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技術は身を助ける【3mmの穴からの根管治療】
大学を卒業してすぐに、友人の先生に
「お金を取るか? 休みを取るか? 技術を取るか?」
歯科医師として働く際にどれを重視して就職先を探すのか選ぶ必要があります。
私は卒後2年は休み重視で・・・
波乗りばかりいました(笑)
卒後3年目にこれではいかん!と思い
師匠と仰ぐ奥村先生の歯科医院に就職させてもらいました。
その当時同期のバリバリ稼ぐ先生は月60~80万ぐらいもらっていましたが、
私は総額20万(保険・ボーナスなし)その代わり師匠の技術を見る・得る機会を選びました。
師匠にも「若い時はお金より技術を得ておくべきだ」「技術は後で身を助ける」と色々言われました。
周りに比べても給料は安かったですが、診療後道具を自由に使わせてもらえたので勤務から1年半週4日毎日夜22時近くまで練習ができました。
ただ、月20万だと歯科の高い勉強会やセミナーなどにも参加できず、親に勉強代など出してもらいセミナーなど参加させてもらう生活でした。
(親も歯科医師なので技術は買ってでも得ろという人でした)
当時は必死になって色々試行錯誤し、毎日注意を受けていましたが今になって若い頃に技術を追っておいて正解だったなと思えるようになりました。
そんな一例を
若い衛生士さん、大学病院を受診後一番奥の歯の神経が死んでいると診断を受け
何故か大学の先生はEEデンタルを紹介してくれました。
(たぶん大学の先生がブログを見ていた為か!?)
虫歯など一切なく誰も手を入れていない歯で、クラウンにするにはもったいないので、
患者さんに3mm程度の穴を開けそこから根管治療を行うと説明
プローベで3mmと見せると衛生士さんも
「こんな小さな穴から根管治療出来るんですか!?」
と、
『えっ!? 普通にできるよ!』
小さな穴を開ける位置とフレキシブルなファイルを使用すれば十分可能です。
教科書的にいえば、クラウンにする前提で上の歯は大きく削って道具が入りやすいように行うのが通法です。
ただ、個人的にはできるのであれば必要最低限の削除量で同じ結果が出せればなおいいと考えます。
医科の世界は機材などの進歩により【腹腔鏡手術】【内視鏡手術】などなるべく低侵襲での治療が行われています。
歯科だけ従来の侵襲の大きな方法でいい訳がありません。
マイクロスコープ、フレキシブルなファイル、超音波・音波切削器具、電気根管長測定器、マイクロオープナーなど
30年前に比べこれだけ機材が進歩しているのですから、その分技術も進歩すべきかと思います。
この3mmの穴から治療を行い
根管充填
その後、3mmの穴はレジンで封鎖
レジンも30年前に比べ
接着も格段に上がっていますし、フロアブルレジン(液状)、収縮量の小さなレジン、色付けを行うレジンなど色々な材料進化があります。
これらをミックスすることで3mmの穴からでもケースを選べば十分治療は可能となります。
ある面歯を削れば削るほど、歯は弱くなり、寿命は縮み、次の治療選択肢は少なくなる。
何一ついいことなどありません。
削れば削るほど歯科医師はラクに治療でき、お金になるというシステムでは・・・
*今回のケースも採算さえ無視すれば保険治療で行えますが、従来の治療より数倍難しい上に治療費は大きく削った方がはるかに高くなります。
**個人的には小さい侵襲で同じ結果になるのであれば、小さく削る高い技術の方が治療費が高くなるべきかと思うのですが・・・
この国では沢山削った方が、また歯を抜いた方が治療費に繋がるので、こういった低侵な治療・考えはメジャーにはなれません。。。
保険治療の外に出てしまったので、私は保険のルールに関係なく今持っている知識と技術で出来る選択をさせてもらっています!(・∀・)ノ
以前、歯内療法の有名な先生にも
「こんな小さな穴で根管治療など・・・」と突っ込まれましたが
『だって、俺出来ちゃうんだもん!』(・3・)ノ
「技術は身を助ける」「苦労は若いうちにしろ!」というのはあながち間違えではないようです。
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