原因不明の膿
- 2016年3月 2日 08:59
- 歯内療法日記
近所の先生から
「他院で何回か根管治療をらしいけど腫れを繰り返すようです」
「難しそうな歯だから先生診てくれる?」
19歳の大学生の患者さん、
初診で見てみると
ここから膿が出てくるそう
話を聞くと2年前に抜髄、
1年後に腫れて感染根管治療を行ったとのこと
レントゲンでの診察
冠部歯髄部分を大きく削り過ぎてパフォレーション?
パフォレーション:歯の一部に人為的に穴を開けてしまう(削り過ぎ)
19歳ですし何とか歯の保存が出来ればいいのですが・・・(´Д`;)
意外と患者さんは知らないのが、
毎回同じ条件で治療を受けられていると思われていますが、違います。
治療の度に自分の歯は徐々に減り、それに伴うトラブルは治療の度に増えます。
実際は、
治療の度に歯の治療難易度は上がり、抜歯へと近づいて行っているのです。
この歯、治療を開始してみても、
予想していた部分にパフォレーションはなし
2回目の治療時も同じ所から膿が出てくるのでレントゲン撮影
う~ん、原因がよく分からない・・・( ̄△ ̄ゞ)
と思っていたのですが、
根管洗浄でNCを入れて顕微鏡で観察していると
近心頬側根の根中央部から、超微妙な出血が!( ̄ω ̄A)
*私は高濃度の次亜塩素酸Naを使用するので、しばらく軟組織に触れているとそこから出血してきます。
えぇ~、こんな所にパフォレーション!!!!!( ̄Д ̄;)
顕微鏡で観察していていてもまったく分からないぐらいの小さな穴
出血部分の止血をして、
その日のうちにMTAにてパフォレーションリペア
黄色○の白いものがMTAセメントです。
歯の上(髄床底付近)にあると思われた問題が
実は、もう少し下の細い神経管の側面にパフォが。。。
専門用語で側面にあるパフォを【ストリップパーフォレーション】と言います。
動画(1分30秒辺り)
:https://www.youtube.com/watch?v=ZDODkzJcmeQ
*今回のパフォの大きさは0.1mmぐらいで小さすぎる穴の為
初回治療では顕微鏡でも確認できませんでした。
なぜパフォが問題なのか?
歯の中は細菌まみれです、その歯の中で繁殖し続ける細菌が
0.1mmの穴から出て行ってしまい体と戦争をする訳です。
その戦争で死んだ体の兵士が膿という残骸になる訳です。
因みに細菌の大きさは0.003~0.006mm程度ですから
0.1mmあれば十分な出入り口になります。
パフォは「魔界と人間界の扉が開いた状態」なのです。
この部分の穴埋めを行うと、あら不思議
何カ月もあったフィステル(膿の出口)も綺麗に無くなり
しならく経過をみた所で根管充填
今後定期的に経過を診て行きます(・∀・)
歯の中の神経を削る際にハンドファイルだと
どうしても術者の削りやすい場所ばかり削ってしまいます。
また歯の厚みには限りがあるので、削り過ぎると歯に穴が開いてしまい
今回のようなトラブルになってしまう訳です。
いやぁ~、
顕微鏡があるとこんな偶然にも出会えるんですね!(・з・)ノ
しかし、近所の先生の
「難しそうな歯」という診断お見事ですヽ(・ε・)
- 購読
- Powerd By