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歯内療法日記: 2019年5月アーカイブ
口腔外科医 の歯根端切除 VS 歯内療法専門医 の外科的歯内療法
- 2019年5月18日 09:03
- 歯内療法日記
根尖病変(歯の先の膿)の原因は歯の中に入り込んだ細菌です。
教科書的にいえば、
1、長いポストの入った土台のあるもの
2、セラミッククラウンなどの高価な被せ物の入った歯
3、大きな病変のある歯
4、多数歯に連続するクラウン、ロングスパンのブリッジが入っている
などが外科的に根の病変を治療するというもの
ただ、私的にいえば 基準が古すぎる。。。
外科的に治す方法は最後の手段で、まずは歯の中の原因である細菌除去を試みないと・・・
根尖病変を治す為には「歯内療法」と『外科』の2つの手札、
最初に外科を選択すると次は抜歯で歯内療法には戻れません。
歯内療法を最初に選択すると、次は外科、それでダメなら抜歯
*トランプをする時に手札が2枚あり最初から最後の選択をするようなものです。
で、先の基準
1、長いポストでも顕微鏡さえあれば時間をかけ土台の除去は可能!
顕微鏡がなかった時代であれば長いポストの除去は不可能でしょうが、
今は顕微鏡があるので歯内療法専門医であれば大抵の土台は除去可能な時代
http://eedental.jp/ee_diary/2015/03/1-4.html
2、私は高価な被せ物といっても歯を残す為には被せ物を外す歯内療法を提案します。
例えば被せ物10万がある為に外科処置 ⇒ 失敗 ⇒ インプラント40万!(+更に造骨などの外科処置 10万)
歯の中のアプローチの歯内療法で治れば外科は必要ありません!
3、大きな病変のある歯でも根管治療で治るものは治ってくれます。
http://eedental.jp/ee_diary/2018/05/post-1760.html
大きな病変=「嚢胞」という判断ですがこれは完全に間違い!
根管治療で治らないとされる、嚢胞の割合は1割程度といわれていますから
私はまずは根管治療からスタートしますね。
4、ロングスパンのセラミックブリッジが入っている場合は・・・
これは考えてしまいますね。。。
一昔、二昔前は大きな病変がある⇒口腔外科で歯根端切除術
という流れでしたが、口腔外科で行っている病変を取って根の先を切る方法の
成功率はメタ解析で59%と出ており、だいたい2本に1本が抜歯となっています。
ただ、1990年に入り歯内療法専門医が行う歯根端切除術を改変した『外科的歯内療法』
http://www.eedental.jp/surgery.html
この成功率はメタ解析で94%と出ており、旧外科術式より30%以上高い成功率となっています。
ただ、全ての術式は先生の得意度に大きく依存する面もあり、
あまり外科積極的にしない歯内療法専門医の私なんかは外科的歯内療法の成功率が94%ともあるとは言えず、
個人的なイメージでは80~85%ぐらいあればいいかなという感じです。
知っておいてもらいたい結論は、根尖病変で行われる外科は
歯内療法専門医が顕微鏡下で行う外科を受けた方が歯の生存率は高くなります。
今回の患者さんは50代女性
過去に口腔外科で2本の歯根端切除手術を受けたとのこと
1年前から歯ぐきがブヨブヨするとのこと・・・
レントゲン
4・5・6のブリッジが入っており、5番の方に大きな病変・・・
6番も影はあるのですが、微妙な感じでこちらは上手く行っていそうにも見えますが・・・!?
レントゲン所見的には、
個人的には外科前であれば確実にブリッジ外して通法の歯内療法していたであろうケース。。。
5番もスロープ状に根がカットされており、
患者さんに「駄目元で最後にもう一度外科やってみる!?」と話し
なんとか残せるのであればとのことで外科的歯内療法をトライ!
で、
外科後1年のレントゲン
歯ぐきのブヨブヨ感もなくなりかなり引き締まった歯ぐきに変わっていました。
なんとか保存できそうです!
実は現在の歯科は細分化されており、専門性が問われる分野が存在します。
その代表格が歯内療法専門医なのです。
ただ、世界的に有名な歯内療法専門医のブキャナン先生もおっしゃられていましたが、
歯内療法専門医といっても全員が有能な訳ではない。(つまりピンキリ)
私もキリの方にならないように精進したいと思います(p・Д・;)
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手の感覚だけで削る奥歯の治療と問題点
- 2019年5月16日 09:15
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
最近、今年で45歳となり
歯科医師のピークを考え始めました。
個人的には歯科医師は
1、目の良さ
2、体力 / 気力
3、経験値
4、手先の器用さ
5、想像力 / 直感力
この中の最初の1、2は年々衰えて行きます。
歯科医師誰もが「老眼」というものに直面します。
やはり、昔ほど見えなくなってきているのをここ1~2年で感じます。
また、体力の衰えもヒシヒシと海で感じます(・_ ・; )
特に気にしているのが「目」!
歯科は医科とことなり歯という立体物をさまざまな角度から削る為
見えないより見えた方が圧倒的にいいのですが、
現実は殆ど見えない所を感覚だけで削っているのが実情です。
その為に治療対象歯の隣の歯を削ったりだとか、根の側面に穴を開けたりだとか・・・
銀歯を入れた隣の歯が将来的に虫歯になるのはこの切削も関与していると思われます。
多かれ少なかれ削ってしまいますが、
程度の問題もあるかと・・・
(歯科医師も技工士も気にならないのか!?気にしないのか!?)
私はこれらのエラーを出来るだけ減らしたいので、なるべく顕微鏡の拡大視野でを行っております。
また、今までは裸眼で削っていた部分もなるべく顕微鏡を使用して削るようにし始めました。
(来る本格的な老眼の為です。)
歯ぐきの上の歯がこのように削られているのですから、
歯の中の根管治療ではこんなこともたまに起こります。
患者さんは40代女性
一度口の中を全体的に治しておきたいという患者さん。
術前
近心根に根尖病変が見られます。
治療をスタートすると。。。
根管の軸に比べ、前側にズレた部分を切削した為に起こったものです。
黄色い線が根管の軸
ポストを掘るにしても、顕微鏡下で見ながら行えばこのようなことは起こりません。
その後、通法の根管治療を行い
(近心根:MTA根管充填)
9カ月後には綺麗に病変が治ってくれたので、
これまた顕微鏡下で土台のマージン(縁)を整え、セラミッククラウンまで
真ん中の歯がセラミッククラウン
レントゲン
病変もなおり、セラミッククラウンも綺麗に適合しています。
クラウンを綺麗に適合させる為には、どれだけ土台の縁を綺麗に整えれるかです。
(これも顕微鏡があった方が圧倒的に良い!)
先日も1件ありましたが、
特に前歯の被せ物に段差があったりしてそこが磨けないと腫れてくることがあります。
http://eedental.jp/ee_diary/2014/09/post-1028.html
↑こんなやつ
こういうケースは大体歯の支台歯(土台)の削り方がラフ!
クラウン除去後 マージンが一定ではない・・・
何にせよ、手の感覚で削る治療にはエラーが起こりやすいですし、
顕微鏡で治療するのは手間と時間と技術が必要になりますが、
もし私が治療を受けるのであれば顕微鏡はマストで使ってもらいたいですね!( ・ω・)ノ
(顕微鏡治療の多くは自費治療になりますが、やり直しの歯のダメージを考えれば1回の治療できちんと仕上げた方がいいと思います)
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続・膿の止まらない根管治療
- 2019年5月 7日 09:05
- 歯内療法日記
【歯内療法専門医】膿の止まらない根管治療
http://eedental.jp/ee_diary/2018/11/post-1832.html
外科後1年ということでレントゲンを撮らせてもらいました。
レントゲン
骨もしっかり出来ているのが確認できます。
今は腫れや痛みもなく生活に支障ないとのこと。
かなり大きな病変でしたがなんとか保存できる雰囲気がでてきました!( ・ω・)ノ
数日前に上げたブログもそうですが、病変の大きなものは『根管治療+外科的歯内療法』
をセットで行わないと歯の保存が出来ないケースもあります。
http://eedental.jp/ee_diary/2019/04/post-1908.html
GW後の疲れた時に出る違和感の大きな歯や歯ぐきから膿の出る歯
一度歯科医院で見てもらった方がいいですよ。
根尖病変は疲れた後によく症状を出しますからね!ヾ( ̄∇ ̄;)
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続・中心結節が折れた!
- 2019年5月 1日 09:06
- 歯内療法日記
令和初日
朝から海に行くも・・・
ほぼクローズで入れませんでした。。。。
今日は諦めて、仕事をします。
以前の「中心結節が折れたことによる歯髄壊死(歯髄感染)」
http://eedental.jp/ee_diary/2018/08/post-1808.html
術前時
歯ぐきから膿が出てくる状態
レントゲンを撮るも所見が分からづらいので
CBCTで診断
第2小臼歯の病変が大きくなり過ぎて隣の歯にも影響が出ており
第1小臼歯の電気歯髄診断でもかなり弱い数値に・・・
まずは第2小臼歯
2mm程度削り根管治療
この後、この穴は
レジンで埋めてしまいます。
で、
1年後
歯根膜の透過像も綺麗に歯根により添いびっちり骨が出来てくれました!
手前の第1小臼歯の電気歯髄診断値も正常に戻り神経を取らずに済みました。
歯ぐきも
綺麗に収まってくれています。
以上、経過報告でした(・ ω・)ノ
似たような、中心結節が折れてしまい感染したケース
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