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歯の神経を殺すペリオドンの誤った使い方。。。 根管治療
- 2018年3月17日 08:59
- 歯内療法日記
日本に住んでいると、
医療は世界でも比較的新しいのものが受けられている
と多くの方が思われていると思います。
ただ、歯科医療においては、どうも雲行きが怪しく。。。
私の専門の「根管治療」
これはかなり日本オリジナルな方法が根強く
世界的な根管治療とズレている部分も多々あります。
世界の根管治療費でも群を抜いて安い日本では、
ガラパゴス化された基準での治療となってきております。
客観的に言ってもこの保険治療費では、まともな治療が難しい所まできていると思います。
日本では3000円程度の負担で済む根管治療がフィリピンの専門医7万円
ベトナムでも一般歯科で2万円以上するそうです。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/03/post-1352.html
私が思うに日本の根管治療は問題・トラブルを「薬」(貼薬)で何としよう。
とか、
最終的に入れるガッタパチャーが先端まで入っていればOK
とかなり世界基準とは異なった物差しでの治療となっています。
ですので、
成功率は40~50%程度と神経を取った半数以上で問題が起こってしまっている現実があります。。。( ̄ロ ̄lll)
それでも日本人は医療に関しては非常に恵まれていると思いますよ。
さて、話を戻すと、
日本では1人に1時間とかの治療時間の確保が行われていない為、
根管治療では歯の中に薬を入れ仮の蓋をしてしばらく後に薬の交換
の繰り返しというガラパゴスな治療が行われています。
貼薬剤には色々な種類が存在しますが、共通して言えるのは「臭い」です。
貼薬剤は菌を殺す作用を期待して、入れる薬ですが人にも害が出てしまいます。
菌だけ殺し人には無害という「選択毒性」は今の所ありません。
日本ではまだまだ現役のホルマリンクレゾール(FC)
このホルマリンクレゾール【シックハウス症候群】の原因である
ホルムアルデヒドを希釈したものがホルマリン溶剤であり
この劇薬を歯の中にいれ菌を退治する治療が行われています。
家には使わないのに、
希釈したホルマリンクレゾール(FC)を歯に入れるのはOK!
歯に入れたホルマリンは、24時間で
血液、リンパ節、副腎、腎臓、脾臓、 肝臓、脳に移行しているとの報告もあります。
また、根尖から出たホルマリン化学的障害で痛みが長期化することもあります。
こんな怖い薬を歯の中に入れないと治らないのか!?
そんなことはありません、
私は「貼薬」に全く重きを置いていないですが、治るものは治ります。
*貼薬とは根管治療後次の治療まで歯の中に入れる薬のことです。
じゃあ、私は歯の中に何をいれるのか!?
⇒「何も入れませんという無貼薬派」
(しいて言えば次亜塩素酸Naが根管壁に付いているぐらい)
無貼薬と聞くと大丈夫か!?と多くの先生が思われますが、
私はデメリットの方が気になるので、貼薬剤はほぼ使用していません。
貼薬剤入れなくて本当に大丈夫!?
成功率が落ちるんじゃない!?
これが、大丈夫なんですねぇ~!
システマチックレビュー(科学的根拠の強い論文)でも
貼薬しても・しなくても成功率に差は出なかったと結論が出ています。
さて、この貼薬剤の中でも特に厄介なのがFCより害の大きい「ペリオドン」☠
これが歯の外に漏れ出すと大きな問題になります。
日本ではまだまだ現役の薬なのですが、
AAE(アメリカ歯内療法学会)では
「意味のない薬使うな!」というスタンス
怖いことを話すと、
このペリオドン仮蓋があまく漏れ出すと歯肉が腐るように溶けてしまいます。
歯の中に入れたペリオドンが浸透し過ぎてしまうと骨が吸収してしまい、
同時に化学的な作用によるダメージで長期間の痛みが出ることがあります。
今回のケースは、
A歯科で歯髄保存療法を行う
⇒痛みが出た為転院
B歯科医院で抜髄(神経の治療)
治療3か月経過しても痛み・違和感が取れない為 EEデンタルへ
レントゲンを撮ってみると
何か違和感のある所見
折れているようにも見えるのですが・・・
とりあえず残す方向で治療をスタートすると!
「ハイ!出ましたペリオドン貼薬」
歯の中から立ち込める独特の匂い
何で3か月も治療して今更ペリオドン!?
と専門でしている私は思ってしまいます。。。
患者さんに話をして、
ペリオドンが漏れ出してホルマリン化学的障害になっている恐れが強いことを話し
解決策はよく洗って待つしかない。
待っても痛みが無くならなければ「ペインクリニック」で治療を受ける必要がある
と説明
治療2回目徹底的に次亜塩素酸Naで洗い根充
すると・・・
わずか2カ月で骨は回復してきてくれています。
ただ、痛みは3か月経過した現在も残っており
硬いものは咬めない、ジィ~ンと鈍い弱い痛みがある、歯ブラシで響く感じ、
救いとしては、前より悪くなっている感じはなく多少マシであるとおっしゃられているのでもう少し経過をみて行く必要がありそうです。
体は損傷した部位(骨)を治そうと頑張ってくれています、
ただ神経毒による痛み・違和感は治るのに時間を要します。
ホント歯の保存の為に使う薬で健康被害になっていては・・・
と思います。
【激安の保険治療費】
お財布には優しいかもしれませんが、その代償は大きいこともあります。
正しい医療を行うにはそれなりの費用はどうしても必要になります。
【崩壊している日本の歯科保険治療】立て直す為にはまず適正価格にならないと・・・
こんな末端兵士が何言っても無駄ですが、このような怖いケースもあることは知っておかれてください。
因みに私も勤務医時代
残髄していたのでファイルに付けた極小量のペリオドンを歯の外に出してしまい、
患者さんに2カ月咬めない経験をさせてしまったので人のことは言えないんですけどね。。。(★。★;)
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