スルー&スルーの骨の治り
- 2022年1月21日 09:12
- 歯内療法日記
5年前に外科処置を行い何も症状はなかったのですが、
外科した歯科医院とは別の歯科へ掃除に行くと
「もう一度前歯は外科(歯根端切除術)をした方がいい」
と言われ一度専門の先生の意見も聞きたいとEEデンタルへ
レントゲンと精査でCBCTを撮り、
『前回の外科後から今まで腫れや痛み、歯茎からの膿などでていないですか!?』と質問
患者さんは「今まで何も問題なかった」とのこと
私は『外科含め今回は治療しない方がいいと思いますよ』
『たぶん骨の治りが遅いパターンであり、問題なく経過する可能性が高いですから』
患者さんは非常に安心され帰られましたが、なぜこんな差が出るのか!?
これは診断力の差です。
自分の診断能力が高い訳ではありませんが、たぶん前の診断をした先生よりは
私の方が経験値が多少あったという所でしょうか。
特に前歯の病変が長くあった歯などは、骨が唇側から口蓋側(舌側)まで無くなることがあります。
*前側から後ろ側までトンネルのように骨が貫通したケース
このような歯を外科しても症状はすぐに落ち着くのですが、なかなか骨が出来てこないことがあります。
私の経験しているケースで言うと
太いメタルポストと根尖病変
今回は左上2の歯(予後の悪い側切歯)
とりあえず、通法の根管治療を行い
はっきり治ったような所見もなく外科的に治すことに
根尖部の口蓋側にフィンのような溝
舌盲溝の名残だと思われるが入っており、口蓋側方向に大きく病変が広がっていました。
唇側からアプローチを行うので、口蓋側まで抜けたスルー&スルーの状態に
*唇側から舌側にトンネルのような貫通した状態
ここから経過観察
術後5年経過しても完全に骨は出来上がっておりませんが、
穴は徐々に小さくなってきております。
この間腫れや痛み、膿などはありません。
もう1本の前歯は
根管治療のみで治ってくれました!
このように外科を行い、スルー&スルーの状態になってしまうと
骨の治癒が遅くなる場合もあり、今回の初診の患者さんも
根尖には骨があった為、このような治癒形態だと判断し経過をみることをお勧めしました。
このような形態の骨の溶け方だと、GBR(人工骨で骨を補う手術)もありますが、
基本的に私はなるべく体の中に異物は入れたくない派なので、GBRはしませんね(・o・)
歯科治療は同じ歯を見ても治療方針が異なることが多々あります。
特に転院を繰り返す人は同じ歯を何度も治療する羽目になることもあり、結果歯の寿命を縮めます。
抜歯や外科処置、その他治療方針で迷われたりする場合は他の専門機関で相談された方がいいと思います。
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