしているようなものですから、理想を言えばそっちの方向になっていきますね! 

  

尾上先生

・上顎で98%、下顎で97%の確率で天蓋とECJ(エナメルセメントジャンクション)は一致

・エンドを行っても歯の強度は5%程度しか減少しない

・AC(アピカルコンストラクション:根尖再狭窄部)は全周がウエーブ状になっておりファイルでここと断定できない

・NC は抗菌作用、組織溶解性、細胞毒性の面から2.5~5.25%ぐらいがいい

・根管充填はシーラー含めてオーバーにならないように(シーラーをつけたGPはパンピングしない)

 

尾上先生が講演中

たまに「井野先生は出来る!?」たまにフッてくるので、かなり緊張感のある眠れない講義でした(笑)

 

歯科治療は奥が深い! 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

2010年にレジン治療した歯をクラウンに

2010年に治療させてもらった患者さんが

「前歯がかけた。。。」と来院され、見せてもらうと

2019 EEdenntal NM (1).jpg

エナメル質半分が無くなっています。。。

 

ここの歯は過去に根管治療をさせてもらった歯

レントゲンで確認すると

2019 EEdenntal NM (3).JPG

うっすら影があるものの、腫れや痛み、膿なども出ておらず

不完全治癒という治癒で経過しています。

(*この場合経過観察で十分です)

  

患者さんに今回はレジンではなくクラウンにしましょうということで、

仮歯を準備して形成

2019 EEdenntal NM (4).jpg

 

仮歯で1カ月生活してもらうはずが。。。

2019 EEdenntal NM (5).jpg

患者さんの都合で半年後に来院、仮歯で問題のないことを確認して

  

セラミッククラウンSet

2019 EEdenntal NM (6).jpg 

綺麗に入りました!

 

レントゲン診査

2019 EEdenntal NM (7).JPG

段差もなくセメントの取り残しのないことを確認

  

2019 EEdenntal NM (8).jpg

  

こんな感じでレジンに問題が起こった際に初めてクラウンにすれば、

○年分治療を遅らせたことになるので、個人的にはお勧めの方法です!ヽ( ̄∇ ̄)ノ

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

その根管治療、残せる見込みあるのか!?

患者さんは40代女性

治らない根管治療中の歯を主訴に来院

 

レントゲンを撮ると

2019 EEdental S (1).JPG

大きな病変が2つ

にしても初めて見るような根管充填

  

かなり難しい状況であることを説明して治療を行うと・・・

 

病変の前に!

2019 EEdental S (3).JPG

パフォ+ファイル破折のおまけ付き・・・

  

治療した先生も自分では残せないと判断できれば、

専門医を紹介するなどしてあげた方がいいと思うのですが。。。

 

先日、ある患者さんが来院され、

○○歯科にかかったら「僕でも治療出来るけど難易度が相当高いので専門医に治療してもらってどうか!?」 

と言われ来院された患者さんがおられました。

  

個人的には、これこそ診断だと感服しました。

 

 

最近、メチャメチャ削られ大きなパーフォレーションのある患者さんの治療をしながら

「前の先生も残す自信がないのであれば、手など付けない方がいいのに・・・」

という歯を立て続けに2ケース経験しました。

 

「この歯難しい、土台の除去などリスクがあるな」と感じれば歯内療法専門医を使った方がいいと思います。

 

いわば、埋伏智歯で口腔外科の先生に頼るような感じです

 

というと、「専門医は自費治療だから」と言われますが、

いやいやいや、それは先生の治療費が高いという価値観であって

患者さんの中には「歯を残せるのであれば自費治療でもいい」という方はおられますよ。

 

個人的には数千円で歯の保存治療を行い、

⇒ 歯が無くなって40~50万のインプラントの方がどうかと・・・

   

ですから先の先生のように「難しいから専門医に相談したら!?」というのは

1つの治療選択肢、情報を患者さんに提供したことになります。 

(歯内療法専門医などまだまだ知られていないですからね) 

 

 

で、先のレントゲンの患者さん

穴を埋め、ファイルを除去して、

2019 EEdental S (4).JPG

 ↑取れた金属片

 

症状が無くなったところで根管充填、コアと仮歯を入れ  

1年後のレントゲン

2019 EEdental S (2).JPG

腫れや違和感もおさまり綺麗に骨が出来てくれました!

 

神経の治療は何度も治療ができません。

2回うまく行っても3回で治療の打ち止め!

次は抜歯となります、いわば手札が2枚しかない状況でその少ない手札を誰に切るかのような状況です。

 

歯の神経の問題は口腔外科医のように『歯内療法専門医』がいることを知っておいてください!

と言っても100%治せる先生はいませんけどね^^;

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

ようやくセラミッククラウンSet なんとか残せた前歯の保存

以前書いた、

何か違和感のあるレントゲン像の感染根管治療

http://eedental.jp/ee_diary/2017/05/post-1591.html

 

の患者さんの前歯がようやく完成しました。

 

仮歯で矯正を終えた後に新仮歯

2019 EEdental ST (1).jpg

特に中切歯は気を使い、仮歯を2回作ることが殆どです。

理由はこの真ん中の歯2本が人の歯の見た目の殆どの要素を占め

左右対称感が非常に重要になります。

 

2019 EEdental ST (2).jpg

出来あがったセラミッククラウン(ジルコニアフレーム)

 

セラミックセット時

2019 EEdental ST (3).jpg 

 ここから1週間ほどで歯ぐきはセラミックに馴染んで行きます。

  

Set後のレントゲン検査

2019 EEdental ST (4).jpg

前の形成でかなり縁下深く形成してありましたが、綺麗に適合しています!

*個人的にはセラミックの見た目の為に縁下深く削るのは完全になし!です。 

 理由は再根管治療が出来ないから。。。

  

仮歯を模型に戻し

2019 EEdental ST (5).jpg

仮歯と本歯、大きな違いはなさそうです。

 

なんだかんだで矯正もあり3年近く経過して本歯を入れることが出来ました!

非常に経験値の上がるケースとなりました。 

  

 

1つ知っておいてください

「悪くなった歯の治療」って患者さんの思っている以上に手間もかかり難しいんですよ。。。(T。T)

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

根管充填剤にガッタパチャーを綺麗に入れる意味!?

今回も先日書いたブログ同様に「虫歯で神経が死んでしまったケース」

 

前回のブログ「なんとか残せた膿の止まらない歯

http://eedental.jp/ee_diary/2019/07/post-1928.html 

神経が死んでしまいなかなか膿が止まらず・・・

外科的歯内療法まで併用させていただきました。

 

 

さて、今回は30代男性 

私がレジン治療をしたのですが、レジンが大きく外れてしまい

外れた後に時間が経過した為に詰め物の下に大きな虫歯ができてしまいました。

2019 EEdental HY (1).jpg

 

再治療をさせてもらうと・・・

虫歯が大きく進行しており・・・

虫歯の除去後に神経が露出 ⇒ 直接覆髄を行い歯髄保存を行ったのですが、

http://www.eedental.jp/mta.html 

 

神経が死んでしまい歯ぐきから膿が出てきてしまい再来院

 

レントゲンを撮ると、歯髄保存した歯が原因で膿が出てしまっています。 

2019 EEdental HY (2).jpg

  

患者さんに説明を行い神経の治療スタート!

 

1回目の治療後、

 

患者さんの都合で3カ月来院出来ず、3カ月後の治療2回目のレントゲン

 2019 EEdental HY (3).jpg

2回目の来院時には歯ぐきからの膿も出ておらず、

黒く骨の溶けた病変所見には治癒傾向が見られ、だいぶ骨が出来てきてくれています!

(無くなった骨が出来てきてくれています)

 

「薬」も入れていないのに!? 

 

我々歯科医師は最終的なガッタパチャー(ゴム)を「薬」 と表現しますが、

実はこれ空間を埋めておくだけのもので殺菌や治癒促進効果などの薬効は殆どありません。

 

じゃあ、何で「薬」と表現するのか!?と言われれば患者さんに簡単に説明をする為にです。

 

私は患者さんに「じゃあ、今日は最終的なゴム詰めますね!」と言いますが、

決まって「ゴム!?」

となりますので薬と表現した方がいいのかもしれませんね。。。

  

 

日本には怖い呪縛があり・・・

http://eedental.jp/ee_diary/2018/12/post-1848.html

ゴムを綺麗に綺麗に先端までという基準で根管治療が評価されています。

 

後、毎年1~2人

先生に「GPが根の先まで入っていないからやり治した方がいい」

「GPが先端まで入っていないから将来悪くなるから治療した方がいい」

⇒ 痛みが出て半年近く根管治療を行っている ⇒ 転院

というパターンがありますが、「これも治療しなくてよかったんじゃないかな!?」と思ってしまいます。

(触らぬ神に崇りなし! 痛くない歯を本当に根の治療をした方がいいのか?歯内療法専門医聞く方がいいと思います。)  

   

 

さて、このガッタパチャー(GP)、

トロープ先生は「現在の歯内療法の弱点は、根管充填にガッタパチャーを使用すること」

と話されていますが、これは大賛成で、ガッタパチャーの欠点は

・経時的に劣化する

・吸収する(痩せる)

・接着性がない

・滅菌できない *因みに私はGP滅菌できないので、マスターポイントは次亜塩素酸に漬け置きして消毒しています。

・歯の外に出ると除去できない

・薬効がない(菌を殺す力がない)

・細菌繁殖の足場になる(バイオフィルム)

・圧を加え詰める必要がある

 

利点は唯一

・再治療の際に除去できる

のみ!

 

じゃあ何でこんな欠点だらけのもの入れるの!?

 

理由は、ガッタパチャーに変わる材料の開発が遅れている為。

次の材料にはMTA、バイオセラミックなどが挙げられますが、これらの最大のデメリットは除去できない。

つまりこれが主になると根管治療は1発勝負で、日本の根管治療の成功率50%以下ではこれらの材料は超危険!

(再治療なしに抜歯 ⇒ インプラント) 

 

根管治療の失敗は「菌」なので、まずはこちらに配慮をした根管治療(ラバーダム、隔壁、仮封をしっかり)を受けられるべきです。

 

  

 

では、話を戻して

 

治療2回目 あれだけGPを悪く書いているにも関わらず、

2019 EEdental HY (4).jpg

1回目の根管治療でしたので再治療ができるように「ガッタパチャー」を根充剤として選択

 

MTA入れて悪くなったら外科的歯内療法で治療というのも1つなのですが、

私はなるべく外科したくない派の歯内療法専門医なので・・・

 

 

今回のケース治癒傾向は既に出ていますが、この後も経過を診ていきます。

 

以上、色々なことをダラダラ書かせてもらいました(・∀・;)

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

なんとか残せた膿の止まらない歯

歯ぐきから膿が出てくるという40代の男性患者さん

2019 EEdental YT (1).jpg

神経が何らかの原因で死んでしまい、かなり大きな病変が見られます。。。

 

歯を残すべく根管治療を行ったのですが・・・

 

1回、2回、3回、4回・・・

2019 EEdental YT (2).jpg

全く膿が止まりません。

 

 

治療の5回目に外科治療を行い保存処置をすると方針を変え

2019 EEdental YT (3).jpg

外科的歯内療法

 

そこから経過を見ていき、1年経過した今月レントゲン検査

2019 EEdental YT (4).jpg

かなり綺麗に病変が治ってくれています!

   

 

神経が死んでしまったネクローシスパルプの成功率は80~90%といわれ

比較的成功率が高い方なのですが、中にはこのように通法の根管治療では治らず

外科処置を併用することもあります。

 

患者さんは前歯ですし、なんとか残ってくれたと喜んでくれましたが、

私も残ってくれて良かったとホント思いますし、色々勉強できた1症例となりました。 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

Home> 歯内療法日記: 2019年7月アーカイブ

購読
Powerd By

Return to page top