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膿が出て腫れる歯を何とか残せないか!?

患者さんは40代 女性  

20年前に神経を取りその後腫れてきてしまい、再根管治療を行ったが再び腫れてきてしまい

現在再々根管治療を行いレーザー治療を2回しているが歯茎からの膿が止らない為 

オープン(仮蓋なし)の状態

 

レントゲンとCBCTで診査を行うと

2023 EEdental KAM (1).jpg

MB根に大きな根尖病変が見られます。

*レントゲンでは確認にしくいのですがCBCTで見るとかなり大きな病変が確認できました。

  

ただ、現在やっている治療ですが、隔壁を作らずレーザー治療しても・・・

根管治療の失敗の多くは細菌感染の有無です。

まずやるべきことは、菌が入らないような環境を作り、その後歯の中の菌を減らすことで初めて治癒機転が作れます。

 

どうしても日本の保険治療費(2回目以降500円程度)では厳しい面も確かにありますね。

*物価のことはよくニュースで言われますが、保険料の改定は・・・

  

正直、タイの治療費を聞いて驚きました。

上手な先生の歯科医院ではレジン1本2~3万円するそうで、日本は設備は超一級品、世界一クリーンな環境で、治療費は4000円と後進国以下。。。

正直、後進国以下の治療費で結果を出さないといけない保険医の先生は大変だと思います。

  

まぁ、愚痴話は置いておいて、

 

歯を残す為にまず行うことは、

きちんと接着処理した隔壁(唾液・菌が入らないように煙突の筒を作ります)

2023 EEdental KAM (2).jpg

過去に2回根管治療を行っているので歯茎の下から歯がありませんでした。

電メスで歯肉をトリミングして、出血をコントロールしてレジンを流す。 

 

ここまでで治療時間45分 

根管治療は基本が本当に大切だと思っているので、ここは時間をかける所

 

その後、ラバーダムをして過去の人工物を除去、

根尖病変の大きかったMB根は案の定、もう1本の神経管(MB2)と太めのイスムス(細い神経管の枝)が出てきたのでその部分も処理を行い、その後徹底的な根管洗浄

 

治療2回目(1か月後)

腫れ・膿も止まり痛みもないことより根管充填+土台+仮歯

2023 EEdental KAM (3).jpg

MB,DB,P根は穿通はありませんでした、MB2のみ根尖まで穿通を行えました。

*根尖病変のない根管は無理に開ける方が問題が起こりますのでこれでOK

 

その後仮歯で生活してもらい、

半年後の今月レントゲン検診で来院してもらいました。

2023 EEdental KAM (4).jpg 

腫れや痛みもなく生活できているとのこと、レントゲンでも歯根膜が綺麗に戻ってきており

かなり上手く治ってきてくれています!

ここまで治れば本歯を入れても問題ないでしょう! 

    

根管治療はホント、手間と時間がかかる治療です。

数千円の治療費では難しい歯は抜いてしまい、インプラントになれば根管治療より手間のかからない治療で40万近く治療費が頂けるので、どうしても歯は無くなる傾向にあります・・・

ここの部分は歯科医師に批判がきますが、これは日本の国が描いた日本の歯科医療の形でしょうがないと私は思います。

 

日本の状況的に歯科医療を立て直す優先順位はかなり低いものとなっているので、

今後も抜歯 → インプラントの現状は残念ながら変わらないと思います。。。

 

自分の歯を長く使いたい患者さんは、①なるべく神経を取らないように、②もし神経の治療になったら1回目の根管治療でその歯の運命が大きく分かれると覚えてください。

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