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レントゲンで見えるもの 根管治療編
- 2019年9月27日 09:28
- 歯内療法日記
レントゲンには何種類かあり、病気を見つける為に使い分けを行います。
フィルムの種類で言えば、「デンタル」という2Dの小さいレントゲン
「パノラマ」という2Dの大きなレントゲン
「CBCT」という3Dで分かるレントゲン
また撮影方法により、咬翼法などの特殊な撮影の仕方もあります。
(歯と歯の間の虫歯を見つけるにはこれは優れた方法です)
私の分野でいうと、「デンタル」で虫歯を見つけます。
根管治療の難しいケースなどでは「CBCT」で診査します。
パノラマは歯周病や親知らずの治療などには有効なものなのですが、
私はこの2つの治療を行っていないので 年に1~2回撮るかな!?ぐらいの頻度です。
レントゲンの種類により情報量が異なり、一番情報量が多いのが「CBCT」
CBCTはデンタル、パノラマの2Dレントゲンに比べ30%も情報量が多いとの報告もありますが、
この情報をどう読み取るかは歯科医師の技量に大きく依存します。
ただ、この方法のデメリットはデンタルに比べ被曝が大きい、
また正確すぎて、過剰治療に繋がる恐れもあります。(少し悪いぐらいは様子をみた方が歯の寿命が延びる場合も多々あります)
根尖病変などをあら探しすればCBCTで撮影してみると、デンタルで問題ない歯にも病変が見つかります。
以前のブログ
http://eedental.jp/ee_diary/2018/01/post-1709.html
デンタルを撮ると、かなり大きな病変があるのが分かります。
痛みの原因歯を見つける為にはこれ1枚で十分です。
ただ、この奥歯の神経管は何本あって、どこの神経管が感染しているのか!?
3次元的にどのように骨が減っているのか!?
我々歯内療法専門医は骨の溶け方の形からもある程度悪くなっている原因を推測します。
CBCTで見ると
歯を真っ二つに切って側面からみた所です。
すると、大きな病変で舌側の骨は紙1枚程度の薄さとなっており、
また病変は下歯槽管(黄色の部分:神経管)と接しており、外科をする際にかなり気を付けないとマズイ状況と分かる訳です。
*過去の治療で病変内に水酸化Caを押し出したことも分かります。
この患者さん今週来院され、まずデンタルを撮ると
だいぶいい感じに治ってくれています。
次に、久しぶりにCBCTを撮影させてもらい見てみました。
だいぶ骨は出来てきてくれていますが、まだ歯の周りには黒い所見が見られ完全には骨が回復はしていません。
患者さんにいうのは、上手く行く場合でも骨はすぐには出来ない、大きな病変は完全治癒までに数年かかる。
と話します。
ただ、この術後2年所見だけを他の先生がCBCTで見れば、
「根尖病変あるよ、もう一度根管治療するか抜いてインプラント入れた方がいいよ」
となる可能性もあります。
アメリカ歯内療法学会の今のガイドラインでもまずはデンタル(小さなレントゲン)での診断が奨励されています。
極端な論文では根管治療をして、治った成功率をCBCTで診査すると成功率は37%というものもありますし、
CBCTで診査すると成功率は今の80~90%というものから20~30%減るという報告もあります。
つまり完全に誰がどう見ても治った!基準を採用するのか!?
デンタルで問題なく痛みなく咬めている基準を採用するのか!?
にもよって再度治療する・しないの基準は異なります。
歯科医師としては成功率に拘りますが、患者さんの歯を長持ちさせるという観点からは生存率という尺度も大切かなと思います。
私は今ある歯をどうやったら長持ちさせられるかを仕事にしているので、必要なレントゲンの種類を変えて撮影させてもらいますヽ( ̄▽ ̄)ノ
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