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歯内療法日記: 2024年3月アーカイブ
奥歯の片方だけの神経治療
- 2024年3月29日 09:01
- 歯内療法日記
今回は凄くイレギュラーな治療ですが、
激細根管の歯内療法と歯髄断髄法 - EE DENTAL_Blog
第2大臼歯に行った断髄
あの後、10ヵ月後の経過もよかったのでかかりつけの歯科医院でジルコニアアンレーを作ってもらったのですが・・・
ジルコニアアンレーが割れて外れた後から、痛みが出てきた。
近心よりのジルコニアが割れて取れています。
ここ1年ぐらいの私の見解ですが、第2大臼歯にはフルジルコニアはやらなくなりました。
私が治療させてもらったケースでも問題が起こり始めており、フルジルコニアの取り扱いは止めました。
固すぎて、口腔内(他の歯)の経年変化について行けないのが原因だと推測しています。
比較的新しい材料にはどうしても起こってしまう問題であり、
やはり第2大臼歯にはゴールド修復に勝るものはないなと思っています。
*ただ色が「金色」というのが現代では嫌われますが・・・
歯科は新しい材料・テクノロジーが良いとはならない典型的なケースかと思います。
私は患者さんに言うのは
「歯科の場合、昔からある材料、続く方法が良いもの」と説明しています。
と言うことで抜髄を行うことにしました。
いざラバーダムをして治療を行うと遠心根の神経は生きている
近心根の神経からは出血がなく、
「遠心根の神経残せるんじゃないか!?」
と言うことで患者さんの先生に説明を行い
遠心歯髄保護、近心根抜髄という5年に1本ぐらいの超イレギュラーな治療を行うことに
基本的にはあまりこのような治療はしませんが、歯科医師の先生で治療方針に納得してくれたいたので行いました。
先日半年予後での来院
根の方に問題は出ていないようです。
先生も怖くて未だに補綴していないそうですが、今の所問題無さそうなので
先生には「白い詰め物諦めて、ゴールドアンレー入れてもらった方がいいですよ」と説明させてもらいました(笑)
巷では、ゴールド修復は古い! 時代はCAD/CAM、ジルコニアみたいな風潮ありますが、
オールドタイプの歯科医師なので、新しく出てきた材料ホントに良い材料なのか!?と懐疑的に見ています。
この辺りは先生のスタイルですが、私はどうやったら長く1本の歯を持たせれるか!?を考えたいので患者さんの白い歯の希望を叶えられないこともあります。。。
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根管充填材(ガッタパーチャー)の入り
- 2024年3月26日 09:06
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
右下6は2008年に私が抜髄を行った歯
何の症状もありませんでしたが、たまたま、2021年来院時にレントゲンを撮ると
根尖病変様の所見が見られます。
患者さんにはそのことをお話させてもらい、症状が出始めたら再診断後介入しましょうとお話していました。
2024年に入り違和感が出た後少し腫れて来たとのこと
レントゲン所見も少し透過像が大きくなってきているように見えます。
また近心根は根側面に透過像が広がり始め、折れているかも!?
とりあえず残す方向で治療を行いました。
2回法で根管治療+レジンコア+仮歯まで
4根管をガッタパーチャーで根管充填
開業当時から基本的な根管治療の流れは変わりませんが、大きく変わったのはレジンコアコアの作り方。
長期にわたり良い状況を維持するには、土台の精密さというのがあると思います。
逆に言えば、根管充填材の入りというのはさほど気にしなくなりました。
*できるだけ他の先生から指摘されないように、レントゲン上で綺麗に見えるようにはやりますよ(笑)
結局、今回の患者さんのように術前のようにガッタパーチャーが根尖付近まで入っていても予後が悪くなるケースも多々あります。
ですから、日本のようなガッタパーチャーが根の先まで入っていないから今後悪くなるという考え方は完全に間違っていると思います。
歯科医師は患者さんに分かりやすく説明する為に「薬」いいますが、実はただのゴム(正確にいうとゴムではないですが)
ですから、何の薬効もありません。
結局、根管治療の成否は細菌感染の有無で決まりますから、菌の活動性がない状況さえ作れていればそれでOKなんです。
EEデンタルではショート根充でも根尖病変さえなければ、「そのままでいいよ」と説明しています。
ただ、土台を外すような治療になる場合は必ず根管治療もセットで治療をさせてもらっています。
(この辺りは歯科医院毎に基準はことなります。)
さてさて、今回のケースやり直しをしたことで治ってくれるといいのですが(^。^;)
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パフォレーションによる鈍痛
- 2024年3月23日 09:01
- 歯内療法日記
先日書いた 歯の中に出来る石
歯の外にも石は出来ることがあります。
今回は大きな歯石を取った患者さん
患者さんは70代女性 近医の歯科医院を受診して治療を始めた所
歯に穴(パフォレーション)が見つかり、歯内療法専門医に行った方がいいと先生に紹介状を書いてもらいEEデンタルへ
話を聞くと昔から鈍痛はあった、昼は痛まないが朝方弱い痛みを感じることがある。
レントゲン
1回法でパフォレーションリペアから根管充填まで行いました。
*根尖病変は無かったので穴埋めメインの治療となります。
レントゲン
*MTAを使用
半年経過して、痛みもなく仮歯でも問題無く咬めるとのことでかかりつけでクラウンを入れてもらうように指示
1年後のレントゲン
クラウンも綺麗に入っており、症状も一切ないとのこと
今回のケースは早目の専門医受診が功を奏したと思います。
この状態で長々治療をされてから転院されるよりは1回目でスパッと先生が判断したことにより安定した予後が得られたと思います!
自分で治せる範囲なのか!?専門医に頼んだ方がいいのか!?判断するのも治療技術の1つだとは思います。
後、パフォレーションを治すには現代の歯内療法ではMTAセメント1択なのですが、保険治療ではMTAは保険適応外なので保険内で治そうとするとレジンやグラスアイオノマーセメントになりますが、これらの材料は水に弱いので顕微鏡下でかなりコントロールしないと接着出来ないのでこれらの材料の予後は悪いです。
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歯の中に石が出来る!?
- 2024年3月20日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
2024年1月に激痛が2~3日続いた後から、違和感が続く
歯科医院で診てもらったら神経が死んでおり神経の治療が必要と言われた。
神経治療するなら、歯内療法専門医とのことでEEデンタルへ
レントゲン、CBCTを見ると・・・
第2大臼歯に根尖病変が見られますが石灰化が著しい。
また樋状根(日本人女性の3割ぐらいに見られる難しい神経の形態)でもかなり珍しい神経形態
黄色の⇒ 銀歯に隙間がありここから細菌感染して神経が死んでしまったか!?
詰め物の精度は予後に影響することがあります。
赤色の⇒ 銀歯に段差にあり大きくセメントが残っておりそこから歯周病が進行(骨が減っている)している・・・
セメントの周りから膿が見えます。
見えないと治療してもこのようなケースになってしまうこともたまにありますが、
顕微鏡があればすぐにセメントの取り残しはチェックできます。
私は保険の銀歯が精度が特に悪いとは思いません。
極端に言えば、経験上銀歯よりセラミックインレーの方が適合は悪いと思っています。
ただ、歯科医院では銀歯よりセラミックが良いと言われますが、これは治療費の差であり
同じ費用であれば銀歯の方が精度が圧倒的にいいと思っています。
先日、知り合いの人に
「歯科医院でセラミックを勧めてきたんですが、断ったら先生の態度が一遍したんですが・・・」
たまに聞く話です(笑)
今回の患者さんの神経
咬み合わせの問題なのか、治療したことによる防御反応なのか、細菌に対する免疫反応なのか、
神経管の中からは、石(石灰化物)がコロコロ出てきました。
大きな石化物
小さなもの(0.3mmぐらい)含めると40個以上出てきましたかね。
こういうケースは顕微鏡はマストアイテムです。
小さな石(石灰化物)の除去には
写真下の#30Hファイル形状のマイクロデブライダーが使いやすいです。
見えないものは治療出来ません。見えればそれなりの治療は可能です。
使いやすい道具があるとより効率的に治療が行えます。
1回法で根管治療+レジンコアまで 治療時間1時間30分
殆どCBCTで見ていた形態に近い形で治療ができました。
ガッタパーチャー使用
この後、仮歯を入れて経過観察をしていきます。
歯の治療はすべてにおいて1回勝負です。
口の中は体の中で2番目に細菌が多いフィールドでの治療になります。
歯を長持ちさせたい方は、可能な限り精度の良い治療を受けらた方がいいと思いますよ
d(・ω・ )
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奥歯の土台除去は慎重に
- 2024年3月13日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
以前書かせて頂いた、歯科医師生活の中でも最も多いパフォレーション×5
歯を長く残したいなら悪くなる前にきちんとした処置を! - EE DENTAL_Blog
パフォレーション5個というちょっと患者さんが可哀そうにも思える状態
患者さんは知らないと思いますが、根管治療の土台除去って沢山歯を削ります。
なるべく起こさないようには行いますが、特に手の感覚だけで治療を行っていると削り過ぎて穴を開けてしまうことがあります。
顕微鏡で慎重に土台除去を行えばこのようなことにはなりにくいです。
骨の逃げていた近心頬側根を抜歯して仮歯を入れ1年
腫れや痛みもなく順調に経過しています。
この状態であれば本歯入れても問題無さそうですね!
歯の保存は、歯質の残存量にも依存するのでなるべくなら健康な歯は削らない方がいいですよ〆(・∇・ )
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太さ0.1mm以下の神経管の根管治療
- 2024年3月 5日 09:00
- 歯内療法日記
膿んでしまった根管治療 激難の穿通 - EE DENTAL_Blog
の予後報告
術前
歯を取り囲むような透過像
術後6か月
側枝が感染したいた様で、その部分がきちんと掃除出来たのか、術後6か月で骨の治りが確認できます。
術後1年
かなり早いペースで骨が回復してくれています。
今回のケースは先端が0.06mmのファイルを駆使して神経管を探しました。
こんな細い神経管は稀ですが、たまにこのように神経管が細くなってしまうことがあります。
こういった細い神経管は一度人の手が入ると傷つけられ、二度と元の神経管が分からなくなるので
成功のポイントは穿通技術の高い先生に最初から治療してもらうことでしょうか。
(自分的には根管治療の技術力はオリジナル根管の穿通力だと思っています。)
勤務医時代に抜去歯(抜いた歯)で診療後に100本以上抜髄練習してきた甲斐がこういう時に出ますね(・ω・)ノ
*興味のない範囲の治療の練習は殆どしませんでしたけどね(笑)
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