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根管治療、意味のある『穿通』と意味のない「穿通」
- 2019年9月28日 09:09
- 歯内療法日記
2018年度の医療費が42兆6000億円
というものがネットにでていました。
42兆と景気のいい話が書いてありますが(笑)
歯科の財源はここ20~30年ほ横ばいで、むしろ物価上昇率から考えると
「20年前より治療費安くなっているんじゃないの!?」と思えてしまいます。
その冷遇分野の代表格
根管治療(歯内療法)、日本の根管治療の費用は激安でその為か
治療もかなりガラパゴス化した治療基準となっています。
その1つに穿通(ネゴシエーション)という操作があります。
最初の抜髄時には神経管の殆どは歯の先端まで管(道)がありますが、
(個人的には96%ぐらいは穿通できていると思います。 先端が0.06mmのものもたまに使用しています)
ただ、やり直しの再治療時には石灰化して穿通出来ないケースなどがあります。
*すなわち、物理的に根の先まで掃除できない。
ただ、大学でも石灰化している根管にどう対処したらいいか!?などの対応策などは教えられません。
すると、大学を卒業して上司や先輩に方法を聞くのですが・・・
たいがい教えられるのは「ファイルで根の先まで削れ!」
これ昔ながらのやり方ですが、全くエビデンス(科学的根拠)なし
日本の場合、有名な先生の鶴の一声でトレンドが決まる部分がありますしね・・・
その為、根の先まで削る・掃除する道具にファイルというヤスリには色々種類があます。
ドリル(キリ)のように歯に穴を開ける種類のものも多くあります。
この辺りのファイルは先生の好みでありますが、私は先の切れるファイルは必要ないと解釈しています。
理由は本来の神経管を掃除するには意味があるが、本来の感染していない部分を削っても害しかないから
本来の神経管を見つける為の道具・テクニックを選択しています。
日本の基準では根の先まで削ってガッタパチャーというゴムを根の先まで綺麗に入れるというものですが・・・
これ合っているようで、合っていない部分もありあります。
またこのゴリゴリ削る治療の弊害として、本来の神経管とは違った場所に穴を開ける【パーフォレーション】と
いう医原性の問題を作ってしまうことが殆どです。
この場合、開けてしまった穴を埋める治療が必要になるのと、オリジナルの神経管の処置が更に必要となり、
細菌感染した場合は成功率は極点に低くなってしまいます。。。
じゃあ、根の先まで削れない場合どうするの!?という疑問
私はCBCTで神経管の石灰化しているかどうか調べ、石灰化しているような場合
無理にゴリゴリファイルで削るようなことは行わず開けれた所までを次亜塩素酸で徹底的に洗います。
すると、穿通出来なくても治る場合は治ってくれます。
こんなケース
痛みもあった歯ですが、感染部分が取れた為か治癒傾向が見られます。
文献的にも穿通しなくても62.5%で治癒が見られたそうです。
じゃあ、治らなかった場合は!?
それは外科的歯内療法で根の先をカットして治します。
http://www.eedental.jp/surgery.html
大切なのは歯を削るではなく、本来の根管の消毒・清掃です。
日本は削れ、削れの大合唱ですが、今の歯内療法のトレンドは必要最低限削って消毒液で洗うになっています。
ですので、私は無意味な部分を削ってしまう、先端の削れるファイルなどは必要ないと考えています!
その為、顕微鏡下での確認と洗う道具、洗い方にはかなりこだわっていますよ!!( ^。^)σ
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