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歯内療法日記: 2024年4月アーカイブ
歯茎の中まで削り過ぎたインレーで歯肉弁根尖側移動術!?
- 2024年4月30日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは 20代男性
左上に大きな痛みがでてしまい、神経治療となったが
途中からでも専門医に治療してもらいたいとのことでEEデンタルへ
レントゲンを撮ると神経を触って仮蓋状態
過去にインレーが入っていたようで歯茎の中まで結構削ってあります。
先日の患者さんもそうなんですが、先生に矯正をして引っ張り上げてから
歯茎の外科処置(歯肉弁根尖側移動術)をやった方がいいと言われ、転院されてきた方がおられますが、
基本的に私はそこまでしていません。
と言うかそこまでする必要はないと思っています。
「歯肉弁根尖側移動術」をやらなくなって早10年 - EE DENTAL_Blog
おかしな話で、歯茎の中まで削ったのは歯科医師
転院すると、前の歯科医師がやった後処置を40~50万かけてやり直す!?
であれば、そもそも見えずに治療している歯科医師に問題があるのでは!?
と言っても歯科治療の多くは見えずに手の感覚だけで治療していますのでこういったケースは日常茶飯事
これを回避するには、きちんと見える環境(顕微鏡下)で治療を受けた方がいいと思うのですが、
それは誰も言ってくれないので、毎回こんなことが起こります。
現在私は歯肉弁根尖側移動術はしないのですが、
こんな治し方をています。
レントゲン
歯茎の下の無くなった部分をレジンで歯根のように立ち上げてきます。
別名:レジン歯根でしょうか(笑)
白い部分がレジンコア
この状態でもきちんと歯間ブラシを入れておけば殆ど問題は起こりません。
半年間仮歯で生活してもらい、問題無いのを確認してセラミッククラウンSet
個人的には「教科書に書いてあること」=「必ず正しいこと」とは思っていません。
医療は日進月歩で10年ひと昔で基準が変わることも多々あります。
ただし、一度その原則に従い教科書的な治療はしますが、「?」と思えば改善しますし、問題が出なければシンプルな治療で歯を残します。
歯科治療は複雑になればなるほど費用もかかり成功率は下がりますので、なるべくシンプルな治療がいいと思っています。
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根の先まで根管充填しないと治らない!?
- 2024年4月27日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
4ヵ月前に虫歯治療をした。
1カ月前からズキズキ痛みが出てくる、冷・温水痛がある。
知覚過敏と言われコーティングをした。
今は痛みに波があり、痛い日は痛い
レントゲン
かなりレジンがはみ出した状態の詰め物が見えます。
先日の患者さんも奥歯にレジンが詰めてありましたが、かなりオーバー充填
個人的には、術者は見えなければ治療なんてしちゃダメ!と思うのですが。。。
このような治療は、後で二度手間・三度手間になるのでやらない(治療しない)方がましだと個人的には思っています。
先生は頑張って治療してくれたとは思いますが・・・
今回の患者さんのケースは既に歯髄炎を起こしており、神経を取る処置が必要
またこの歯は親知らずなのですが、左下5が先天性の欠如のようで、右上7と親知らずががっつり咬んでおり、機能していることから歯の保存を行いました。
2回法で治療を行いました。
歯髄炎を起こしていた為か、なかなか麻酔が効かず患者さんには痛みを与えてしまい反省です。
(基本的に私は診療は無痛ですべきものだと思っており、痛みを与える治療は極力避けたいと思っています)
治療2回目
1回目の治療後2~3日は痛かったが、その後は前のような痛みは出なくなったとのこと
歯質もしっかり残っていたので根管充填後にレジン充填で対応することにしました。
親知らずだけあって歯髄を根尖まで追えませんでしたが、取れる範囲の神経は処置できました。
*親知らずの神経管はパターンがなく、湾曲も多い為根の先までの治療が超難度
術後6か月の来院時
レントゲンでは特に悪い感じはない。
月に1度痛みが出る、術前時は疲れると首の方まで痛みが出ていたが、今はそれほどの痛みは無くなった。
ということで様子をみてもらうことに。
術後1年
気になる痛みが極稀にでるが、そんなに気にならないのこと
根尖に透過像はなく、きれいな状態
口腔内
綺麗に磨けています!
この状態であれば再び治療する必要はなさそう。
私は治療の介入は
①膿が出る、腫れる(細菌感染によるもの)
②視診、レントゲン所見で悪い部分がある
の場合は治療が必要な歯を探し治療を勧めますが、
レントゲンで問題無く多少痛い、一過性に痛いなどの症状の場合は待機診断します。
(経験上、きちんと治療してしばらく後に痛みの頻度が減っていれば待てば治まることが多いです)
今回のケースも6か月後にはまだ多少痛みがありましたが、特に悪い所見も無かった為待機しました。
間違ってもガッタパーチャーの入りが悪いという理由でやり直しはしません。(そんな理由でやり替える意味が分からない)
今回のケースも患者さんが私の話を聞いてくれたのが、上手く行ったポイントかもしれませんね(笑)
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抜歯と思えた歯、なんとか10年残ってくれています。
- 2024年4月19日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
昔から来院してくれている患者さん
左上4
歯の周りを取り囲むように骨がなく、太い金属の土台も入っており
残すのは難しそうな状況
患者さんに残す治療にトライしてみるか説明し
治療出来るのならやってみたいとのことで保存治療を行いました。
根管充填
MTAセメントで根管充填しました。
治療回数5回
根管治療中に1本奥歯の超不適合アンレーをレジンで治療させてもらっています。
*ここまで分かりやすい不適合も珍しい
仮歯を入れ経過観察
根の先辺りの骨は治ってきてくれているのですが、側面の透過像はあまり変化なし
患者さんは仮歯で問題なく使えているとのことで、本歯を入れ経過をみましょうと説明
先日来院の際に、久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
うっすら透過像っぽいものもありますが、悪い感じはない。
患者さんも何の問題もなく使えているそう。
患者さんにはこのまま行きましょうと説明させてもらいました。
*右上5のレジンアンレーも10年経過しています。
抜歯の判断は先生毎に違います。
ちょっと悪くて早目に抜歯から、抜く時期を間違えて骨が大きく溶けるまで待って抜歯
この辺りの抜歯判断が色々あるのは仕方がない部分ではありますが、個人的には破折線がなければ残す治療はトライすることが多いです。
ただ、残らなくても同じ費用がかかる(ケースによっては更にオプションの治療までかかる)為、残す治療を受ける、残さず抜歯の最終判断は患者さんでいいと思います。
今回のケースもう10年持ってくれるといいのですがヽ(・∀・)
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歯を抜いたのに痛みが取れない。。。
- 2024年4月13日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
最初に来院されたのは2018年末
2017年、右下が膿んできたのA歯科医院で根管治療を始めるも半年経っても治らず転院
次のB歯科医院で治療を続けるが、CBCTで破折していると言われ抜歯
痛みが取れない為、手前の右下6の根管治療を行うも改善が無い為
大学病院に行くも問題無いという結論
その後、EEデンタルへ
今回の経験から悪い歯は全て治療したいとのことで悪そうな歯だけ治療を行い
2019年治療終了
その際右下の奥歯は私も特に問題無いと判断しました。
そこから2023年に詰め物が取れたとのことで来院
その際に患者さんに抜いた右下7の部分が常に鈍い痛みが出たり、消えたりを繰り返していると話される。
痛みの法則などあるか聞くも、それはないとのこと
レントゲン(2023年)
特に悪い所見はありません。
たぶん、非歯原性歯痛になっていると判断し井川先生に紹介状を書き
薬で治す治療となりました。
紹介状を書いて8ヵ月
井川先生の方から、「疼痛は消失したので終診とした」と返書が来ました。
ホント、女性に非歯原性歯痛は多いなと感じます。
(と言っても自分は井川先生にお任せするだけなんですけど)
また非歯原性歯痛を作ってしまう原因第1位は不適切な根管治療と言われていますから
特に女性の方は痛みの中続く根管治療は受けられない方がいいと思います。
気まずいとは思いますが、3ヵ月痛みの中根管治療をしていたらそこはドライに考え転院した方がいいと思います。
個人的に3ヵ月膿が止らない経験はありますが、3カ月痛みが続くはないです。
最初の痛みの原因は神経を取るという体への侵襲です、ただこの痛みは出ても3日ぐらいで引いてきます。その後続く痛みは体の中へ細菌感染をさせてしまった、細菌感染が続いている時に出るものが多いイメージです。
歯科治療は痛みが伴うイメージですが、それでもなるべく痛みがない治療は受けられるべきだと思いますね。
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白いセラミックインレーに替えたら膿んできた。
- 2024年4月 9日 09:01
- 歯内療法日記
巷では銀は悪い、白いセラミックは良い、的なイメージ操作ありますが、
私個人の感想としては
金属アレルギーさえ無ければ銀の方がいいよ!という真逆の考え方
何故か!?
金属系修復は厚みが1mm確保出来れば割れることはありません。
逆にセラミックは厚みを沢山取りたい、また健康な歯の犠牲は大きくなります。
→すると神経近くまで削り症状が出やすくなる(凍みる、痛む)
→症状が続くと神経を取る
→診断が遅れると神経が死んで膿んでくる
神経を取ることによって歯の寿命は短くなります。
後、セラミックインレーはメタルインレーに比べ適合が悪い・・・
セラミックインレーの適合を得るには健康な歯をメタルインレーより削る必要がある。
虫歯が見かり削った際にセラミックインレーを選択するのは悪くはないと思いますが、
個人的には銀歯が入っており見た目が嫌だからセラミックインレーにやり替えるは歯の寿命の観点から止めておいた方がいい。
全ての歯が悪い結果になる訳ではないですが、リスクを知っておくのは大切なことです。
今回の患者さんは
セラミックを入れ、4か月後に痛みが出てきた後腫れてきた。
今は歯茎に膿の出口があるが、違和感程度で大きな痛みはない。
レントゲン
レントゲンを見ると、黄色の部分に凄い違和感を感じる
何でこんな所に黒い半円形の線があるのか!?
こういったケースはCBCT(CT)が有効で診査してみると、
遠心舌側根がビックリするぐらい曲がっている、近心根に接するぐらい曲がっている。。。
経験上こういった湾曲した根は神経を取るファイルを折りやすい、
と言うことで、かなり上の攻め方を変えないとリスクが高いのが想像出来ます。
慎重に攻めました。
2回法で根管治療+レジンコアまで
やはりDL根かなり湾曲が複雑で神経管も細かったですが、無事に治療を終えることが出来ました。
この後6か月後にレントゲンを撮って経過をみて行きたいと思います。
自分は今ニッケルチタンファイルはプロテーパーゴールドを使用していますが、
今回はS1ファイルの前にアルティメットのS1を通して、ガイドをより確実にしてから根管を太くしていきました。
小林先生の言う
「根管治療に簡単はない」という名言
術前時に感じた違和感から、難易度判定をきちんと行い結果が得られたのは収穫でした!ヽ(゚∀゚ )
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歯を残す治療の上に審美治療
- 2024年4月 5日 09:00
- 歯内療法日記
現在、日本歯科専門医機構が専門医制度を作っており、
歯内療法学会の歯内療法専門医は「歯科保存専門医」と名称が変わるような動きがあります。
この歯科保存専門医は今の所、歯科保存学会の専門医と歯内療法学会の専門医が対象になっているようなのですが、この先さらに他の学会の専門医も含まれるような動きがあります。
正直、政治の話なので全く興味はありませんが、少し疑問なのが審美歯科学会の専門医まで「歯科保存専門医」に申請をしているような書き方がしていましたが、
先日のある先生と話していると、「歯科保存専門医」に審美専門医は違うんじゃないか!?
私もホントそう思います。
審美治療とは綺麗な見た目を得る代わりにある面歯の寿命を短くしてしまう治療法です。
*凸凹の前歯をセラミックで治すのは一般人は止めた方がいいですよ、30~40歳ぐらいで前歯のトラブルが続出して60歳ぐらいで前歯無くなります。
患者さんの綺麗にしたいというニーズと、歯を長く残したいというニーズは全く別物です。
根の病気を治したい患者さんが審美の先生の歯科医院に行っても・・・
と言っても歯科医師10万に対して、2700人しかいない歯内療法学会では患者さんニーズへの対応は難しいとは思いますけどね。
ぶっちゃけ、根管治療なんて全く儲からないので力を入れている先生の方が変わり者
今回の患者さんは50代女性
若い頃かかっていた先生に「前歯綺麗にしてあげる」と言われ
神経を取って被せ物を入れられてしまったとのこと。
先日も60代の女性患者さんで同じようなことを言われ神経を取って被せ物を入れた方おられましたが、
そういう時代もあったのかもしれません。
レントゲン
大きな金属の土台が入っており根の先には根尖病変(膿)
抜髄の割にはかなり長いポストが入っています。
1回法で根管治療をして仮歯まで
根充材はMTA+を使用しました。
仮歯
このケースは仮歯が難しい・・・
*1本目の仮歯ではそこまで形は合わせられません。
患者さんに説明をしてセラミックを作る技工士に仮歯を製作してもらいました。
形成
仮歯の色が白すぎたので、レジンを使いステイング
*仮歯は基本的に単色(1色)なので色は合いません。
この状態で生活をしてもらい
根尖病変は綺麗に治りました。
この後、クラウンの作成
かなり色合わせの難しい歯で何回か技工士さんに作り直してもらいました。
レントゲン
綺麗に治療が出来ました。
審美治療ってきちんとした下処理の上にやらないとそんなに長く維持できませんから
やはり歯の保存を重視された方が良いように思えます。
さてさて、どうなるんでしょうかね「歯科保存専門医」
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遠方の患者さん 近所のホテル
- 2024年4月 3日 09:00
- 歯内療法日記
変わった歯科医院をやっていると、似たような歯科医院も少なく
悩みにマッチングした患者さんが来院して頂けますが、ビックリするぐらい遠方の患者さんもチラホラ・・・
通院してくれている患者さんは北は北海道から、南は沖縄とホントに泊りがけでの来院になっている方もおられます。
*ありがたいことに、今週は沖縄の歯科医師の患者さんが来たり、イギリスからメールが来たり
先日、愛知県でも通院に3時間かかるという患者さんもおられ、県内でもこれだけ通院時間をかけてくれていることに感謝します。
沖縄と言えば、先日親戚の女の子の治療の見学だけにわざわざ来て頂いた先生も・・・(エンドのハンズオンのレジメ届きましたでしょうか!?)
何故か、沖縄とは縁のある歯科医院
泊りがけで来て頂いている患者さんへ
先日、医院の近くにドーミーインが出来たのでそこからでしたら歩いて5分以内にEEデンタルまで着きます。
天然温泉 つつじの湯 ドーミーインEXPRESS豊橋(2023年12月13日オープン) 宿泊予約【楽天トラベル】 (rakuten.co.jp)
テレビでやっていましたがこのホテル、ドーミーインで日本で唯一夜泣きそばが生麺みたいです(笑)
今回の患者さんは以前、鹿児島から通院してもらっていた患者さん
第2大臼歯の神経が死んでしまいました。
そこを2回法で治療
樋状根でガッタパーチャーを使用して根管充填
鹿児島からは10分のレントゲン検診には来て頂けませんでしたが、
先日他の歯の相談で来院されたのでついでにレントゲンを撮らせてもらいました。
7年経過していますが、根尖病変も治り問題は無さそうです!
遠方の方だとレントゲン検診の10分の為に飛行機乗ってなどは難しいと思いますので
何か別件で来院された際にレントゲンを撮らせて頂くこともあります。
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