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内部・外部吸収した歯の保存治療
- 2022年11月26日 09:01
- 歯内療法日記
歯内療法を専門でやっている為か、年に3~5ケースぐらい吸収した歯を見ます。
この吸収、神経を取った歯の先端が溶け多少短くなる場合や矯正治療で歯が短くなるような溶け方なら殆ど気にすることはないのですが、
問題になるのが、歯根に起こる吸収
歯の中の神経部分が起こる場合が【内部吸収】
歯の外の歯根表面から起こる場合が【外部吸収】
内部吸収の場合は神経を取ることで内部吸収は止まるとされていますが、
外部吸収に関しては吸収している部分にもよりますが、殆どの場合で抜歯になります。
今回のケースは「内部吸収」が大きくなったパターン
患者さんは50代女性
1年前ぐらいから咬むと痛い感じが出てきた、1ヵ月前に何もしていなくてもズキズキ痛み
腫れて来ている感じも出てきている、自分としては奥から2番目の歯だと思われる。
3年前にこの歯は治療したそうで、その際に先生に神経付近まで虫歯があったから痛むかも!?
とは言われていたとのこと
レントゲンを撮ると、
「?」
吸収様の所見が見られます。
CTで吸収部位を精査すると根分岐部の内部吸収に見えるが、外まで吸収が広がっているようにも見える。
患者さんには前回の治療したことによる痛みではなく、歯根吸収による歯髄炎の疑いが強いことを説明
個人的には、吸収した歯に関しては症状が出るまで使ってもらい、腫れ・膿などの症状が出た時点で抜歯を行うというスタンスです。
今回のケース
吸収部分をギリギリ治療できるか!?という瀬戸際(実際やっていないと分かりませんが・・・)
歯髄炎の症状もあることより、1回法で抜髄+吸収部分の処理を計画
治療をスタートすると、やはりCTと同じような部分に吸収所見
内部吸収ではなく、内部から吸収が外部まで到達したような形状でした。
基本的に吸収部分は多孔性で、血管があるかのようにその部分から出血してきます。
*GP下の黒っぽい点々部分が吸収した場所(止血しています)
根管充填材は通法のガッタパーチャーを使い、吸収している部分にはMTAを使用
いつもだったら、根充後にレジンコアまで作ってレントゲンを撮るのですが、今回は髄床底部の吸収だった為念の為にMTAを硬化させてからレジンコアを作りました。
そこから経過観察
根充後3週間:腫れ痛みはないが虫歯がある時のような違和感
根充後6か月:虫歯がある時のような違和感がありモノによっては咬むと痛い感じ
根充後1年:虫歯がある時のような症状はある、モノによっては咬むと違和感あり
1年予後のレントゲン
レントゲン所見は問題ありません。
患者さんには1年経過してその症状が残っていれば、その症状を許容してもらうか、不快であれば抜歯をするか!?
ただレントゲンで一切悪い所見が出てきていないので、そのまま使える所まで使うのがベターだと思われる。
クラウンを低目に入れ負担軽減をさせることは可能
因みに吸収は「破歯細胞」という自分の歯を食べてしまう細胞が原因であり、
細胞レベルの大きさなので、顕微鏡を使用しても破歯細胞までは見れません。
顕微鏡で出来ることは、吸収した部分を削り穴埋めをするだけで破歯細胞は全て取り切れません。
患者さんにの心情としては1本でも自分の歯を残したいという気持ちは分かるので、
このようなケースもトライケースで治療をさせてもらうことはありますが、内部・外部吸収はホント厄介です。。。
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