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耳鼻科受診時に歯が原因の上顎洞炎になっていると言われた。
- 2023年4月 7日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性
1週間前に咬んだら歯がどんどん痛くなった、鼻の症状が続く為耳鼻科を受診しCTを撮った所
歯の根元に膿を確認され、歯科が原因の上顎洞炎になっていると説明された。
抗生剤を処方され、今はだいぶ痛みなどの症状も落ち着きつつある。
一番奥の歯は3年前に痛みがあり虫歯治療をしてもらい、1年前にも痛みが再び出た。
その際先生に「知覚過敏」と説明され、シミテクトで磨いていたら症状が治まった。
レントゲンを撮らせてもらうと
3根とも根尖病変が見られます。
CBCTで診察すると
どうやら、3つある根尖病変のうち一番治療の難しいMB根が上顎洞炎の原因になっているっぽい
治療1回目
過去の人工物を除去すると、過去の治療で既に露髄(虫歯が神経に達する)しており
神経は完全に死んでおり、出血などは一切なし
ここから推測されるのは、3年前の治療で神経が弱り、1年前の痛みは既に神経が死んできて
最後のアラームを鳴らすように痛みというシグナルで悪い所を教えてくれたのですが、
そのシグナルを見落とし今回のような歯髄壊死 ⇒ 根尖病変 ⇒ 上顎洞炎 と症状が悪化したものと考えられます。
実際自分であれば、3年前の自発痛が出た時点で抜髄を勧めたケースかも!?
何とか神経を残してあげたいという先生の気持ちも分からなくはないですが・・・
下手に神経を残すと今回のようなことになる典型ではあります。
治療1回目で全ての根管を探し、形成、徹底的な洗浄を行う。
治療2回目(3週間後)
腫れや痛みもなく鼻の方も調子が良い!ということで根管充填(ガッタパーチャー使用)
この後、仮歯を入れ経過観察
レントゲン診査
腫れや痛み、違和感もなく鼻の症状も改善したとのこと
いつもは定期健診時にCBCTは撮らないのですが、今回上顎洞炎になっていたので
CBCTを撮らせてもらいました。
3根共根尖病変がなおりつつあり骨も出来てきてくれています。
特に上顎洞へ炎症を波及させていたMB根も治りつつあり、穴の開いた部分も骨が見えます。
今回のような虫歯治療時に露髄させてしまい神経が死んでしまうパターン
どうしても裸眼で見ていると小さな露髄は仕方がない面はありますが、
その後の症状でどう判断するかで将来が大きく変わってくることがあります。
歯科は診断(知識と経験)をまず当て、その後治療(技術)で治すという2つ成功させないと上手くいかないので難しい分野だと感じます。
今回のケース1年後にもう一度レントゲンを撮って終わりになります。
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