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太く削るに重きを置く根管治療文化
- 2021年4月 2日 08:58
- 歯内療法日記
50代女性の患者さん、
わざわざ遠方から来院して頂き2016年に全顎治療を行わせて頂きました。
ただ、右上の第一大臼歯は前の歯科医院で治療してすぐ
ということで今回触らず経過観察をすることになりました。
結構根管が太く削られており、根尖病変が治る見込みのある歯だったので
下手に介入しない方がいいと判断
根管治療の成否は「細菌感染の有無」ですが、その感染状況というのは
今の歯科の世界では判断することが出来ません・・・
非常に判断の難しい所なのですが、再び治療介入するか!?それとも待つか!?
これは、歯科医師毎、患者さん毎に判断が異なります。
今回に関しては患者さんと話し合って経過観察の方向を選択しました。
1年近く他の歯の治療を行わさせて頂き、最後の日にもレントゲンを撮ったのですが・・・
病変に良くなってきている変化は見られません。
*個人的な意見としては治療後1年経過しても所見の変化が少ないものは治癒しにくいですが、
腫れや痛みなどの症状がなければそのまま経過観察も1つだとは思います。
それから4年
「ズンズンする感じで痛い」と連絡があり、来院して頂くと
根尖病変がまだ見られるのでまだ細菌感染が続いていると思われます。
患者さんも再根管治療を希望され、
根管治療をスタートさせました。
すると病変が見られるMB根(近心頬側根)
に破折にも思えるような深いイスムス(溝)があり、その部分を超音波で切削するとMB2を発見!
治療から2カ月続いていた違和感もだいぶ減った所で、
根管充填という運びになりました。
前回の治療でMB根がかなり太く根尖も削られていたので、
根充剤はMTAを選択させてもらいました。
治療から10か月後
違和感もなくなったとのことで、レントゲンにも病変の縮小傾向が出ています。
術後1年経過した所でクラウンSet
今回の場合結果論的にいえば「イスムス部+MB2」が感染源だったかもしれません。
前回の治療もきちんと治療して
裸眼で見て触れている部分は綺麗そのものでした。
我々歯科医師は、歯の掃除と称してヤスリで歯をゴリゴリ削りますが、
これって見えない感染源を、感覚だけで治療し歯の中に薬剤を入れ治そうと試みますが、
ピンポイントで怪しい汚れている部分を治療した方が治癒率は高い気がしております。
顕微鏡で強拡大しても細菌(0.003mm)は見えませんが、細菌が蔓延っているような怪しい部分の発見はできることがあります。
全ての歯が治せる訳ではありませんが、拡大視野下での根管治療というのは
歯の保存に関しては非常に有効だと思います( ・∀・)ノ゙
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