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歯内療法日記: 2014年7月アーカイブ

中心結節の破折後 1年3か月経過

以前ブログにした「中心結節破損による根未完成歯」

http://eedental.jp/ee_diary/2013/12/post-883.html

 

歯の赤丸部分に本来は小さな突起があったと推測されます。 

EEdental kaw4.jpg

折れた突起の影響で神経が死んでしまい根の先に病変が見えます。

 

また、この歯は歯が作られている最中に神経が死んでしまっているので、

このまま置いておいても根の先は完成されません。

 

 

この歯には特に大きな虫歯もなく健康そのものの歯だったので、

咬む面に2.5mmぐらいの小さな穴を開けてそこから根管治療を行い、最後はその部位にレジン充填を!

 

こんな感じ

 

 

このケースは根尖にMTAを用いて根尖の閉鎖を行いました。

 

MTAを使用すると、歯が黒く変色することがあるのですが、

MTA.jpg

今回のケースは1年経過しましたが、今の所変色は起こっていません。

 

逆に言えばこのような根の先が完成していない歯に関してはMTAを使用しないと予後が悪いので

術前に患者さん、お母さんに、

「黒くなるリスクはあるが、今の年齢だと歯を残すことを考えた方がいい」と説明はしています。

また、「もし変色して20歳ぐらいに見た目が気になるようになればその時に大きく削ってセラミックを入れればある程度綺麗にできるから」

とも話しました。

(二十歳まで後8年近くありますが・・・)

 

うまく歯が残りそうな雰囲気はありますが、変色せずに経過するか見て行く必要がありそうです。

 

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根管治療後、根尖病変が治る(骨ができる)には時間が必要

術前

昔延長ブリッジを入れる為に、神経を取ったという患者さん

EEdental mu (2).jpg

奥歯の根管治療は難しいのですが、赤く示す部分に大き目の病変が2つできてしまっています(p・Д・;)

 

 

大きな根尖病変があるので、このケースでは抜いてインプラントと判断されたらしいのですが、

もともと、この歯は奥歯が無くなり、延長ブリッジを入れる為にわざわざ神経を取ったらしいのです。。。

 

 

 

個人的には、

わざわざ健康な歯を犠牲にしてまでこの処置は行わなかった・・・(>。<)

 

ただ、大切なのは今ですから、この状態からベターな状況を作ることを考えます(`・∀・)ノ

 

 

先日書いたように、「歯内療法(根管治療)VS インプラントの成功率のからくり」

http://eedental.jp/ee_diary/2014/07/post-995.html 

歯が折れていなければ、一度きちんと根管治療を受けられ歯を残す治療を受けた方がいい訳です。

 

ただし、前提はラバーダムなどきちんと行ってです。

 

 

今回のケースは治癒傾向がなかなか出なかったのですが、

臨床症状(腫れる・痛む・膿がでる)が何もなく快適に咬めていたので仮歯でずっと様子をみて2年経過したレントゲン

EEdental mu (1).jpg

だいぶ病変に縮小抵抗が出ていますが、完全に影は治っていません。

(吉岡先生、これは不完全治癒でいいんですかね?)

 

 

2年全く問題なく使えている経過から、そろそろ本歯を作ろうと患者さんに話した所です。

 

 

病変が大きくても、1年で大きく改善してくる人、2年近くかかる人、

根の治療の治癒というのは様々でこの部分だけ見ても『奥が深いなぁ』と思いますd(・ω・ )

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歯内療法(根管治療)VS インプラントの成功率のからくり

最近、「この歯は持たないから抜いてインプラントにしましょう!」と先生に言われEEデンタルに来院され、

「先生この歯が残りませんか?」

という患者さんが多くおみえになられます。

 

 

私の感覚から言えば、

【あ~、残念ながらこの歯は抜歯した方がいいですね】 2.5割

【難しい歯ですが、何とか治療してみましょう!】 4割

【この歯であれば根管治療をされた方がいいですよ】 3割

【えっ、この歯抜歯言われたの?全然抜く必要ないですよ】 0.5割

 

という具合で、多くの歯が治療対象歯になります。

 

 

昔からブログ書いていますが、歯科治療とはその先生の得意分野で治療が行われるので、1本の同じ歯を見ても

インプラントの先生の歯科医院にかかればインプラントの治療の提示をされる訳です(´-ω-`;)ゞ

  

また保険治療の治療費が安すぎるという社会的因子も無視できません。

 

根管治療1本1万円(患者さんの負担3000円)

インプラント1本30万~40万(全額自己負担)

また、多くの場合でインプラントより奥歯の根管治療の方が手間はかかります。

 

経営者として考えてみれば当然後者の方が効率がいい訳です。

 

ですので、少し悪くなった歯はとっとと抜いてインプラントがいいよ!という状況が生まれるのです(´Д`;)

 

 

 

面白いのが成功率、

歯内療法は専門医のデーターでおおよそ成功率が80~90%ぐらい

インプラント治療の成功率95%と言われています。

 

ただ、この成功率というのは同じ物差しで測っているのではなく インプラントの成功率にはからくりがあります。

 

実は、歯茎に問題があったり、見た目に問題があったりしても、インプラントを支える骨が減ってきていても、インプラントが口の中にあれば成功とカウントされているので、かなり「甘~~~ぃ」基準なのです。

 

すなわち、この成功率のことはサバイバル(生存率)とも言われます。

  

先日の歯内療法学会でキム教授の出された興味深いデーターでは、この生存率の基準で言えば、

歯内療法:94%

インプラント:95%

と差はないのです。

 

つまり、根の治療を行った歯でも、多少病変があっても問題なく咬めていれば成功とカウントして行けばインプラントのイメージ成功率と差はないのです。

 

 

逆に言えば歯内療法の成功率の基準とは年々厳しいものになってきており、その厳しい基準をクリアーしたものだけが成功とカウントされています。

 

 

少し厳しい基準で両者を見てみると、

・健康的な状態で保存できている 

歯内療法:82.1%

インプラント73.5%

と成功率が逆転してしまうそうです。

 

 

インプラントの場合17.9%が多少の問題はあるが、抜けてきていないというケースがあり、

この数字を成功とみなすのか?失敗とみなすのか?で大きく成功率が変わってしまいます。

(良いイメージを生み出す数字のマジック・・・ )

 

 

ただ、この歯内療法の成功率も歯内療法専門医のデーターですので、一概に成功率80%以上とは日本では言えず、

個人的な感覚ではラバーダムもしない細菌まみれの日本の保険治療の根管治療であれば成功率50%あれば良い方だと思います。

  

30年前から変わらない6000円~1万円の治療費ではこの数字でも個人的には結構立派に思うのですが、ただ21世紀の患者さんの感覚は違います。

 

海外のように1本7~10万円の費用が頂ければ、日本の歯内療法の世界もガラッと変わると思うのですが、財源のないこの国では仕方がない問題なのかもしれません=( ̄。 ̄;)

 

根の問題で抜歯と言われた歯でもインプラントの前に質の高い根管治療を受けられ自分の歯を守った方がいいように思えます(´・ω・)ノ

 

 

 

個人的には歯を残したければ、

インプラントの先生より歯内療法を専門で行っている先生の歯科医院でまずは相談された方がいいと思います。 

(知識・技術がものを言うのが歯内療法です http://www.eedental.jp/endo.html )

 

 

 

以上、成功率のカラクリでしたd(・ω・ )

 

 

あ~~、ここまで書くとネジ屋さんからクレーム来るかなε=ε=ε=┏(゚ロ゚;)┛

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質の高い根管治療で、歯は1本でも残した方がいい!

知り合いの口腔外科の先生からの紹介患者さん

 

まだ20歳前で何とか歯を保存させたいとのこと

EEdental i (2).jpg

 

とりあえずレントゲンを撮ってみると・・・

EEdental i (1).jpg

歯のだいぶ中の方まで虫歯が進行中(若い患者さんほど虫歯の進行が早いです)

+根の方には根尖病変(膿)( ´_`)ノ

 

 

とりあえず、1回目の治療で45分近く顕微鏡をのぞきながら少しずつ虫歯を除去していき、

(ガァ~と削ると歯に穴を開けて抜歯になる可能性が高かったので)

 

 

治療2回目の今日

何とか根管充填終了

EEdental i (3).jpg

奥歯の根管治療は難しく、最初の治療で中にだいぶレッジが形成されており、

これを1つずつ修正+消毒をしていきました。

(奥歯の根の治療のやり直しは最初の根の治療よりかなり難しいんですよ・・・) 

 

 

まだまだ治療途中ですが、何とか20歳前に歯を抜かずに済みそうです!(`・∀・)ノ

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偉くなっちゃって~

先週の金曜日お休みをもらって、新潟の方へ歯内療法学会に行ってきました。

(豊橋⇒新潟 新幹線で4時間半)

 

 

到着した夕方に歯内療法学会の教育研究委員会に出席したのですが、

(一番下っ端なので、とりあえず失礼のないように一番に会場入り)

DSC00299.jpg

大学の教授人に混じって・・・

  

 

完全に場違い((((( ̄_ ̄;)

 

と言うか、完全に人選ミス!

 

 

  

次の日の朝一に会った吉岡先生に

「偉くなっちゃって~」

と言われましたが、

 

 

一生、光栄の三国志のゲームでいう『在野武将』でひっそりやって行きたかった。。。(TДT|||)

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大きな病変を根管治療で治す まとめ&報告 歯内療法専門医

過去に経験のない大きな膿袋(感染根管処置)

http://eedental.jp/ee_diary/2013/09/post-836.html

術前 (大きな病変+パフォレーション)

EEdental nat.jpg

このケース1年が経過しました。

  

 

 

ただ、手前の5番は生活反応がなく、6の病変が治ると共に神経が回復してくれないか期待していたのですが、

CI18 2014 3 18.jpg

治療後9カ月

 

右下6の大きな病変の治癒を診て行くなかで5の根尖だけは透過像が変わらず・・・

 

やはり根管治療が必要となってしまいました。

EEdental nat1.jpg 

黒く見える骨が無くなった部分に白い影(骨)が出来上がってくれています。

 

追記:1年半近く経過後

2015 EEdental byouhen.jpg

風船がしぼむように黒い影は小さくなってきてくれています!

  

 

患者さんに説明を行い5番の歯は3mmの穴からの根管治療を行い、ドロップテクニックのみで充填を行いました。

 

治療1例、

EEdental doroltupu.jpg

青い部分から歯の中の神経の治療を行います。

(こうすることで、被せ物ではなく詰め物で自分の歯をたくさん残せます)

 

 

 

今後は右下5も含め経過をみていきたいと思います。

*1年経過後全身麻酔で入院という事態は避けれそうです(^ω^) 

 

個人的には、大きな病変があってもまずはラバーダムをした丁寧な根管治療を受けられることをお勧めします!d(・∀<)ナイスッ

 

また大きな病変ができてしまった理由というのは、ラバーダムもしない奥歯の根管治療が原因です。

もし、このような状況になりたくなければ、

きちんと細菌が歯の中に入らないような配慮をしてもらい治療を受けられた方がいいでしょうねヾ(・∀・)/

  

 

過去の病変が大きかったブログより、

 

 

大きな病変 根管治療後1年経過

http://eedental.jp/ee_diary/2013/11/1-1.html 

 

 

貼薬剤に頼り過ぎない根管治療

http://eedental.jp/ee_diary/2013/07/post-806.html 

 

今年最も長い根管治療

http://eedental.jp/ee_diary/2011/12/post-418.html 

http://eedental.jp/ee_diary/2012/12/post-663.html 

 

 

歯を残す仕事が歯内療法専門医

http://eedental.jp/ee_diary/2012/07/post-550.html 

『大きな病変の根管治療』

http://eedental.jp/ee_diary/2011/06/post-314.html 

 

 

いぃ〜んじゃない!?根管治療

http://eedental.jp/ee_diary/2009/11/post-13.html 

 

 

セラミッククラウンを長持ちさせるには

http://eedental.jp/ee_diary/2014/03/post-936.html 

 

以上、

こうならない為にも虫歯を作らないように気を付けましょう!ヾ( ・∀・)/

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9月28日中部歯内療法学会

名前だけの理事です。

歯内療法学会の理事になると、もれなく支部会の理事も兼任とは・・・

 

 

聞いてないよぉ~!!⊂(゚∀゚⊂)

 

 

とは言え、仕事らしいことをしておかねば、

 

 

お知らせ

 

9月28日 ウインク愛知で中部歯内療法学会が開催されます。

 

日  時 : 201928日(日) 10001600

会  場 : 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)1002会議室

        JR名古屋駅 徒歩3分 名古屋市中村区名駅4丁目4-38

大会会長   吉田 隆一(朝日大学)

実行委員長 : 松永 健嗣(石川県開業)

役員会:9:00~9:30

学術大会 受付開始:9:30

開会の辞:10:00 大会会長 吉田 隆一(朝日大学)

.一般口演  座長:高城 周作(愛知県開業) 

1010~ ① 超音波ナノバブル薬剤導入法を用いた歯髄再生の検討

  • 藤田 将典, 林 勇輝, 中田 和彦(愛知学院大学歯学部歯内治療学講座)

庵原 耕一郎, 中島 美砂子(国立長寿医療センター)

          幹細胞を組み合わせた骨再生療法

          ○ 田中 雅士, 吉田 隆一

(朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯内療法学)

2.臨床のヒント  

1040~ ① Ni-Ti ファイル Wave OneS.A.F.の役割分担

        ○山口 正孝, 江幡 香里, 山本 和也, 中田 和彦

(愛知学院大学歯学部歯内治療学講座)

  1. 歯内療法を行うとき知っておくべき

オールセラミックスマテリアルの特徴

           松永 健嗣 (ケン歯科クリニック 石川県金沢市開業)

  1. 企業インフォメーション  11:30~

  • 昼食 12:0013:30 

         

  1. 特別講演  

    1. 13:3014:30 座長:山口 正孝 (愛知学院大学)

        「 歯内療法におけるコデンタルスタッフの重要性 」

           吉竹 弘行(兵庫県開業)

  ②14:4515:45 座長:松永 健嗣 (石川県開業)

「 外科的歯内治療とアシスタントワーク 」

           澤田 則宏(東京都開業)

総合ディスカッション 15:4516:00

閉会の辞:中部支部会会長 松本 享(愛知学院大学)

 

 

 

 

だ、そうです。

 

 

役員会が9:00~

 

また、朝早いなぁ~。。。(´Д`。) 

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