下歯槽神経に近接した根尖病変
- 2019年9月 4日 09:02
- 歯内療法日記
30代の女性患者さん
4年前に虫歯治療を行う、その後痛みと違和感が出て
かかりつけに行くといきなり根管治療が始まってしまい専門医で治療を行いたいとのことで来院
レントゲン
根尖病変は見られるのですが、それ以上に気になるのが下歯槽管(下歯槽神経)との近接
これはかなりリスキーと判断しCBCTでの診察
歯と神経管の位置関係を3次元的に見たのですが。。。
近接している・・・
こういったケースは、麻痺が出る可能性が高いので気を付けるのは
①、ファイルを歯の外に出さない(機械的損傷)
②、NCなどの薬品で化学火傷にならないように根尖を攻めすぎない(ファイルで根尖孔を大きくしない)
③、水酸化Ca、ガッタパチャーなどの人工物を歯の外に出さない(物理的な神経障害になる)
*去年講演を聞かせて頂いた口腔外科の栗田教授の話ではエンド由来の口腔外科受診の多くはこの③の人工物による麻痺だとか
過去にAAEでも水酸化Caの押し出しによる麻痺の報告を見たことがあり、
一応患者さんに治療することのリスクと戦略的抜歯も治療選択肢の1つのと説明し
治療するならかなり慎重に行うことを約束
一応、残す方向でトライさせてもらいました。
治療1回目
前の先生も恐る恐るの治療の為か殆ど残髄(神経を取り残している)
手づかずの場所をきちんと掃除してみると、遠心根の根尖は吸収が見られ根尖径がデカイ!
治療2回目
歯根吸収した遠心根の根尖から多少の出血が見られたので根管充填は止め!
治療3回目 症状もないことより根管充填
遠心根はMTA 近心根はGP使用
治療から6カ月 痛みや腫れのないことを確認
レントゲン上でも根尖に歯根膜所見が出てきているのを確認して、
フルジルコニアクラウンSet
*手前のハイブリットインレーの形態も悪く、不適だったのでレジン充填でやり替えました。
結果的には麻痺も出ず、症状も収まり
根尖病変にも治癒傾向が見られ、綺麗にフルジルコニアクラウンも入れることができました。
今回の歯、どちらかと言うと私は根尖まで攻めるタイプの専門医でしたが、
流石に作業長を気にしながら根管治療を行いましたね(笑)
*普段は作業長は電気根管長測定器任せでアナログにストッパー使わないのですが今回は使いましたね!
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