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根管治療が終わらない原因不明の痛み
- 2022年4月15日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは20代女性
根管治療をスタートして週に1回治療をつづけ早4か月
先生に「痛みの原因が分からない」と言われ不安になり歯内療法専門医の歯科医院へ
レントゲンを撮ると
治療中の第1大臼歯には根尖病変は見られませんが、
その隣の第2大臼歯には根尖病変+上顎洞内に入るGP、近心パフォレーションの疑いがみられます。
患者さんには①治療途中の第1大臼歯の根管治療を行い
痛みが引かない場合は根尖病変のある②第2大臼歯の方を治療する必要があると説明
ただ、過去の治療で残っている歯質がないので、根尖病変を治すために第2大臼歯は抜歯も考える必要がある。
患者さんには経験上、痛みが長期化したケースは治療してもすぐに痛みは消えないことを説明
また半年やっても症状に変化がない場合は非原性歯痛を疑い、ペインクリニックなどで投薬治療になると説明
この日は診断だけ行い初診は終了
2週間後「凄く痛い」と連絡があり、抗生剤の投与
痛みがある程度引いたあとに1回目の第1大臼歯の根管治療スタート
手づかずのMB2はあるものの根管内はさほど汚れている感じはない
MB2を処理して徹底的に根管洗浄を行いキリのいい所まで治療を行う。
1回目の治療から2週間後
また大きな痛みが出てきたが一番奥の第2大臼歯が痛い感じとのこと
また抗生剤を3日飲んでもらう。
そこから更に2週間後
痛みは治療前と変わらない。半日ぐらい痛みが出る時もある。
口腔内を触らせてもらうと第1大臼歯を触ると痛い
確かに前の治療していた先生が言われた「痛みの原因が分からない」も納得できる。。。
ただ経験上、第2大臼歯の方が怪しい・・・
次の展開として、ここを治療をして痛みの改善があるかを見た方が良さそう
患者さんに了解を得て第2大臼歯の根管治療
過去に2回根管治療をしており、かなり歯質がない歯ですが、とりあえず残す方向で治療を行うと
案の定、パフォレーション。。。
歯頚部だったので、レジンでパフォレーションリペア
口蓋根は太く削られており、ガッタパーチャーは上顎洞に入り込んでいましたが除去出来ず。
とりあえず根管内を綺麗にして仮蓋
先日他の患者さんに驚かれましたが、
歯科治療の見えない所は手の感覚のみで治療しているので隣の歯を削ったり、歯に穴を開けたりは残念ながら避けれません。
患者さん的に言えば、歯科医師はよく見えているものだと思われていますが、
正直前歯でも歯の裏側はミラーを使い手の感覚を頼っての治療が多いです。
奥歯などは多くの場合で盲目的に手の感覚で治療を行っているのが通常治療です。
ですからYouTubeの顕微鏡下での治療というのは、スーパーセントのイレギュラーなものだと思ってください。
で、話を戻して
スタートから2か月後の治療4回目 インタビュー+洗浄
痛みは変わらずあるが3種類に分かれる
1、激痛が1カ月で3回ぐらい 数分続く感じ
2、じんじんする痛みが夕方から寝るまで毎日ある
3、冷たいもの温かいもの、甘いものが凍みる
日中はあまり気にならなくなってきた。
それより手前の第2小臼歯が気になる感じ
処方された痛み止め10回分は全て飲んだ
とりあえず洗浄を行いましたが、根管内は綺麗な状態で膿などは見られません。
レントゲン
第2小臼歯の銀の下には小さな虫歯はありそうですが、これが痛みの原因になるとは考えにくいので今は触らない方がいいと説明。
*複数本触ると更に診断が厄介になるので
ここからは根管内を特に削る必要はないので、
1カ月おきに来院してもらい症状に変化があったかインタビュー
2カ月おきに根管内洗浄(15分)
の繰り返しを行います。
更に1か月後の治療から3か月後 インタビューのみ
1週間に1~2回痛い 痛みは1時間ぐらい続く
今回は痛み止めを1回も飲んでいない。
⇒ 患者さんには、痛かったら我慢せずに痛み止めを飲むように指導(痛みのない時間を作るように)
更に1か月後の治療から4か月後 インタビュー+洗浄
痛みが再び出てきた時があり、ロキソニンもあまり効かない
歩くと歯に響く
ただ、痛みの頻度は減ってきている初診時の痛みを「10」とすると今は「5」ぐらい
レントゲン
悪くなっているようなレントゲン所見はなし!
ラバーダムをして洗浄を行うも根管内からは膿のよう所見一切なし。
更に1か月後治療から5か月後 インタビューのみ
痛みはだいぶ減ってきた。
寝るときに少し気になる程度
症状もだいぶ減ってきたことより、
次回第2大臼歯の根管充填+支台築造(土台)を行うことにしました。
治療開始から6か月 第2大臼歯の根管充填
治療中によく見るとMB根に小さなストリップパフォレーションがあり、MTAにて根管充填
更に1か月後 治療開始から7カ月 第1大臼歯の根管充填
来院2日前に噛みしめをしてしまい、一時的に痛みが出たとのこと
根管充填を行うと一時的に痛みがぶり返す可能性もあるが、その場合は
待てば収まることが殆どだから痛み止めを飲んで散らすように説明
ここからもう少し痛みが 引いたら仮歯を入れ咬めるようにする予定を立てました。
根管充填から3か月後のレントゲン検診
第2大臼歯:痛みはない
第1大臼歯:押して痛い時がある、痛みもたまに出る感じ
特に悪くなっている症状、所見がないことでこの日仮歯を2本の歯にセット
根管充填から6か月後
痛みはだいぶ引いて来た、腫れもない
仮歯で食事も取れており、問題無さそうなのでかかりつけで補綴してもらうことに
根管治療後1年
第2大臼歯の根尖病変は綺麗に治ってきて上顎洞底線がはっきり確認できます。
症状は時々痛い日もあるが、その日は痛み止めで散らしている
1カ月間なにも痛みもない月もあり、痛みの頻度はだいぶ減ってきている。
とのことで、このまま様子を見て行けば症状はもっと減るような気がするので更に待つことにしました。
今回の場合は患者さん自ら歯科医院を探し受診をされました。
前に治療をしていた先生は保険の先生でしたが、やはり難しい場合というのは個人でかかえるのではなく、早目に大学病院や専門医の歯科医院へ紹介してあげた方がいいような気がします。
我々歯科医師の仕事はまず第一に「患者さんの痛みを取る」ですから、自分の技量で症状を改善できるか!?
根管治療は痛みというトラブルを抱えやすい治療の代表格です。
特にこのようなトラブルは女性の上顎に多く見られます。
痛みが長期化すると、痛みが引くのにも時間がかかりますので痛い中根管治療を続けている患者さんはある程度の所で一度専門医に相談するもの考えられた方がいいでしょうね!
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