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レントゲン、CBCTでは分からない根管治療の問題

患者さんの中にはレントゲンを撮ると、悪い場所が明確に分かると考えられている方もおられますが、

これは違います。

治療前には歯根破折は分かりません・・・ - EE DENTAL_Blog 

 

レントゲンもCBCTも白黒画像でそこから術者がそれを読み取り、

経験値から推測し、疑いをかけるものになります。  

つまり、レントゲンの読影というものは経験値がものをいう診断法になります。

 

今回の患者さんのケースは術中に痛みの原因が分かったケース

 

患者さんは50代女性

2019年に来院され、悪い場所など一通り治したのですが、

2021年に入り咬むと激痛が3日続いており、その後鈍痛が続くとのことで来院してもらうと

2021 EEdental NiM (1).jpg

特に悪い所見もなく・・・

 

分からない時はCBCTという流れで、CTまで撮らせてもらいましたが・・・

 

分からない!

基本私は当てずっぽうな推測治療はしたくない為、今回は抗生剤で散らし

待機診断を行うことにしました。

  

が、2週後にもまた痛みがでてしまい、その際に左上の奥2本が痛かったとのこと

それを聞き総合的に考えると、左上6が怪しい

*口の中の所見やレントゲンも見ますが、患者さんの痛みの種類・表現も診断の参考になります。

 

患者さんの了解を得て、治療をスタートすると、

太いゴールドコア(土台)除去後に、口蓋根にパフォレーション(パフォ)。。。

*パフォレーション:過去の根管治療による歯の穴←これを適切に埋めないと腫れと痛みは引きません。

 

私は患者さんに、

「レントゲンは金属の濃淡を示しているもので、金属の濃度が濃いほど白く映り逆に黒い部分は「口の中」など金属がない所、歯も骨もカルシュームという金属で構成されているのでレントゲンでは灰色に映ってきます。」

とレントゲンのざっくりした見方を教えます。

 

骨の灰色部分が黒くなると骨(Ca)が逃げて行っている証拠で、そこに炎症つまり感染があります。

  

レントゲン診断は黒い部分を探し疑いをかけるものです。

ただ今回は、

2021 EEdental NI.jpg

穴の部分が金属で隠されています。

*金属濃度が高い部分しか診断できません。

2021 EEdental NiM (2).jpg

この部分を顕微鏡で見つけて、穴埋め!

 

穴を埋める前にこの太く長い金属の土台をどう除去するか!?

したか!?

  

答えは、超音波でポストを揺らし安全に除去できます。

(大体7割は)

見えていない手探りの治療ではどうしても起こってしまう医原性の問題です。

  

今週も似たようなパフォレーションリペアを行いましたが、顕微鏡治療をしている人間からすると、

拡大視野で治療を行えばこんなエラー(パフォ)起こらないのに。。。 とも思います。

 

 

根尖病変は無い為、開けれる場所まで治療を行い根管充填

2021 EEdental NiM (3).jpg

  

仮歯で生活をしてもらい経過観察

2021 EEdental NiM (4).jpg

7か月後、症状もなく順調に経過しているとのこと

  

コスト的に難しい問題かもしれませんが、

少なくとも現代の歯科治療は必ず拡大視野で治療すべき分野だと個人的には思います。 

  

ただ、私自身顕微鏡を覗きっ放しで集中力を絶えず維持する診療は、1日に3~4人が限界の歳になりました。 

精密な治療というか手間のかける治療って量産できないんですよ(>。<)

  

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