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根尖病変による垂直的な骨吸収とMTA根管充填 と治癒過程
- 2015年7月 3日 11:22
- 歯内療法日記
痛くないからといって長年病変を放置しておくと、
知らないうちに歯を支える骨がどんどん骨が溶けていってしまうことがあります。
特に歯茎にフィステル(ニキビのような小さな膿)が見られるような場合は早目に歯科医院に受診した方がいい場合があります。
今回のケースは病変が横に広がらずに唇側から喉の奥の方向へ骨が溶け、骨にトンネルが出来てしまった患者さん
見にくいのですが、赤丸の部分の黒い小さな穴は骨が貫通した部分と推測されます。
太い金属の芯(土台)が入っており、根管治療不可能なので外科処置で治すか?言われたそうなのですが、
確かに太い金属の土台が入っています( ´ З`;)
患者さんが知っておいた方がいいのは、治療の度にご自身の歯は失われ人工物の体積がどんどん増えるということです(´ヘ`;)
つまり前歯であれば根管治療を2回行えば、このような太い金属が中に入っていることが多いということです。
『歯科医師が入れたものだから取れるでしょ!?』
とお思いになるかもしれませんが、ここまで金属の芯が太く長いと除去はかなり困難な場合があります。
また企業の努力によって、現在のレジン系のセメントはかなり強固に歯にくっ付きます。
詰め物、被せ物が外れないようにする為の物が再治療の際には仇となります(´Д`;)
と言うか、普通はそこまで再治療のことまで考えて治療はしないと思いますが、
個人的には歯を残す為には非常に重要なポイントだと思っています( ̄∀ ̄)
何とか太い芯は除去できました。(顕微鏡でピンポイントに削っていきました 所要時間30分)
*保険診療ではこれを500円でしなさいというのですから、保険治療費には無理がある気がすると同時に保険治療で治療してくれる先生に感謝すべきかと思うのですが・・・
また、長年病変に浸かっている歯の先は歯根吸収が起こり、
根の先にも大きな穴が開いてお根管充填剤による封鎖性も悪い為に予後が更に悪くなる・・・
これも統計でありますが、
1回目の根管治療より2回目の根管治療、2回目の根管治療より3回目の根管治療の方が成功率が低くなります。
すなわち歯を長く持たせたければ1回目の根管治療がポイントになります。
また、やり直しの治療というのはより専門性の高い先生に診てもらわないと治らず抜歯⇒インプラントとなる訳です。
今回のケースも根の先の穴(根尖)が0.8mm(#80)と正常な根尖の倍以上に大きく開いていたので、
ガッタパチャーを使用せずにMTAを選択
綺麗に先端を封鎖できました。
(一応、根管充填メインではなくこの前に洗浄を徹底的に行っています iNPニードル使用して)
そんなこんなで仮歯で経過をみていくと
8か月後骨の回復が見えてきました!
ただトンネル状に骨が貫通してしまった場所は、骨を作る細胞の足場がない為に回復しないこともあります。
ですから歯茎から膿が出てくる患者さんについてはこうなる前に治療をしておいた方が良い場合もあります。
何とかこの歯も残せる雰囲気が出てきてくれました!( ^ ω ^)
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