診断と治療の介入のタイミング
- 2023年3月24日 09:03
- 歯内療法日記
近医の先生から、ちょっと難しいケースだからと紹介を頂きました。
紹介状に
>変色があり、パノラマを撮影したところ歯根の短縮と歯髄腔が狭窄しているように見えます。
>外傷歴、矯正治療の既往があります。
>以前に他医でこの歯は大学病院のようなところでしか治療できないのではないかと言われたということです。
>本人は特に変色は気ならないが、この歯の治療が可能なのか、必要があるのかを知りたいようです
患者さんは40代の女性
左上1の色が少し茶褐色に見えます。
患者さんがいうには小学生の頃に埋まっていた左上1を矯正治療で引っ張り出してきたがその時から少し色が違ったとのこと。
レントゲン
この変色した歯だけ神経管が細くなっているように見えます。
CBCT
この歯だけ水平断で見てみても神経管が細くなっている。
矢状断
根の先の方には細くなった神経管が確認できます。
根の先も微妙な透過像があり。
患者さん本人の希望は
1、審美性より歯の長持ちさを優先させたい。
前回診断を受けたのは15年前(20代の頃)
とのこと、15年経過でこの状態、痛みや不快感などないのであれば今触る必要ないんじゃないか!?
根管治療をしようとすると、歯の上からの根管治療+外科的歯内療法が必要になってくる感じ。
そうすると、リスクの面からいえばパフォレーションの恐れ、外科処置による歯の動揺 など
あり介入したが為に歯の寿命を極端に短くしてしまう可能性:大
ということで今回は経過観察にしました。
ただ、患者さんには「非常に難易度が高い歯なので、もし治療が必要になった際には歯内療法専門医をはじめから頼った方がいい」
とお話させてもらいました。
患者さん毎にゴール設定はバラバラでいいと思っています。
もし、この歯を審美的に改善させたいという希望があれば、それはそれでベターな治療計画を考えますが、患者さんの希望は長持ちさせたいということでしたので、今回は経過観察がベターだと判断しました。
歯科治療はまずは診断が大切ですし、診断でその多くは決まってしまっています。
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