Home> 歯内療法日記 > 根管治療の際のファイル破折とリスク
根管治療の際のファイル破折とリスク
- 2015年8月21日 15:22
- 歯内療法日記
根管治療を行うとどうしても起こってしまうリスクの1つにファイル破折があります。
以前書いたブログ:http://eedental.jp/ee_diary/2012/05/post-519.html
ファイルとは神経を取る針金のヤスリみたいなもので
専門医が行っても3~5%ぐらいの確率で起こってしまうそうです。
ただ、この確率は海外の専門医でのデーターであり、
日本のように海外の1/10以下の治療費で行う根管治療では道具は繰り返し使わないと赤字になるので・・・
ファイルの疲労によるファイル破折というものの確率は海外より高いと推測されます(´ω`。)
恥ずかしながら私もファイルを年に5~7本折ってしまいます。 ( ノω-、)
根管治療の巨匠 Grossman先生はこんなことを言っています。
A dentist who has not fractured a tip of file reamer or broach has not done many root canals
(ファイル、リーマー、ブローチなどの道具を折ったことのない歯科医は多くの根管治療をしていない)
ファイルを歯の中に入れなければファイル破折は起こりませんが、ただしきちんと治療はできません。
またファイルが折れてしまっても抜髄の場合、予後に大きな差はでませんヾ( ̄∇ ̄ )ノ
(滅菌してあるファイルできちんとラバーダムなどしての治療の場合です)
ただ、問題になるのが感染した歯にファイルが残存する場合
赤丸が 骨の溶けた病変部
黄色の四角 破折ファイル
この場合ファイルを除去しないと歯の中の消毒効果が落ちてしまい治癒する確率も低くなると考えられます。
ただし、このような歯の先端で折れているようなケースのファイル除去は非常に難しいです( - ω -;)ゞ
(私のような普通の歯科医師にはです・・・)
因みに日本にはファイル除去に関してネ申業をお持ちのT先生(名前を書くと迷惑をかけてしまうかもしれないので伏字にします)がいます。
私から見るとまさに「ネ申」!m(_ _ )m
世界一ファイル除去が上手先生です。
こういった奥歯の歯の先に折れたファイル 凡人の歯科医師が行うと・・・
やってしまいました。。。
歯の外にファイルが出てしまいました(´ヘ`;)
そして患者さんに理由を話して、外科的歯内療法で治療を行いその際に外科的に除去する方針となりました。
外科後
取れたファイル(ファイルと歯の先端)
また、このケースMB根は逆根管充填を行いました。
その理由は、
カットした断面の神経管が非常に複雑な形状をしており
黒い感染部分にも見える部分があった為、反対側から削りなおしてMTAセメントで封鎖した方が予後がいいだろうと戦略を立てました。
たぶんこの歯に関してはファイルが取れた所で外科をしなければ治らなかったと推測されます( ̄Д ̄ )
この外科の結果がでるのは約半年後になります。
ファイル破折どうしても起こってしまう問題なのですが、取るのは非常に難しいことだけ知っておいてください。
神業T先生の「ファイル破折実習」に参加して勉強しようかな・・・( ̄∇ ̄;)
- 購読
- Powerd By