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治療の難しい根管治療(パフォレーションリペア、ヘミセクション)
- 2022年4月20日 09:02
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性 隣町の歯科医院からの紹介
歯が痛く痛み止めがかかせないとのこと
レントゲンを撮ると
第2小臼歯:歯が揺れており咬合性外傷に思える歯髄死(ネクローシスパルプ)
第1大臼歯:近心、遠心に根尖病変 また近心根は破折を疑わせる所見あり
紹介状には、上からレジンコアを外そうと思ったがレジンでびっちり埋めてあり
パフォレーションの恐れがあった為、治療の途中で専門医で治療した方がいいと判断していますとのこと
患者さんには根尖病変も大きく、所見的にだいぶ難しい治療になりそうであること
やることは最大限やってみるが、抜歯の可能性もありと説明
治療を開始
顕微鏡下で慎重にレジンコアを除去して行くと・・・
大きなパフォレーション×2 と近心根にうっすら破折線
前の先生も頑張って根管口を見つける為に起こしてしまったことだとは思いますが、
裸眼で髄床底削るのは非常にリスキー!
とりあえず、パフォレーション部分をMTAを使用してリペア
第一小臼歯は1回法で根管充填まで行い、咬合性外傷によると思われる動揺を取る為に
咬合面を大きく落とす(噛み合わせの負担を軽減させると揺れが収まることがある)
遠心根は2根であったが、1つの根は全く手づかずであり、根尖病変はその根が原因だと思われる。
1か月後に来院してもらうと腫れてきており、だんだん痛みもまた出てきたとのこと。
診断を行うと、第1大臼歯の近心根の破折による腫れと推測でき、
患者さんにヘミセクションを行い手前の歯とブリッジにすることを提案
そこからしばらく残す為の洗浄を2回行ったのですが、
腫れは引いてこないので、
提案から2か月後に「ヘミセクション(分割抜歯)」
傾斜歯なので慎重に分割
年に4~5本分割抜歯していますが、やはり分割は顕微鏡があった方が切断面を綺麗に切れます。
*極論を言えば歯科治療は全てにおいて顕微鏡下での治療を勧めます(笑)
分割後に仮歯のブリッジを入れて経過観察を行うことに、
半年後には第2小臼歯の揺れもほぼ無くなりました。
その後患者さんから矯正をするとのことでした。
矯正中でしたが、レントゲン検診にきてもらい
理想的に骨が回復してくれています。
この状態であれば、矯正後にかかりつけの先生にブリッジを入れても問題無さそうです!
0.5本は歯を抜かせてもらいましたが、最悪2本抜くことは避けることができました(・ω・;)ゞ
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