Home> 歯内療法日記: 2021年11月アーカイブ
歯内療法日記: 2021年11月アーカイブ
親知らずの影響で歯茎の下の虫歯+咬合性外傷で神経が死んだ
まずは術後1年
どこを治したのか!?
自分も分かりませんでした(笑)
患者さんは20代女性
2カ月前に親知らずを抜歯し、その際に第2大臼歯に虫歯があると指摘される。
最近寝る前になると痛みが出ており、今は歯が浮いているような感じがある。
近医では神経除去後にクラウンにする治療が必要と言われた。
本人はなるべくクラウンにしたくない。。。
とのことで、EEデンタルへ
レントゲンを撮ると、
かなり大きな虫歯+オープンバイト(奥歯しか当たっていない嚙み合わせ)による咬合性外傷とも思える神経の死+歯根膜腔の拡大
その後、CBCTで精査すると、
樋状根、根尖病変+歯根吸収にも思える大きな根尖口
見るからにこれは治療難度がかなり高い。。。
患者さんには近医の先生の治療方針が教科書的でセオリーであることを説明
かなり手間をかければレジンでの治療も可能だが、それよりまず歯が残せるか!?
というかなり難しい状況であることを説明
とりあえず残す方向で1回法にて治療を行うことに、
まずは、先日も書いたような歯茎の下の虫歯治療
綺麗にカリエス除去+レジン充填が出来ました。
参考:親知らず周りに食べカスが詰まりやすい人は要注意 - EE DENTAL_Blog
さて、ここから咬む面に3mmの穴を開け根管治療
樋状根だったのですが、歯の成長途中で神経が死んだかのようにかなり広い歯髄腔
術前時に患者さんにはMTAの使用する可能性が高いことを説明していたので、
開いた根尖にMTAプラスで根管充填、その後3mmの穴を埋めるようにレジン充填
話は反れますが、
3mmの穴からのコンサバティブエンドアプローチの実習を来年行う予定ですが、
年明けにでもやり方のHow toスライドを作らねば・・・
術後のレントゲン
1回法:2時間半
若いので髄角の張り出しが大きかったです。
追記:似たようなケースの治療動画
年に1本ぐらい同じことしていますね(笑)
ここから経過観察
1年後の来院時 【治療をしたのは写真一番左の歯】
痛みや違和感はなく、問題はないとのこと
レントゲン
連続する綺麗な歯根膜に戻ってくれています。
*根充剤は樋状根だった為、MTAプラスを使用しましたがこのMTAは造影性が低く、断髄したようなレントゲン所見ですが根充剤はきちんと入れています。
患者さんには「他院で何か言われたら、このまま触らないようにしておいて」と説明
かなり難易度の高い歯でしたが無事歯の保存の方が出来ました!
患者さんも喜んでくれて一安心。
今回のケース、個人的には完全にまぐれだと思いますので、
同じケースで来院されてもの再現性はゼロですのであしからず・・・( ̄ー ̄;)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
抜歯宣告をされた第2大臼歯
- 2021年11月27日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
ずっと違和感があり、歯茎からは膿が出てくる。
近所の歯科医院の先生には「抜歯」と言われたとのこと。
レントゲンを撮ると、
過去に頑張った治療痕が見られ、結構太く根管内を削っているようです。
根分岐部(根と根の間)の骨も溶けているような根尖病変が見られますが、
たぶん前の先生もお手上げ状態で根管充填材は何も入れてないようです。
患者さんに先生が言うように残すには難しい状態だが歯を残す為に治療をトライしてみるか!?尋ね
患者さんの了解を頂き、根管治療スタート
予想通り、過去に治療で根管内は何も充填されておらず、かなり太く削られていましたが根管内はかなり汚れた状態
とりあえず1回目の治療で中を徹底的に洗浄し
3週間後の治療2回目
歯茎の膿も無くなり、痛みなどもない状態になったので根管充填+レジンコア
根の先が大きく開いていたのでMTAを使用
*近心根多少オーバー、遠心根はボイド
でも、私はこのぐらいは全く気にしません!あまり結果に大きな影響はないと考えています。
その後経過観察で5か月後
だいぶ骨が出来てきてくれています!
(外に出たMTAは吸収されているようです)
腫れや、痛みもないことよりゴールドアンレーSet
1年予後のレントゲン
不快症状も一切なく問題なく嚙めているとのこと、
レントゲンもかなり良い感じで骨が出来てくれています!
下顎の第2大臼歯は非常に複雑な神経管をしていることがあり予後の悪い歯です。
また根管治療は治療出来る回数が2~3回でその次は抜歯となります。
今回の患者さんも先生に抜歯宣告をされ、自分で何とか残す方法はないかネットで調べ
歯内療法専門医がいることを知り、県内から来院されました。
基本的に今の歯科の世界は「歯内療法専門医」というものはそこまで認知されておらず、
口腔外科医のように市民権を得ていません。
*歯内療法専門医の対応や取り決めがないことにも問題があるとは思いますが・・・
また田舎だと歯内療法を専門に扱う先生がいることを知らない先生もおられます。
(特に大都市でないと専門医はいないので仕方がないことかもしれません)
日本は保険治療が充実している為、近所の医院での治療が一般的ですが、
歯ほど取り返しがつかない分野もないので、上手な先生がおられれば多少の移動時間は目をつぶった方がいいと思います。
因みに私は極々普通の専門医レベルです(笑)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
根尖病変が見えなくても違和感の強い歯
- 2021年11月23日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
ズ~ンとしか違和感を絶えず感じているとのこと
レントゲンを撮らせてもらうと
第2小臼歯(5番)に根尖病変があるので、この歯の治療を計画し
1回法にて、2つの根管を探し根尖まで根管充填
たぶん前の先生も手こずったんでしょうね、歯の中にはビタペックスが入っていました。
ビタペックス:乳歯に詰めるカルシューム系の材料
ビタペックスを使った為か、覆髄しかたのように歯髄は石灰化しておりました。
その後、他の問題ある歯を治療していき経過をみていきましたが、
左上の違和感はのこったまま。。。
1本奥の第一大臼歯
歯茎の下の大きな虫歯を隠すようにレジンが詰めてあったので
根尖病変はないのですが、根管治療からやり治すことになり、
1回法にて根管充填+レジン充填まで、
殆ど手づかずの頬側の3つの神経管を見つけ出し掃除を行いました。
その後コロナの影響もあり、4か月後に久しぶりに来院されたので話を聞くと
「前回の治療後すぐに不思議なほど症状は無くなった」とのこと
レントゲンを撮らせてもらうと
最初に治療した第2小臼歯の根尖病変も綺麗に治ってきてくれています。
ただ、第一大臼歯の治療後すぐに違和感が消えたとなると今回の症状は
第一大臼歯が出していた問題なのかな!?とも思えます。
根管治療は0.1mm単位での治療ですので歯科治療の中でもかなり繊細な治療です。
それが故に術前のように先まで掃除出来なかったり、神経管を見逃したりしてしまいます。
歯科治療の中でも特に難しいんですよ、根管治療って。。。
ただ、やり方さえ覚えれば抜髄はすんなり根尖まで治療は可能です。
第1回「超実習型エンドハンズオン」 無事終了! - EE DENTAL_Blog
第2回「超実習型エンドハンズオン」終了! - EE DENTAL_Blog
第3回 超実習型エンドセミナー 無事終了 - EE DENTAL_Blog
*セミナーに参加して頂いた先生方がたまたま上手なのかもしれませんが・・・
今回のように根尖病変が無くても違和感を出すということは極々たまにあるので
違和感の治療というのは怪しい歯から1本ずつ潰していくしかないのが現状です。
大きな虫歯が原因で治療をさせてもらい結果違和感が取れ一安心です(^―^)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
わざと虫歯を残す治療法「シールドレストレーション」
- 2021年11月19日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは40代男性
昔からEEデンタルへ来て頂いている方で当院の治療方針をよく熟知している方
ただ、この方、非常に虫歯になりやすい体質で、
今回は何かちょっと右上がおかしいと来院されました。
口の中を裸眼で覗いても特にはおかしくないように見えたのですが・・・
レントゲン
歯と歯の歯茎よりから虫歯になってしまっております。
この部位からの虫歯は発見が非常に難しく、レントゲンでの審査が有効になります。
ピンクの線が神経で、黒い部分が虫歯。
ただ、虫歯がレントゲンより一周り~2周り大きいのが現実
つまり通常の虫歯治療を行うと、確実に神経を取る治療に・・・
ただ、残したいですよね神経!
因みに、この患者さんの最初の来院(11年前)の目的は「神経を残したい」でした。
患者さんには、とりあえず神経保存の方向での治療を行うことを説明
私の神経保存の条件は臨床症状がない(痛む、温かいもので凍みる)です。
幸い軽い違和感を感じる程度だったので、
この場合、私は「シールドレストレーション」 or 「AIPC」
という間接覆髄系の術式を選択し患者さんに説明
最近はあまり直接覆髄はしません。
理由は直接覆髄法は間接覆髄法に比べ成功率が低いから。
例えば、今回虫歯を多少残しても10年神経が保存できたら、
10年神経を取る治療を先延ばしにできます。
「歯を残すことを専門」にしてきて歯を長持ちさせる方法は
①できるだけ神経を取る処置をしない
②健康な神経を取るのはできるだけ先延ばしにする
この2がポイントです。
覆髄系の勉強は、
泉先生の「治る歯髄 治らない歯髄」という本が素晴らしいです!
歯学書ドットコム | 治る歯髄 治らない歯髄 (quint-j.co.jp)
患者さん向けに怖いことをいうと、
虫歯除去というのは術者の匙加減で
虫歯は6層構造といのが今の考え方で
虫歯菌が多い>>>>>>虫歯菌が少ない に分かれます。
菌の多い上から4層目まで除去しましょう!
というかなりざっくりとした基準がありますが、これもどこまで信頼できる基準なのか!?
またやっている歯科医師はどこが2層目なのかどこから4層目と5層目の分かれ目かなどは全く分かっておりません。
じゃあ歯科医師は何を基準に虫歯を取っているのか!?
答え、歯の固さ
*柔らかい所=虫歯 固い所=健康
そう、かなりアナログな方法でアナログ故の個人差・技術差も出やすいものなのです。
今の歯科材料で虫歯除去使えるものは、
『う蝕検知液』(虫歯の部分を済め出す液)は4層目まで染まるとされています。
ですので、う蝕検知液を使用している歯科医師は手の感覚+視覚的な虫歯の確認をしている丁寧な治療をしています。
ただ、経験上で言うと染まらない虫歯、染まりすぎるような虫歯もあり、あくまでも目安です。
また、う蝕検知液を使うと、本来削らなくていい層まで削ってしまうという考え方もあります。
もう虫歯除去はカオスです(爆)
虫歯治療の1つの例えでは、
裸眼で適当には虫歯の2層目まで削って詰め物をする先生
顕微鏡で検知液を使いガンガン削り6層目付近までしっかり虫歯を除去する先生
患者さん的には後者の先生の方が予後が良さそうに思えますが・・・
深く削れば神経付近まで削ることになるので、深く削った方が後で症状を出しやすく結果神経を取る!
ということも言えます。
つまり逆に虫歯を残した方が神経保存には予後がいいという矛盾!
私も以前は虫歯を残す「シールドレストレーション」否定派でしたが、
今は顕微鏡下の緻密な封鎖ができれば全然あり!だと考え方が変わっています。
自分の子供も同じような虫歯でシールドレストレーションを行っています。
カリオロジーの大野先生との飲み会もいいきっかけになっています。
治療方針の差 と 選択肢の1つであるべき短縮歯列(SDA) - EE DENTAL_Blog
シールドレストレーションとは、
「虫歯菌のエントーム(生き埋め・埋葬)」
ポイントは、覆髄の基本「封鎖を確実に行う」こと
今回のケースも神経付近だけ局部的に虫歯を残し
「シールドレストレーション」で治療を行いました。
神経付近は神経を出さないように顕微鏡下で慎重に削れる所まで削り、
マージン部分(縁)の虫歯は徹底的に虫歯を除去しレジンの封鎖性を追求
文字に起こして簡単に書いていますが、かなり手間のかかる治療で
これを保険治療でと言われても断る先生が大半だと思います。
私も勤務医時代の保険治療ではこのレントゲン見た瞬間に
「神経の治療(根管治療)と銀歯の治療になります」と120%答えていたケースです。
神経の保存など考えもしなかったです。
理由は手間をかける割には覆髄系の治療は不確定要素が多く、予後が悪いと患者さんに下手の烙印を押される治療ですから・・・
相当理解ある患者さんじゃないと。。。
今も神経の保存は積極的に行っていますが、神経の保存を行った後は患者さんには
「持続痛、温水痛(温かいものが凍みる)など出たら処置が間違えという体のサインだから抜髄します」と説明しています。
今回治療させてもらった患者さんが、2か月後に他の歯の治療で来院されたので
レントゲンを撮らせてもらいました。
患者さんは一切症状なく、かなり調子がいいとのこと
レントゲンでは神経が弱っているようには見えません。
短期予後なのでこの後、1年後にもう一度レントゲンチェックを行います。
歯科治療は虫歯の治療1つとっても奥が深い!
帰りがけに患者さんに、「年1回でいいから近くの歯科医院で診てもらってね!」と説明すると
患者さんが、「T先生(超有名な先生)の歯科医院でメンテナンス受けているのですが、院長先生に
『この治療痕は海外で治療されましたか!? どこの歯科医院で治療しました!?』」など色々聞かれて・・・
とのことで、私のことを言っても大丈夫か聞かれましたが、
適当に「その辺の歯科医院」と答えればいいですよ(笑)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
歯内療法専門医のテクニック
- 2021年11月 6日 09:09
- 歯内療法日記
以前の関連ブログ
根管治療で必要とされる細部の治療 - EE DENTAL_Blog
レントゲン
近心頬側根に上顎洞を押し上げるような根尖病変
過去に2回根管治療がしてあり、薄い歯質と長いスクリューピン(ネジ)
このようなケースは顕微鏡下による確認と超音波によるコア除去が有効
術中の確認レントゲン
隔壁を行い、根管治療が可能な環境にして、問題のMB根の治療
結論的に言えば、
メインのMB根には大きなレッジ、イスムスの中からMB2を見つける。
『顕微鏡下でイスムスから隠れた神経管(MB2とMB根尖)を探す』
GP除去後にMB根の先には大きなレッジがあり、このままハンドファイルを回しながら入れるとパフォる!
ファイルをベンディングしてもオリジナルの根管にたどり着かない。
*パフォる:パフォレーションとは歯に人工的な穴を開けてしまうこと(医原性疾患)
イメージ図
ピンクの部分がGP
水色がオリジナルの根管
既に間違った方向に削っているので修正が必要だが攻めると歯に穴を開ける。
さてさて、ここから同戦略を練るか!?
また、イスムスが黒いのでこの辺りも感染源になっている可能性が高い
CBCTで確認した所石灰化しておりMB2はなさそうに見えますが・・・
こういう場合、私はまずイスムスの処理(MB2)から手を付けます。
実際、MB2は石灰化が著しくハンドファイルは入りません。
ただし#10のデブライダーは引っ掛かる場所がある!
⇒ MB2が出てくるかも!?
細い水色部分がMB2
イスムスに引っ掛かりがある場合、Ni-Tiで根管上部を1~2mm程度削ります。
(ブログを読んでいる若い先生はマネしない方がいいですよ^^;)
またデブライダーで怪しい場所を突く
Ni-Tiで上部を拡大(根管の軸に意識をしてファイルを入れる方向を決めます。)
その後#08で根尖まで道を見つけ、拡大
イスムス部分を処理すると、見やすくなるので、
その後、MB根のオリジナルも見つけ
これは僅か3mmぐらい幅の世界です。
また石灰化していた部分は0.1mm以下の単位です。
これは拡大視野を確保できる顕微鏡がないと無理です。
また顕微鏡があってもそこを攻める道具が必要です。
何より、大切なのは術者の経験値です。(解剖学的な位置関係から適切な攻め方を考えます)
まぁ、『運』もかなりのファクターを占めますけどね(笑)
根管充填のレントゲン
フィステルも無くなったことによりMTAで根管充填
術前時処理できていなかった2mmの根の先がきちんと処理できました!
遠方の患者さんだった為、仮歯で半年経過をみてもらい
術後6カ月 に来院してもらい話を聞くとあれから症状は一切なくなったとのことで
レントゲン
病変はかなり小さくなってきています( ゝз・)ノ
これだけ、病変が小さくなれば後は待てばどんどん骨は出来るでしょう!
以上たまたま上手く行った1ケースでした。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
再根管治療時のガッタパチャーの効率的な除去の仕方
11月7日のハンズオン 参加して頂く先生よろしくお願いします。
動画を作り直したので、また見て来てください。
現在の私のガッタパチャー除去法になります。
比較的、効率的に除去できる方法ではないかな!?と思います。
(昨日動画を上げたのですが、既に12いいねが付いておりビックリ!)
GPは大まかに、上部、中部、下部で除去します。
また一度入れたGPは除去しきれない現実もあります。
当日材料、やり方、ポイントを説明させてもらいます。
今回、緊急事態宣言が出ていないので、11月6日の夜に
19時ぐらいスタートで21時には完全お開きの簡単な懇親会をやろうかと、
昨夜事務局と話し合ったので、また事務局からメールがあると思います。
11月7日は9時スタートになりますので、飲み過ぎないようにお願いしますm(_ _ )m
*ボリューム多過ぎのセミナーなので、全員集まれば9時前スタートします。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
- Newer: 歯内療法日記: 2021年12月
- Older: 歯内療法日記: 2021年10月
Home> 歯内療法日記: 2021年11月アーカイブ
- 購読
- Powerd By