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大きなメタルコアと除去時のパフォレーションリスク
- 2022年11月19日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性
口の中の銀歯を白い歯にしたいとのこと
右下の銀歯のレントゲンを撮ると、
赤丸部分に根尖病変が見られ、↑部分は大きな土台が入っており首の皮1枚で穴は開いていないか!?
もしくは穴が既に開いているか!?
紫の丸の部分は虫歯の取り残し。。。
根管治療後に土台を入れ補強をするのですが、前回の治療で髄床底(歯の底)をだいぶ削ったようで・・・
再治療で金属の土台を除去する際に自分が穴を開けてしまいかも!?
大きなメタルコアの場合メタルを分割して小さくして超音波のブーストモードでセメント層を破壊すれば比較的安全にコア除去が可能です。
レジン系のセメントだと超音波による安全な除去が出来ない場合が多いですが、リン酸亜鉛セメントやグラスアイオノマーセメントなどは超音波のブーストで除去可能なことが多いです。
*やり方はYoutubeの説明を読んでください。
患者さんにはそのリスクの説明をして治療スタート(今回のメタルコアケースを動画にしました)
クラウンを外し、金属の土台を少し削りくっ付けてあるセメントラインを見ると、どうやらグラスアイオノマーセメントっぽい (心の中でガッツポーズ!)
動画2:00の所で、金属削っている手の感覚が少し変わったので見てみると、根分岐部の歯質に到達したのを確認
それ以上歯質を削らないように慎重に金属を分割、超音波で触るとコロッと除去完了!
(下底部をなるべく触らず除去するにはこれがベター)
動画の治療は一見簡単そうに見えますが、顕微鏡治療は全てミラーテクニックで鏡像の世界なので左右・上下反転した手の動かし方をします。
(ただ、こんなこと18年もやっているので、頭が混乱することはないですけどね)
メタルコア除去後
0.1mmぐらい(想像)の薄い歯質に穴を開けずに除去完了!
*残っているフェルールは可及的に保存 ← 顕微鏡下での治療でないと無理!!
その後、通法の根管治療を行い+大きな虫歯の第2小臼歯のレジン充填を行い
術後のレントゲン 綺麗に治療出来ています。
10年以上前ぐらいは土台の主流は銀合金のメタルコアでした。
このメタルコアは作る時にもたくさん削りますし、除去する時にも更に健康な歯は大きく失います。
治療を切り返す度に歯はなくなりますが、メタルコアほど健康な歯が犠牲になる治療はありません。
歯内療法専門医なので取れないメタルコアはありませんが、こういった残った歯の薄いケースなどは内心ちょっとだけヒヤヒヤです(笑)
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