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根管充填剤のチョイスと根尖病変の治り

患者さんは30代女性

歯茎から膿が出てくるとのこと

2020 EEdental KY (1).jpg

左上3 左上4 に根尖病変が見られます。

 

左上3は教科書的に根尖までガッツリ削り、

きちんと根の先までガッタパチャー(GP)という根充剤が入っています。

左上4もきちんと2本の神経管の治療がしてありGPが入っています。

   

両方ともレントゲン上ではきちんと治療がしてあります。

 

で、この歯を治療させてもらいましたが、

両方とも過去の治療で先端まで治療してあり根の先が広く開いていました。

元々根の先の神経管の出口は0.3~0.5mm程度ですが、ファイルというヤスリで削ることで

先端が太くなっていきます。

  

本来最初の抜髄では根の先に細菌はいないので特に根の先を大きく削る必要はないと思うのですが・・・

 

今回の左上3は根の先が#90(0.9mm)以上まで拡大されていたのでMTAを選択

一般的に入れるGPはただのゴムで体を治す効果はなく菌の封鎖性も弱く・・・

 

根管充填剤にガッタパチャーを綺麗に入れる意味!?

http://eedental.jp/ee_diary/2019/07/post-1929.html 

 

2本ともMTA根管充填後1年 

2020 EEdental KY (2).jpg

黒い影も完全に無くなりました!(>ω・)ノ 

 

左上4は真っ直ぐな2つの管上の神経ではなく、

迷路のように2本が複雑に繋がるイスムスが見られ、その部分をはファイル(ヤスリ)ではなく

イスムスに合わせ超音波の先を曲げながらイスムス部を削合

複雑に繋がった空間にMTAで根管充填!

  

 

 

今回の場合

1つ目のポイント「歯の中の問題を見つけれるか!?」

これは顕微鏡の照明&拡大ツールがない見つけれません。

また発見する目を持つのが専門医の仕事です。

2つ目のポイントその問題点を削れるツールがあるか!?

私の場合超音波という道具で、その先端を加工してその場で道具を作ります。

 

たぶんこの辺りは職人の域で、同じことを何十本と繰り返さないとマスター出来ない技術です。

 

詰めた本人もこのイスムス部の根管充填は「美しい!」と思っています(笑)

*こんなのマグレですからねぇ、狙って行えることではないです。

  

 

そういえば講演で、ある有名な専門医の先生が「MTAで根管充填した方が病変の治癒が早い」

とおっしゃられていましたが、私もそんなような気がします。

 

ただ、MTAもなるべく根尖から多量にはみ出さない方がいいと考えます。

*根尖の開いた根の先からMTAは非常に押し出しやすいですが、使用できる材料の中では、一番生体親和性がよろしいものになります。

    

12月の講演でもこういった臨床ケースを動画で解説できればと考えています。

このイスムスのある歯の再治療はラバー&顕微鏡下で次亜塩素酸を歯の中に入れ、超音波チップの先端をベンディングしながらピンポイントにイスムスの溝を削ります。(洗いながら削り、更にはの熱予防になります)

 

 

細菌感染した歯にGPを根の先まで入れても治らないのは、

封鎖性の乏しい材料で根管内の感染源の多くを見逃しているからと推測します。

 

 

さてさて、この患者さんのもう1本の歯の話を、

 

 

実はこの患者さんもう1本根の先が膿んでいる歯があり・・・

2020 EEdental KY (3).jpg

 これも治療させてもらいましたが、

  

  

1回法で根管充填まですると・・・

2020 EEdental KY (4).jpg

GPが、根の先端よりだいぶショートしてしまいました。

*私は根充後、ラバーしたままでレジンコアまで入れて根充剤の入りをレントゲンで確認している為、年に2~3本どショートすることがあります。

   

患者さんには根充剤がだいぶショートしてしまったことを説明

半年後のレントゲンでも病変が治らない場合はやり直しの治療をさせてください(無料)

 

「GPの入りで治る治らないは決まらない!」と私は考え、菌の排除はきちんとできているはずだから・・・

 

 

で、この歯の1年予後で今週来てもらうと

2020 EEdental KY (5).jpg

黒い影も小さくなり治癒傾向が見られます!

*根充法:シングルポイント

**難しいコンテニアスウェ~ブは使いません。

  

 

またレントゲンをよく見ると根充剤の入っていなかった空洞部分の根管も細くなり、

【リバスキュライゼーション】のような現象が起こっています。

http://eedental.jp/ee_diary/2018/02/revascularization.html

*この場合、根管内をを埋めているのは骨様組織と思われます。 

 

 

私が学生の頃は根尖まで太く削って、側方加圧などで根充剤を緊密に根の先端まで詰める!

という教わり方をしてきましたが、

最近は大学で習ったことはかなり昔のやり方だったんだな!と思います。

NCとオキシドールの交互洗浄とか・・・

 

  

因みに、日本の裁判では根の先端までGPが入っていないという理由で裁判に歯科医師側が負けたという判例もあるそうですが・・・

http://eedental.jp/ee_diary/2016/08/post-1444.html

 

もう徳大寺さんの「間違いだらけの車選び」ならぬ【間違いだらけの根管治療】。。。

 

 

根の治療はホント奥が深い分野だと思います!

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