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意外に多い根管の見落としと 0.06mmの道具を駆使する根管治療
- 2019年11月19日 09:07
- 歯内療法日記
歯の中にある神経管
部位ごとに大体本数が決まっており、
前歯:1~2本
小臼歯:1~3本
大臼歯:1~6本
と目安になるものはあるのですが、
実は2本でも神経管が寄り添っており手の感覚では1本に感じたり
Y字になっており、途中から2本に分岐したりするケースもあり簡単な治療ではありません。
見逃しはないことが理想なのですが、いかんせ発見の難しい歯というのは顕微鏡でも強拡大
(私の顕微鏡でいえば13倍ぐらい)で見ないと発見できないことも多々あります。
例えば、先週のケースの場合
髄腔開口を終えた所 だいたい開けた穴は3mm以内
この黄色い丸の部分約1mmの部分から
拡大後
3本の神経管が現れました。(本来の髄床底から下に1.0~1.5mm削っています)
*NCを入れて観察(ドライの状態だと3根見えません。*レンズ効果)
この歯はかなり難易度が高いケースで、穿通・拡大に45分近くかかりました。
先端が0.06mmの#06&先端が0.08mmの#08を駆使してガイドを作り、超音波、オリフィスオープナーで上を探り、
#10穿通後ニッケルチタンで拡大
因みに、口蓋根(P根)は太い神経だったので、1分で根管拡大は終わりました。
神経の治療で神経管を探すというのは、
「3畳の部屋の真っ暗な床の上に10円玉数枚落としました。全部拾ってください。」
と同じようなものですから、現実取り残しは出てしまいます。
今回の患者さんのケースも、手の感覚で行う根管治療では仕方がないという見落としケース
2本の歯に病変が見られますが、治療を行うと、
2本のうち手前の歯は神経管が2本あり、まんま1本手づかずの状態でした。
そこをきちんと治療してみると綺麗に病変は治ってくれました。
この下顎の小臼歯は10~20%の歯に2本の神経管が見られます。
今回のケースも入口は1つで途中の辺りで2つに分岐していた「Y」字です。
2本ある思って治療を行うのか、1本しかないと思って治療を行うのかで発見率は変わってきますし
今回のように途中から分岐するようなケースには顕微鏡がないと見つからないこともあります。
というか「見つからない」!
ただ、これ部屋に何枚落ちているか?
知っていると強いですよね!
専門医は歯の位置でだいたい出てくるだろう10円(根管)の数を知っているので
その点は取り残しが少なくなります。
ホント根の治療は細かい作業の連続です!( ・д・)
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