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トロープ先生のセミナー 俺ノート

マーチントロープ臨床教授(ペンシルバニア大学)の6月24、25日のセミナー内容

*忘れない為の私のメモですので参考にしないでください・・・

 

  

・治療費:リトリートメントは抜髄の3割増しの料金体系

・1995年から根尖のリケージより歯冠側のリケージを指摘

 歯肉退縮した歯頚部象牙質からの細菌感染に注意⇒コアの接着を歯槽骨頂付近から作り回避する

 クラウンの隙間からのリケージより歯肉退縮した歯頚部からのリケージが多い

・今までのNi-Ti形成はステンレスファイルに比べ湾曲には対応出来るようにはなったが結果は2D止まり

 X-P ENDO shaper+finisherを使用することで3D根管形成が可能となった。

・なるべく削らず細菌をできるだけ減らすことにより歯を保存、歯根破折の防止を目指す。

 テーパーが大きくなると歯根破折を誘発する。

・根尖病変のある歯は100%歯根吸収が見られる。

 セメント質が吸収されると細菌が象牙質を伝わって歯の外に出てしまい治りにくくなる

・指でファイルの刃部、GPを触らない

・アメリカ 技術のある先生は開業する、技術の足りない先生が大学に残るが成功率は何故か技術の劣った大学病院の方が高い 

 ⇒理由:開業医は患者効率を重視する為にラバーダムをしないから失敗が多くなる

・根管治療とインプラントの生存率には差がない。トラブルはインプラントの方が多い

 昨今、アメリカでは天然歯に比べインプラントが長期的にもっていないことが問題視されてきている

・GPをオーバーさせると成功率が下がる。

 Sjogren et al JOE1990 オーバー68% 2mm以上ショート76% 2mm以内94% レントゲン的根尖孔基準

 ⇒オーバーさせるなら2mm以上ショートの方がいい

 chugal et al000 2003 抜髄 レントゲン的根尖孔から1.2mmショートが成功率が高い 

               感染根管 レントゲン的根尖孔から0.5mmショートが成功率が高い(根尖セメント質が吸収されている為抜髄より短くなる)

・ショートした空間は6週間以内に空間が埋まる(空間は小さい方が治る)

・組織学的に抜髄ではレントゲン的根尖孔から2mmアンダー、感染根管治療では1mmアンダーが正しい根尖孔の位置

 カルホルニアでは2mm以上アンダーでは保険会社からお金がおりない(エビデンスなし)

・オーバー根充しても根尖からの組織液により、根尖とGPの間に隙間ができシールできていない

・シーラーのオーバーは炎症を引き起こす

・水酸化Ca 水分がないとPHが上がらず効果が出てこない、歯磨き粉ぐらいの稠度

 2~4週程度の貼薬、4週以上など貼薬期間が長いと歯の弱体化が起こる

・90%の細菌は主根管に浮遊した形で存在している。(多量の水だけでも除去できる)

 細菌は象牙質の中に300μm(03.mm)中に侵入できる ⇒クロールヘキシジン(CHX)は0.3mm象牙質に入り込む

 根尖のセメント質が病変により吸収すると歯の外に菌が出れる環境ができてしまう⇒治りにくい

・バイオフィルムは浮遊してる菌より1000倍除去が難しい

・ペンシルバニアと西海岸は根管形成、根管洗浄などエンドの考え方が異なる

 1、根管口へのアプローチは必要なだけは削る

 2、レントゲン的根尖孔までは根管充填しない

 3、根管の形に合わせて治療を行う

 4、加圧根管充填

・歯の概形と髄床底の形態はほぼ相似形である。

 クラウンを被っている歯の根管治療は歯頚部の形状を参考に髄腔開口する

・髄床底の色はダーク(ダークフロアー)、側壁の色は明るい色

・アメリカでは術前時からCBCTを撮ることはできない(根管などが分からない場合に撮影)←パナルティーはない

・MB2はMB根より近心側に現れる

・MB2を円形ファイルで清掃するのはほぼ不可能

・セメント質の厚みは1~2mmある

・仮封の有効期間は約1カ月

・シルダー先生は時代の先を行く天才であった(ただ、弟子は・・・)

 

 

  

********************************* 

・XP ENDO shaper(#25 02テーパー)

根尖の拡大目安 small canals  1つの根に根管が2つ以上ある根 Lage canals 1つの根に根管が1つの根と定義

1、#15まで穿通させる

2、XP ENDO shaper(800~1000回転)で根尖まで5ストロークで到達させる(5ストロークで届かない場合は一度洗浄してまた5ストローク)

*押さない、ファイルの重みを使う感じ #15が通っていればだいたい5ストロークで穿通可能

3、一度洗浄 (洗浄針は31G)

4、small canals XP ENDO shaperで10ストローク根尖までゆっくり上下運動させる

  Lage canals XP ENDO shaperで10ストローク根尖までゆっくり上下運動させる×3(合計30ストローク)

*XP ENDO shaperを上下運動させることでテーパーを付ける

テーパーは歯質保存、歯根破折の面から必要最低限の04テーパー程度に

XP ENDO shaperは根管の形にそった形状の根管形成になる(規則正しい04テーパーにはならない)

 

その後、  

5、根管にNCを満たし抜髄の場合「XP ENDO Finisher」で上下に20ストローク ×2 EDTAで上下に20ストローク

 感染根管の場合+CHX1~3分浸け置き

6、根尖のサイズを測る、GPが止まる場所を形成する(small canalsでおおよそ#30ぐらい lagele canalsで#40ぐらいが目安)

7、GPの消毒、NC、CHXなどに1分浸け置き

8、GP試適

9、BCシーラーを#25レンツロで根尖2mm手前まで入れ根尖方向に流す

10、BCシーラーを付けたメインポイントを挿入

11、歯槽骨頂付近でカット

12、レントゲンで確認後即日支台築造(直接法:フェルールがあればファイバーなし 歯槽骨頂からレジンを流す)

 以上、XP ENDO shaper Finisherの術式

ファイルのこと

・XP ENDO 室温マルテンサイト相 ⇒体温でオステナイト相

 *スプリング効果(マルテンサイト⇒オステナイトへの変化)は少しずつ弱くなる、推奨されるのは細い根管で4根管、太い根管で8根管程度

 **スプリング効果の弱くなったものを感染根管治療時のGP除去に使用可能(2000回転)

・先端ブースターチップ:6つのカッティングエッジ

・今まではファイルの形態に根管を整えていたがXP ENDOは歯髄の形に沿うように形成可能である

・樋状根にも有効

・XP ENDO shaper はねじれ疲労による破折があるが折れる時は根元で折れる(滅多に折れない)

・59.6~79.9%の歯髄部分は#25を通しても削れていない

・Ni-TIロータリーファイルでは最大で45%しか歯髄除去ができない

・XP ENDO70.5%の歯髄除去が行えた

・シングルファイルは従来のNi-Tiファイルに比べ、歯に対して応力、熱が加わる(負担が大きい)

 

 

バイオセラミック(BCシーラー)、根管充填のこと

・今までは根管充填 GP多目、シーラー少な目であったが、BCシーラーの根充法はBCシーラー多目、GP少な目

*今まではGPよりシーラーの方が劣っていたが、BCシーラーになりGPの方が劣った存在になった為

・シーラーを使用しないGP単独は根充していないのと同じ(シーラーは必ず使うこと)

・従来のシーラーの欠点 1、収縮する 2、吸収する(組織液に触れた場所など)

・綺麗に緊密に根管充填しても補綴していないと60日後には根管から細菌が検出される(なるべく早く補綴すること)

・ウォームGPは室温になるまでに7%収縮をする

  

バイオセラミックのこと 

*ファーストジェネレーション:MTA 利点:封鎖性が最も高い、溶解性が低い 欠点:操作性が悪い、変色する、硬化時間が長い

*セカンドジェネレーション:バイオデンチン、エンドシークエンス 変色がない、硬化時間が24時間(←ビトロ)実際は2~3日

・MTAアンジェラス(40%レジン)、MTAフィラペックス(60%レジン)などは純粋なバイオセラミックではない(効果が疑わしい)←MTAのバッタモン

ピュアMTAを買うべき、MTA混合物には注意!

・MTAフィラペックスはAH+(レジン系シーラー)より毒性が強い

・バイオセラミックシーラー(BCシーラー)は硬化時に膨張する 親水性なので根管内に多少の水があっても硬化する

・「Endo Sequence」 = 「Total Fill」 = 「 i Root」 全て同じ販売国により名前が変わる

・バイオセラミックシーラー使用時にGPを1本入れる理由はシーラーを側枝、イスムスに入れる為のプラガーの役割

・MTA 8カ月水酸化Caが出てくる 

・MTAを根充に用いることで、歯質強化、耐破折性が高くなる(エビデンスあり)

・コンテニアスウエーブなど加熱してもバイオセラミックシーラーの物性は変わらないが水分が減るので、加熱するのであればシーラーは少量を使用すること

・バイオセラミックシーラーは吸収しない

・バイオセラミックで根管充填すると病変の治りが早い

・根管治療歯にクラウンを入れないと破折が6倍高くなる

・第2大臼歯や、欠損が生じた隣在歯のようにコンタクトがない状態になると破折は12倍高くなる

・バイオセラミックGPを使用することで、歯質とGP(シーラー)との間にはハイドロキアパタイトが生成され隙間を埋める

・通常のGPとバイオセラミックシーラーを使用しても6週間後には歯質とGP(シーラー)の間の間にはハイドロキシアパタイトで隙間が埋まりバイオセラミックGPと同じ結果になる

・GPを除去する時「クロロホルム」を使用している

・バイオセラミック パテタイプ 取り出して10~15分で硬化 リン酸緩衝液を上に置いておく

・逆根管充填シーラータイプのバイオセラミックを窩洞内に入れ、パテタイプで圧接する

・MTA、バイオセラミック使用直前にはEDTAは使わない方がいい

 MTAの硬化不良、多孔性になる、MTAのCaを奪ってしまう為

 

 

バイタルパルプセラピーのこと

・象牙質にカリエスが入ると、歯髄は炎症反応が出ている(カリエスのある歯は歯髄が小さな炎症を持っている)

・臨床症状と歯髄の関係は20%程度であり、患者さんの症状は歯髄保存の指標にはならない

・歯髄炎起こしても30%程度しか症状を現さない

・カリエスが大きくなると歯髄の一部壊死している

・C繊維(歯髄) 持続性の痛み 不可逆性で歯髄の深い場所まで炎症が広がる

・Aδ線維(象牙芽細胞) 一過性の痛み 可逆性歯髄炎

・Aβ繊維(歯根膜)

・歯髄から出血があれば覆髄・断髄の適応症

・カリエス除去中の露髄による覆髄法の成功率は50%

・外傷による露髄による細菌感染は24~48時間で1mm程度

・外傷による覆髄法の成功率は90%

・覆髄法の成功のカギは高い封鎖性であり、塗布する薬剤による差は小さい

  

以上

   

  

かなり興味深い内容でした。

セミナー代 :346,000(税込) 

海外の一流の先生の話が日本で聞けるのはありがたいです。

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