教科書通りの根管治療
- 2017年6月17日 09:22
- 歯内療法日記
私も大学の頃、模型実習などでは根管治療は「削りなさい」、「削りなさい」と
繰り返し担当の先生に言われました。
素直な学生でしたので先生の言うことは鵜呑みでした。
嘘です、素直に従った方が早く帰れるので言う通りにしていました(笑)
この削るという操作、客観的にどこまで削ればいいかなどありません。
白い削りカスになってからもう3号太く削るなどと教えられますが・・・
目で綺麗になったのを確認している訳ではありません。
虫歯などではう蝕検知液(虫歯だけ染まる液体)があるので、ある程度削る部分は目で見て感染部分は理解できます。
では、なぜ根管治療は基闇雲治療が行われているのでしょうか!?。。。
個人的に思うのは最低限根管治療においては顕微鏡などの拡大視野はマストだということです(・д・)
先日こんな患者さんが来院されました。
1年前に神経を取る処置(抜髄)をしたが、それ以降たまに痛み内側が腫れている感じがずっとある。
やり直しの根管治療もしてもらったが、治療した先生は問題ないという話である。
何とか治らないものかと、近くの他の歯科医院へ行くと『歯内療法専門医』の存在を知らせてもらう
で、紹介状を持ってEEデンタルへ
レントゲン
ん~、これで問題ないとは言えない所見。。。
話を聞くと腫れの他に温かい物などもしみるとのこと
*基本的に神経を取った歯はしみないのですが・・・
実際の口の中
まだ30歳と若いことより6mmぐらいのアクセスホールから治療したみたいでそこにレジンが詰められ修復されています。
患者さんは何とか問題を解消したいとのことで治療スタート
上の詰め物を一度全て除去
もうこの時点で問題が3つ出てきましたヽ(´Д`;)
まず①
死角になる髄角部分が全く取れていません。。。(-ω-;)ゞ
また1年前に抜髄したにも関わらず神経はゾンビの様に生きており、この部分に直接麻酔をかけ除去
たぶん、この部分が温かいものが沁みると感知していたと思われます。
この部分は歯でもかなり入口の方であり、削ればすぐに処理できる場所なのですが、なるべく削らないように入口を小さくした為に死角になっていました( ̄ー ̄;)
次に②
削りやすかったからでしょうね、毎回ゴリゴリファイルで根の先を痛めつけ根の先に大きな穴が開いています。
*治療しているんだか、体を壊しているんだか・・・(・ω・;)
私も大学で根の先を削れ!削れと指導を受けましたが、
今思えばこんなに根尖削っちゃダメ!
むしろ症状が大きくなり繰り返すことで痛みが長期化していきます(p・Д・;)
⇒MTAで根管充填して穴を修復
問題③
4本目の細い神経管が手付かずである(←裸眼では仕方がない)
その隣の近心頬側根は薬と称したゴムを歯の外へ出してある。。。☠
ゴムを外で押し出すことで痛みが出てしまい、長期間痛みで悩まされることもあります。
http://eedental.jp/ee_diary/2017/05/post-1588.html
*一度歯の外に出たゴムは外科的に取り除かないと除去できません。
日本の根管治療はゴムをいかに根の先まで入れるかに治療のフォーカスが絞られている部分もあります。
(ゴムに固執することは無意味なのに・・・)
という問題を解決して、消毒を繰り返しましたが治療3回目まで膿が出てくる状況。。。
4回目の治療時には膿みも止まり、違和感・腫れ感も無くなったことより
根管充填+レジン充填 を行いました( ̄。 ̄)
根管治療は削った方が良い場所、削らず様子を見た方がよい場所があり、一概に削らない治療が良い、削る治療が悪いと言えません。
特に裸眼での治療であれば、上は大きく削る治療の方が無難だと私は考えます。
歯内療法専門医はある程度そういうことを解剖学的にも理解した上で必要最低限のアプローチを心がけています(・。・)b
技術は身を助ける【3mmの穴からの根管治療】
http://eedental.jp/ee_diary/2017/03/post-1576.html
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