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根管治療のファイルは感染源(膿)にはならない!
- 2021年5月 1日 09:09
- 歯内療法日記
先生の中には歯の中にファイル(金属のヤスリ)が残っているから痛みが取れない。
根尖病変(膿)が出来てしまったとおっしゃる先生がおられますが、はっきり言います。
違います!
痛みが取れないのも根尖病変ができたのも「細菌」が原因です。
以前も初診の患者さんで、
「ファイルが根管内に残っているから将来痛みが出る可能性が高いので顕微鏡を使用して除去する必要がある」
と全く痛みのない歯の治療を勧められたが、
ファイル破折は難しいと知り専門医の治療を受けたいと来院がありましたが。。。
レントゲンと口腔内など一連の診査して、
開口一番、「今問題なく咬めているんですよね!? じゃあそのままでもいいですよ」
「歯の中のファイルは歯の中から動かないし、血管内に入って他の臓器に刺さることも100%ない」
「ファイル除去はできなくはないが根管内を大きく削るので、将来の抜歯のリスクは大きくなります」
「将来膿んでしまったり大きな痛みが出て再治療にもしなった際に、ファイル破折除去を行った方がいいと思いますよ」
と言って私は治療しませんでした。
ファイル破折に関しては過去に長々かいているのでこちらも参考に
今回は破折ファイル除去を試みたのですが、
「取れずにむしろ歯の外にファイルを出してしまった!」ケース
40代の女性患者さん
A歯科医院で根管治療をスタートしたが治らず転院、B歯科医院で外科を行ったが治らず、再び根管治療を行っているが腫れが引かないとのことでEEデンタルへ
歯茎からは膿が出ており、レントゲン・CTを撮ると
根尖(根の先)に小さいですが病変(炎症部分)が見られます。
歯の中には1本ヤスリも折れ込んでいるのが確認できますが・・・
この破折ファイル除去は難易度高め
顕微鏡で見える部分は入り口から真っ直ぐな軸:黄色
一方、ファイルの折れている軸は:緑色
このようにピンクの湾曲度が大きな歯ほどファイルは折れやすくなります。
偉そうなこと書いている私も先日折りました。。。
ファイル破折ゼロ 連続記録が・・・ - EE DENTAL_Blog
ファイル除去はまずファイルの折れている金属の断面を見つけることから始まりますから
ファイルへのアクセスの為には多くの歯を削ります。
1回目の根管治療は見えない治療が続き、
少しずつ超音波で削って行き見つけた!と思ったのですが終わりの時間が来てしまい終了
2回目の治療で少し攻めながら取りに行こうとファイル除去を試みたのですが・・・
どうやら攻め過ぎたようで。。。
ファイルを歯の外に更に押し出してしまいました。。。
見えないファイルは難しい(>。<)
患者さんにはレントゲンで説明して、膿が治らなければ外科で取りますと約束
先に書いたようにファイル自体は膿の原因にはならないので、
その周りの歯の汚れを超音波洗浄でかなり念入りに洗い、出来る限り根管内を綺麗にし
1か月後の治療3回目腫れや痛みのないことを確認して根管充填
MB根:MTA根充
かなり削っているのが分かります。
*MTAというセメント(コンクリート)で補修
治療3か月後
腫れ(膿)、痛みもない
治療後1年
腫れ、痛みはない
2つの病変綺麗に骨が出来てきています。
当然根充したときからのファイルの移動もありません。
この状態であれば外科は必要なさそうです。
ファイル破折はどうしても起こってしまうものです。
これはどんなに上手な専門医でも起してしまうものです、
ただ、折った後の診断をいかにするか!?で歯の寿命も変わってきます。
飛び出たのは過去にも1件経験がありそのケースもファイルはそのままで綺麗に治ってくれたので、
今回は待つという待機を選択しました。
歯が残ってくれてよかったです(^⊆^)
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