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根管治療で必要とされる細部の治療
- 2021年6月 8日 08:54
- 歯内療法日記
設定から世界と大きく違う日本の保険根管治療
細菌感染がなく、きちんと行えば9割近くが上手くいくと言われる抜髄
一方、ざっくりとした日本の保険根管治療成功率4~5割。。。
菌がいなかったにも関わらず失敗に終わり菌まみれの状態となった感染根管治療
の方が当然成功率は更に低くなります。
例えると、【抜髄】は新築の家の明け渡しの際に行う最終クリーニングです。
かたや、【感染根管】は雨漏りだらけで泥棒に入られ家の中をひっちゃかめっちゃか荒らされた家のクリーニングです。
あなたがクリーニングするなら、どちらが手間と時間がかかると思いますか!?
普通は後者の方が手間と時間がかかりクリーニング代はかかると思われるはずなんですが、
何故か、日本の保険治療は後者(感染根管)の方が治療費設定が安いことになっています。
これは世界的にも稀な治療費設定でしょう!
もう1つ問題点を話すと、
新築の家のクリーニングが上手く出来ない業者(歯科医師)が、後者の家の状態から綺麗な状態に戻せると思いますか!?
と、言っても保険治療自体「歯を長持ちさせる」という概念の元に成り立っている制度ではないので
自分の歯を長持ちさせたい!という患者さんはどうすればいいのか!?
今回の動画ケース
上顎6の近心頬側根(MB)の根尖病変
MB根には明らかなレッジがあり、CBCT画像で病変の位置的にMB2の疑いをかけました。
いきなり外科的歯内療法でトライするのも1法だと思いますが、私は通法の根管治療からスタートさせました。
コア除去後明らかに汚れたイスムスを発見!(黒くなっている部分は感染していると思われます)
またMB根は過去の2回の根管治療でかなり太く削られています。
イスムスを少しずつ削って行き、
MB2を発見! その後レッジの横からオリジナルのMB根の根尖を見つけ出し拡大・清掃
まず怪しい場所を見つけるには必ず顕微鏡が必要になります。
ただ、顕微鏡=虫メガネでありこれが根管内を綺麗にしてくれる訳ではありません。
マイクロオープナー、デブライダー、超音波、Ni-Tiと様々な道具を駆使していき
根管内の清掃を行います。
最近、コロナやオリンピックの対応で日本が後進国になったと言われ始めていますが、
日本の歯科治療費も後進国水準以下となっていますので、保険治療では多くを望めない現実があるのもまた事実です・・・
ホント、保険治療で頑張っている先生は患者さんとの板挟みで大変だろうと思います。
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