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歯内療法日記: 2023年1月アーカイブ
EEデンタル2022年 歯内療法専門医 根管治療傾向
- 2023年1月31日 09:03
- 歯内療法日記
毎年恒例のスタッフに調べてもらいました。
また年始に調べてもらったのですが、放置していました(笑)
2021年のEEデンタル根管治療
総根管治療本数:108本
抜髄:13本
前歯:治療回数1回3本
小臼歯:治療回数1回3本
大臼歯:治療回数1回4本 治療回数2回3本
MTA根充:1本(←かなりレアケース)
感染根管(ネクローシスパルプ含む)95本
前歯:治療回数1回20本
小臼歯:治療回数1回15本 2回3本 4回1本
大臼歯:1回8本 2回36本 3回7本 4回2本 5回1本 6回2本
通常は1~2回の治療で終わります。膿が出てくる歯に関しては3~4回 非原性歯痛系の歯(長く痛みが出ているような歯)はやっぱり経過観察しながらなので回数が多くなる傾向があります。
MTA根充:45本(約半数がMTAで根管充填していました)
上顎大臼歯(第一、第二)のMB2
56本中16本MB2 発見処置
【外科】
外科的歯内療法:12本(前歯:3本 小臼歯:2本 大臼歯:7本)
*私が歯内療法を行い上手く行かなかった歯の外科的歯内療法です、私はファーストチョイスで外科的歯内療法を選択することは殆どありません。
ヘミセクション:4本
*歯根破折を起こしており半分歯を抜いて歯を保存させる外科です。
ヘミセクション(分割抜歯)その後 - EE DENTAL_Blog
【レスキュー】
パーフォレーションリペア:4本
ファイル除去:4本
【自分のエラー】
フレアーアップ:1本
http://eedental.jp/ee_diary/2014/10/post-1042.html
*ここ数年フレアーアップはこの程度で歯内療法専門医の平均7%以下を保っております。
フレアーアップが多い=間違えた根管治療をしている となるので大きく間違えてはなさそうです。
ファイル破折:2本
ファイル破折ゼロ 連続記録が・・・ - EE DENTAL_Blog
パーフォレーション:0本
*例年通りですね。
2019年
EEデンタル2019年 歯内療法専門医 根管治療傾向 - EE DENTAL_Blog
2020年
EEデンタル2020年 歯内療法専門医 根管治療傾向 - EE DENTAL_Blog
2021年
EEデンタル2021年 歯内療法専門医 根管治療傾向 - EE DENTAL_Blog
例年と同じアベレージ以下にならないように今年も頑張りたいと思います。
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女性に多く予後の悪い樋状根
- 2023年1月28日 09:00
- 歯内療法日記
度々このブログでも出てくる樋状根
この樋状根というのは黄色人種の女性に多い神経管が複雑な形態の歯で、下顎の第2大臼歯に現れます。
*日本人女性の約3割といわれるので、結構な確率です。
複雑故に最初の抜髄が上手く行かなかった場合の再治療に関しては正直裸眼では治癒は難しいと個人的には思います。
樋状根でない歯の多くの歯の神経は水道管のような管が2~4何本かあり、その管を掃除すればいい訳ですが、
樋状根はその管が何本も繋がりレースのカーテンのような形態をしています。
イメージしてみてください。
『水道管の中を専用のブラシで拭き掃除する』のと、【レースのカーテンを吊るしたまま全面拭き掃除する】
水道管であれば水道管の入り口を見つければ、後は専用の道具を突っ込み掃除すれば汚れた部分が見えていなくてもある程度は綺麗になります。
ただ、カーテンだと汚れた部分を見つけそこをピンポイントに掃除しないと綺麗にはなりません。
また神経管の出口も1本1本バラバラで、この部分の封鎖が肝になるのですが、出口が見えずに封鎖するのと出口が分かっておりそこを封鎖した場合、当然結果も変わってきます。
今回の患者さんは50代女性
悪い所は治しておきたいとのこと
レントゲンを撮ると左下の奥歯に虫歯が見られ、そこから細菌感染したのか大きな根尖病変が見られます。
このような親知らずの影響などで歯茎の中に虫歯が出来た場合、かなり治療難度が高くなります。
先日も口腔外科の先生から親知らずを抜いたら第2大臼歯遠心縁下に虫歯があったのでEEデンタルを紹介してもらった。
と来院がありましたが、歯を長持ちさせるのであればオーソドックスな治療より
「EENO ボール」を使って神経を取らずにピンポイントで治療をした方がいいと思います。
今回の患者さんもオーソドックスな遠心縁下のカリエスの為に神経を取ってクラウンを被せたようなのですが、だいたい予後はこんな感じで悪くなることが多いです。
似たようなケースの歯の保存:抜歯適応の歯の保存治療後6年半 - EE DENTAL_Blog
レントゲンの歯ですが、2回法で根管治療を行いました。
1回目に人工物と虫歯を除去して、唾液が入らないようなしっかりした壁を作る。
2回目に症状がなく、問題なかったので根管充填+レジンコア
かなり大きな虫歯が歯茎の中にあり、そこから細菌感染しているような感じでした。
*根管充填材はMTAを使用、根尖まで入っていないように見えますが顕微鏡で根尖からMTAを入れています。
先日、別件で来院されたので久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
過去どこに病変がありましたかね!?というぐらい骨がびっちり出来てくれています!
*根管治療に疎い先生は根の先まで根管充填材が入っていないのでやり直しした方がいいと判断する先生もいると思いますが、絶対やっちゃダメ!(根管充填剤の入りで予後が決まる訳ではありません)
基本的に根の治療は手間がかかり難しい治療なんですが、歯の神経管の形により更に予後が悪い場合もありますので注意してください。
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ホワイトニングをしたら痛みが出た、その後7カ月痛みが止らない
- 2023年1月17日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
ホワイトニングを行った後から痛みが出てきてしまい抜髄(神経を取る)をした。
その後クラウンを入れたら、痛みが再び出てきて再根管治療をスタート
5ヵ月根管治療をするも痛みが止らないのでB歯科医院に転院し薬の交換をしてもらうが痛みは無くならない。
その後、F歯科医院に行くとEEデンタルに行った方がいいと説明を受け受診
今の痛みは絶えず何かで突かれているような感じ、夜になると顎の方まで脈を打つような痛みが出て、よく寝れない。
指で歯を触っても痛い、今は絶えず痛いということ
話を聞くとトータル8カ月以上根管治療をしているとのこと
寝れないような痛みが続くと困ってしまいますよね・・・
レントゲンを撮らせてもらうと
根管充填がされており、仮蓋の状態。
抜髄スタートだった為に特に大きな根尖病変は見られません。
私の予想として、隔壁からのリケージ(細菌感染)と根尖の突き過ぎを疑う所見
経験上、だいたい抜髄でトラブった歯はこのどちらかのパターンが多いので、
患者さんには基本に沿って一からやり直した方がいい。
痛みはすぐには消えないこと、治る場合も痛みが出ていた期間は待ってもらう必要があることを説明
治療は1カ月おきに行い、頻繁には触らない方がいいと説明
患者さんも抜かずに済むなら治療したいとのことで
治療1回目
一度過去の人工物を全て外し、レジンにて隔壁を行い、ガッタパーチャー除去
するとやはり根尖が広く削られていました。
1ヵ月後の治療2回目(歯は触らずに電話インタビューのみ)
普通にしている時の痛みは無くなった。よく寝れており改善を感じる
ただ、咬むとまだ痛い。←まだ噛んではダメ!と指導
前回から更に1か月後の治療3回目
開口一番「先生はどんな魔法使ったの!? 嘘みたいに痛みが取れた」と言われました(笑)
詳しく話を聞くと、1回目の治療後の2日目には痛みは取れた、夜の痛みも全くない
指で押さえると違和感はまだある ←指で触らないように指導
根管内は特に問題も無さそうだったので、根管充填
根尖がはやり大きく削られていたのでMTAを使用
そこから仮歯で生活してもらい
1年予後
かかりつけの先生に仮歯がよく出来ているから外れるまで仮歯と言われたそうなんですが、
おおよそ仮歯は1年半ぐらいで本歯を入れてもらった方がいいでしょうね。
痛みがとれないようなケース、抜髄がトラブったケース
何度も触るより早目に歯内療法専門医に頼った方が解決は早いと思います!
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激細根管の歯内療法と歯髄断髄法
- 2023年1月11日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性(歯科医師)
2カ月前にセラミックインレーを形成した所から大きな痛みが出てくる。
その後1カ月ぐらい痛みが続いた後、痛みは落ち着いてきた。
先生が言うには「涙が出てくるほど痛かった。。。」
自院でレントゲンを撮ると、神経が死んでしまったようで根尖病変が現れてしまった。
とのこと
レントゲンを撮ると
CTで見ると、痛みのあった第一大臼歯はやはり神経が死んでしまったようなので、
第一大臼歯は根管治療を行うことにしました。
ただ、神経管がかろうじてCTで分かる程度に細い・・・
術中
4根管でしたが、メチャクチャ神経管が細く0.06と0.08mmのファイルでタッグバックを追う。
今現在、抜髄やネクローシスパルプは長目に時間を頂き1回法で根管充填+支台築造(レジンコア)まで行うのですが、
神経管が細い為、4本中、3本根尖まで穿通した所でタイムアップ。。。
治療2回目に根管充填+レジンコアまで行いました。
2か月後、再び連絡を頂き「あれから奥歯のインレー形成をしたら痛みが出始めた。。。」
歯髄処置ならやっぱり専門医の先生にお願いしたいとのことで、
再び、再診断
第2大臼歯の私が出した治療法は「歯髄断髄法」(神経の上の部分だけ取る)で行けるんじゃないか!?
CTで根尖の透過像確認を行うと、まだ何とか神経は残せそう!
ということで、1回法で断髄+レジンベースまで
第2大臼歯はセラカルにて覆髄
第1大臼歯はガッタパーチャー使用
そこからかかりつけの先生にインレーを作ってもらい
治療半年後
第2大臼歯の断髄部は問題なし
第1大臼歯も症状はないとのこと、透過像も縮小傾向が見られ、
次回は1年予後の診査となりました。
帰りがけに先生は「やっぱり歯内療法専門医は安心感が違う」と言ってくれましたが、
たまたま2本何とか残せそうです。
特に第1大臼歯は他の先生にレッジなど作られ来院されていたら・・・
ぶっちゃけ根管治療は1回目の先生でその歯の予後というのは大体決まってしまうと思います。
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珍しい大臼歯遠心根のロングイスムス
- 2023年1月 7日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性 近医の先生からの紹介
紹介状には、再根管治療を行い一度は舌側のフィステルも消失し根充後
経過観察をしていたが、再び同じ場所にフィステルが出来てしまった。
とのこと
レントゲン、CTを撮ると、
遠心根の病変は昔からあったかのようで、歯根の先に吸収と添加が起こり複雑な形態に
またCT上では4根管きちんと治療してあります。
たまにありますね、こういうなかなか治らないケース。。。
通法の根管治療を行いました。
治療1回目、人工物を一度外して徹底的な洗浄を行いました。
治療2回目 私的には前回の治療で膿も止まっただろうと思っていたのですが、
フィステルは治らず排膿あり・・・
CTで膿の原因は遠心根(奥の根)とは分かっているのですが、、、
この状態で根管充填(薬を詰める)してもまず治らないので、次に怪しい場所を掃除することに
前回の治療で、離れた場所にある2本の神経管の間に細いイスムスという溝があるのは分かったのでこの場所の清掃に着手
*このイスムスは細すぎて、CTなどでも識別できません。私は顕微鏡下で洗浄液の動き方を見て推測します。
30分かけてこの細い幅0.1mmに満たない場所の超音波切削、洗浄をおこないました。
術中レントゲン
イスムスを削ったので遠心根の黒い2本線が、太い1本線に変わっています。
根尖2mm手前までイスムスを追いました。
*イスムス:MM根 (Middle Mesial) MD根 (Middle Distal )の探し方 根管治療 - EE DENTAL_Blog
治療3回目
患者さんは治療後1週間程度でフィステルは無くなったとのこと、痛みなどもないとのこと
いつもならこの状態で根管充填を行うのですが、今回のケースは私的にもレアケースなので、
治療3回目は洗浄のみ行いました。
年明けの今週に治療4回目
腫れや痛みは出ていないとのことで、根管充填
遠心根は樋状根のようなクネクネした形状だったのでMTAを使用
近心根はガッタパーチャー使用
イスムスは近心根には多くでてきますが、これだけ根管の離れた遠心根にイスムスが出てくるのは
開業以来初ケースでした。
この後、レジンコア、仮歯を入れ半年後にレントゲン診査を行っていきます。
これで治ってくれれば理想なのですが^^;
先日もありましたが、痛みが取れない膿が止らないという理由で闇雲に根尖をカンガン削って更にドツボに、1年以上根管治療を続けている患者さんも困り果てて転院してきた方がおられましたが、
はっきり言いましょう!
「根の先を闇雲に必要以上に削っても治りません!」
感染源が根尖にあるという昔の教育が染み付いている先生ほど根の先を必要以上に削り、最初より症状が悪化してしまいます。
後、貼薬剤を交換しながら治すという治療も過去のものです。
幸い今回の歯は担当の先生がある程度の段階で専門医を紹介していただけたので、
根尖も大きく破壊されていなかったのでまだ治療がやりやすかったです。
根管治療で同じ歯を半年以上触っている患者さんは、その先生では治る見込みはかなり低いので歯内療法専門医などを紹介して頂いた方がいいと思います!
*歯内療法専門医ではやり直しの根の治療は通常2~3回の治療で終わることが殆どです。抜髄なら1回が理想!
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抜歯適応の歯の保存治療後6年半
- 2023年1月 4日 09:04
- 歯内療法日記
あけましておめでとうございます。
本日より通常診療を行います。
メール、留守電の返信は順次行っていきますのでよろしくお願いします。
今回の患者さんは年末に来院された患者さんの予後
患者さんは40代男性、他の歯の治療で来院してもらった際に
過去の治療箇所のレントゲンを撮らせてもらいました。
術前
2年前に親知らずの影響で歯茎の下に虫歯が出来てしまい、神経を取り治療をしたのですが最近調子が悪い。
骨が大きく溶け歯が揺れている、遠心のポケットも8mm
話を聞くと親知らずの影響で第2大臼歯遠心面に虫歯が出来てしまったそうです。
私の臨床上は
遠心の虫歯であればEENOボールなどでくり抜き虫歯治療すれば、症状のない歯の神経は残せることが多いです。
第2大臼歯遠心の歯茎の中の虫歯 - EE DENTAL_Blog
今回の歯は歯の周りの骨も大きく溶け、
患者さんには抜く前に残す治療にかけてみるか!?説明をさせてもらいました。
*破折であれば私は抜いた方がいいと説明し、トライは殆どしませんが破折には思えませんでした。
根管充填出来る頃には骨も出来始め動揺は小さくなってきていました。
その歯の6年半後
おぉ~、かなり良い感じで骨出来てくれましたね!
先日も似たような患者さんが来院されましたが、
歯を残したければ、保存治療、歯内療法の先生に診てもらった方がいいと思いますよ。
口腔外科とかインプラントの先生に診てもらっても抜いて症状を取る治療になります。
*先日の患者さんは歯内療法もインプラントも専門医という先生で、抜歯⇒インプラントと言われたそうです、私的にはまだ残せる治療できると判断はしましたが、専門医でも抜歯基準はマチマチです。
悪くなった歯は抜いてインプラントの方が予後の結果の見通しが立ちやすいので抜くというのも1法かとは思いますが・・・
個人的な経験則では短期間で大きく減った骨は、早い段階で適切な処置を行うことで骨は大きく回復してくれる傾向がありますね!(^。^)
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