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歯内療法日記: 2022年2月アーカイブ
半年根管治療しても治らない根尖病変
- 2022年2月26日 09:13
- 歯内療法日記
患者さんは 60代男性
2014年に一度来院があり他の歯の治療をさせて頂いたのですが、
今回は他の歯での相談・治療依頼
半年前に歯が折れ近医で根管治療をしているが治らず腫れてきたので
歯内療法専門医に診てもらった方がいいと判断し来院
現在、右上に腫れと重い感じがするとのこと
レントゲンを撮ると
右上4は歯根破折 ⇒抜歯
右上5は歯冠破折から根尖病変が見られる ⇒外科的レジン+根管治療で保存
似たような治療:コンポジストが『隔壁(レジン)』にこだわった超オリジナル治療 - EE DENTAL_Blog
根管治療をスタートすると膿が根管から出てくるものの治療2回目には膿も収まった為
ガッタパーチャーで根管充填
その後仮歯で経過を見ていき
1年経過し、根尖病変も綺麗に治ったので、ゴールドクラウンを入れさせてもらいました。
実は1本奥の第一大臼歯
2014年にやり直しの根管治療の際に私が過去にファイルを折ってしまったケースですが、
2022年現在病変や痛みなどなく順調に経過しております。
本当に!?根管治療の際のファイル破折は痛みの原因!? - EE DENTAL_Blog
今回の患者さんも歯ぎしり、噛みしめの強い患者さんだったので
今後の破折防止の意味でマウスピースを入れてもらうことにしました。
歯冠破折からの神経除去は、比較的予知性のある治療です。
ただ、長々根管治療を行っていると細菌感染が進行する場合もあるので、
悪くなってしまった歯を保存したければ早目に専門医を頼った方がいいと思いますよd(・ω・)
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側面の根尖病変と縁下マージン
- 2022年2月25日 09:16
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは30代女性
前歯に違和感が出た後から歯茎から膿が出るとのこと
レントゲンを撮っても少し分かりずらかったので
CTを撮り読影
左上1の側面に根尖病変が見られます。
それとクラウンに大きく段差があり、その部分から歯肉炎に・・・
前歯のセラミックというのはかぶせ物の縁を歯茎の中(縁下)に隠し
本物っぽく見える演出をするのですが、基本私縁下否定派・・・
縁下に入れるメリットというのは審美性しか思いつきません。
縁下に入れる治療というのは非常に難易度が高くなる治療でクラウンに段差が出来やすいです。
段差が出来ると、そこの段差に汚れが付着し歯肉炎を起こし敏感な方だと違和感を感じます。。。
ただ、前歯なので歯茎の下の縁下に入れることは一般的な方法なのですが、
今回のように歯茎のかなり深い所まで削るのはどうなのかな!?とも思います。
*きちんと印象が採れ、きちんと段差なく被せれればいいと思いますが、非常に難易度の高い治療になります。
今回のケース、過去に2回ほど根管治療したようで、太い金属の土台も見られます。
また、側面の根尖病変は治すのが難しいので、外科的歯内療法でセラミックを外さず治療も1法なのですが、
根が短く歯に動揺もあるのと、いかんせ歯肉炎を起こすほどの大きな段差・・・
*この状態で外科を行うと更に根が短くなり動揺が大きくなることが予想されます。
私は根管治療の提示をし、1回法で治療を行いました。
顕微鏡下で慎重に土台を外しましたが、特に中切歯は健康な歯質はペラペラでした。
*側切歯はクラウンの隙間から虫歯が確認できたので再治療させてもらいました。
根の先は大きく削られていた為、根管充填材にはMTAをチョイス!
そこから経過を見ていき
1年後のレントゲン
歯茎からの膿もなくなり、骨も綺麗に出来てきてくれています。
反対側のセラミックも段差はありますが、虫歯は今の所無い為よく磨いてと指導
クラウンSet直後
奇跡的に1回で過去に入れたセラミックに色が合いました(笑)
私の技術ではなく、技工士さんの腕です!
*歯が2本とも短く揺れるので2本をくっ付けた連冠にさせてもらいました。
連結をしても技工士に腕さえあれば歯と歯の孤立感は演出できます。
レントゲンチェック
以前の治療で、かなり縁下深い所まで削ってありましたが、
なんとかマージンも綺麗にフィットさせれました!
患者さんにたまに、他院とEEデンタル治療費に差があるけど!?と聞かれますが、
実は、同じ治療(材料)でもこういう手間をかけるだけ、労力が増え他院より治療費が高く設定している面があります。
同じ材料を用いれば全て同じ結果が得られるのであれば、どこの歯科医院も同じ治療費設定でもいいと思いますけどね(⌒_⌒; )
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歯髄再生療法ってどうなの!?(歯内療法専門医の今の感想)
- 2022年2月22日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんに言われて知りましたが、
歯髄再生療法が去年から開業医で始まっているんですね!
私はこんなに早く臨床応用されるとは思ってもいませんでした。
ここからは調べた範囲での個人の疑問・感想になりますが、
*注意:治療を否定するブログではありませんので(;・_・)ノ
現段階ではどうやら治験みたいな所で、殆ど成功例が出てきません。
去年から始まったプロジェクトで、治療までに1年かかるそうなので開業医での成功例は今の所無くて当たり前なのですが・・・
ただ、こういったプロジェクトって大学病院先行で治験を行い、ある程度確立した術式の元開業医が行う気がしていました。
動物実験、研究室での試験・治験の後、いきなり開業医はビックリしました。
ネットで検索すると気になる点が色々出てきました。
適応症が不可逆性歯髄炎だけだったものが、感染根管まで適応症が広がった
ようなことが書かれていましたが・・・
歯髄炎なら根管内の細菌感染の程度も少ないことが予想されるので、幹細胞が定着できるかも!?と思いますが、親知らずなどの抜歯後幹細胞の培養期間(4週間)に歯髄壊死(ネクローシスパルプ)になってしまうのでは!?
この間、歯髄炎の痛みは痛み止めなどで我慢してもらうのか!?
という点
歯根破折回避のことも書かれていますが、
歯髄に達する窩洞形成をした時点で歯の強度はかなり落ちてしまいます、天蓋部の歯髄がどれだけ厚く再生されるか!?がポイントになると思いますがいかんせ症例が見れない・・・
後で出来た象牙質の質が最初にあった象牙質と同じなのか!?また新旧象牙質の接合部の強度は!?
*第2・第3象牙質は突貫工事で出来た象牙質なので最初にゆっくり作られた第1象牙質に比べ質は悪いと言われています。(この術式ではMTA系の仮蓋材みたいですから、第3象牙質に近い気もします)
破折防止といえるだけのデーターはあるのかな!?
根管内にMTA(コンクリート)入れておいた方が歯の耐破折性は高い気もしますが。。。
後、細菌まみれの感染根管でどれだけ幹細胞が定着するのか!?
「ナノバブル水溶液」+3Mixなど抗菌剤で洗浄とか出て来ています。
この洗浄で菌を駆逐できるのであれば従来の感染根管治療の成功率は限りなく100%に近いはずだと思いますが。。。
神経管を人(専門医)がNi-Tiで触れる場所はおおよそ6~7割(3~4割の場所は掃除できません)
イメージ的にブログの写真真ん中の模型歯が一般的な根管治療ケース
一般的な根管治療(Ni-Ti+超音波洗浄)人工歯② - EE DENTAL_Blog
徹底的な洗浄を行っても触れない場所(イスムス・フィン)があり、その部分の細菌(バイオフィルム)はどうするのか!?
幹細胞と薬剤を組み合わせたとあるのでこの薬剤で細菌をこどまで抑えるのか!?
スキャホールドの菌数はどの程度まで抑えれば幹細胞が生きて生きていけるのか!?
一度入れたガッタパーチャーは溶解剤を使用しても全て取りきることはできません、象牙質表面・象牙細管にガッタパーチャーがへばり付いていても細胞が増殖して象牙質にくっ付けれるのか!?
数パーセントであると言われる根尖口外感染これはどうするのか!?
特に感染根管治療後の歯髄再生は興味津々なので次々疑問が出てきます(笑)
費用は自費治療の為、開業医の先生毎ばらばらのようですが、
大臼歯でおおよそ80万ぐらい。
細胞採取後の返金は出来ないようなので、まず幹細胞が培養成功率は70%とあり
培養出来ないケースの30%の人は80万支払って根管治療+土台+クラウン治療になるようです。
*各専門医の高めの歯科医院でも根管治療25万+土台5万+クラウン25万(1本60万以下)だと思いますのでちょっと割高感はあるかな!?
また医療費控除の対象にはならないようなので、その点は注意ですね。
じゃあ歯髄再生療法をEEデンタルで行うか!?と聞かれれば、自分は今は参入しませんね。
この分野少し興味があるので、セミナーなどあれば参加して分からないことをまず質問したいですね。
自分で調べようとしてもいかんせ論文が少なすぎるし、術式も調べると違った方法もあるようなのでどの方法が成功率が高いのかを知りたい。
術式、成功率がある程度が分かってから参入は検討します。
80万以上頂いて「ごめんなさい上手く行かなかったです」は言いたくないですし、部分的に歯髄が再生出来た所で患者さんのQOLがどの程度上がるのか!?
私なら局部的な場所に80万出すよりは、他の場所の治療をきちんと行い余ったお金で美味しいもの食べた方がQOLは上がると思ってしまいます(笑)
後、感染根管への培養であれば一流の腕の立つ歯内療法専門医が時間をかけて綺麗にした根管に幹細胞入れたケースとGPの先生が感染根管治療した場合の成功率も気になりますね。
根管治療の質でも成功率に差が出そうな気がします。
根管内というのは一度入った細菌をゼロにすることは今の所不可能で我々歯内療法専門医が行っているのは
菌数を可能な限り減らし、人工材料で細菌を生き埋めにして活動性を失わせることで、菌が体を攻撃できなくなり ⇒ 治癒(成功)となります。
(簡単に言えば、歯の出口から細菌が出れないようにすればほぼ成功!)
この歯髄再生治療においては、
【菌を殺して ⇒ 歯髄を生かし定着させる】ですから
現在の歯内療法より数段難しい治療を行い「成功」というものが得られる気がします。
興味のある患者さんはどんどんトライしてもらいこの術式での成功率へのデーター協力をしてもらいたいと思います。
その際、リスクや治療費のことはよく聞いておいた方がいいと思いますよ。
以上、今調べた範囲での意見になります。
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本当に!?根管治療の際のファイル破折は痛みの原因!?
- 2022年2月19日 09:06
- 歯内療法日記
色々考え方はありますが、
先日もファイルが折れてしまった所が痛みの原因と診断され
自費で根管治療を受けられた患者さんがおられましたが、治療後も痛みはたいして取れていない。。。
個人的にメタルコアやメタルクラウンなどは良くて、なぜ歯の中のファイル(金属ヤスリ)だけ目の敵にするのか!?
大体、インプラント治療なんて、チタンとはいえ金属を骨に埋め込んでいる治療ですからね(笑)
*確かにファイルはおらない方がいいにこしたことはありませんが、これを0%にすることは不可能です。
*昔の文献で歯内療法専門医でも2~4%程度折ってしまっています。
ファイル(ステンレス、ニッケルチタン)は比較的安定した材料です。
歯の中にある限り悪さはしません。
逆を言えば、メタルクラウンなどは電解質である口の中に露出させてしまっているのに何も問題にしません。
例えば、大きな根尖病変があり私がファイルを折ってしまったケース
過去に2回ほど根管治療がしてあり、かなり太く神経管を削ってあるのですが、
感染している根のうち1本は手づかずの状態でした。
その手づかずで感染している神経管を治療していると
湾曲が強かったのと、当時3世代目のファイルを使用していた為
湾曲に追随できなくプロテーパー(ユニバーサル)を折ってしまいました。。。
*患者さんにはファイルを折ってしまったことは説明させてもらいました。
ただ、折っても洗浄をきちんと行えば
術後7年病変は綺麗に治ってくれています。 もちろん症状もありません。
次のケースは痛みが取れないとのことで来院された患者さん
術前時側面に広がる大き目の病変+外に飛び出したファイル
歯の外にファイルは飛び出しているので私の技量では除去出来ませんでしたが、
この歯も徹底的に洗浄を行い
術後9年 病変も消えてくれ症状もなく落ち着いております。
逆のケース 遠方からの患者さんで1回目に来院時根管治療の話をして、
その後、近医の顕微鏡がある歯科医院で治療してから違和感が強くなったとのことで再来院
病変があるのは近心根 ファイルが折れているのは遠心根
2回目来院時、ファイルは除去できているのですが・・・
反面、遠心根をかなり太く削った所見と根尖に大きなパーフォレーション。。。
穴埋めにMTAを使用したみたいですが、これってファイル取る意味あったのかな!?
個人的にはこのケースであれば感染している近心根を徹底的に治療し、
病変のない遠心根の破折ファイルは簡単に取れなければそのまま残したと思います。
痛みや違和感を出すのは細菌感染した根尖病変ですから、そこをまずは治療します。
患者さんには「取らなくても大丈夫ですか!? ファイルがあることのデメリットは!?」
とたまに聞かれますが、私は、
『再治療の際に邪魔な存在なだけ、取るのは大変で除去する為にはかなり歯を大きく削るから取れた所で今度は歯の強度に心配が出ますよ』
『個人的には今問題なく咬めていれば、病変がない限りそのままにしておく方が歯の寿命の面では有利』
と話します。
問題ない歯のファイルを取る目的で、2回しかできない根の治療回数の1回を使うのは・・・
最初に戻りますが、ファイルが折れて痛みがあると、「ファイルが痛みの原因」
と言われることもありますが、
痛みの原因を疑うのであればまずは細菌感染を疑った方がいいと個人的には思いますね!( ̄▽ ̄;)
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2022年 Ni-Tiファイル後の根管洗浄(可能な限り綺麗にする方法)
のつづき、
メーカーの人向けに模型歯をもう1本使用して
私が今やっている方法で根管内を綺麗にしてみました。
アクセスは「Traditional Endodontic Cavity」
まずアクセス
この模型では各髄核部分を削るとアクセスホールは6.5mmとなりました。
*外開きではなくパラレルで形成した為一般的なアクセスホールより少し小さめかもしれません。
コンサバティブエンドアクセスに比べ約倍の削除量となっています。
次に、下の写真の真ん中のトラディショナルエンドアクセスの歯は
プロテーパーF2は (おおよそ根尖#25テーパー07) その後超音波洗浄5分
抜髄の必要最低限な治療は終えております。
神経管の図
近心根
左から、
コンサバティブエンドアクセス、トラディショナルエンドアクセス、術前の順
(赤色の部分が歯髄の取り残し)
遠心根
通法の方法だとおおよそ1/3の歯髄は残っています。
イスムス、フィンなどの部分はNi-Tiでも除去できませんし、臨床でも一般的な超音波洗浄を4~5分程度行いましたが、取れるのは音波チップ(金属チップ)の当たる上部のみ
上を大きく削った所で、根尖方向を治療する術を持たないとこのような結果になってしまいます。
ファイルはどんなに頑張っても直線的にしか神経管を触れないので凹み部分などは除去できません。
ハンドファイル+貼薬ではこれよりさらに歯髄の取り残しは多くなってしまうことが予想できます。
GentleWave があれば取れるか!?
GentleWaveの臨床動画
Live GentleWave Procedure #30 - YouTube
隅々までGPを入れる目的で、根充剤根尖から出し過ぎのような・・・
*抜髄で根尖から根充剤を押し出すと予後が悪いとされています。
99.99%私は買わないけど・・・、こんな洗浄を売りにした商品も巷にはあります。
「数百万出してこれ!?」「金持ち専門医のガジェット。。。」というのが感想
因みに私の道具は「3000円」と「500円」の道具で洗浄を行っております。
術式はまたこちらでお話します。
抜髄でお困りの先生はご参加ください! \( ̄▽ ̄)/
*注意参加条件がありますので、詳しくは知立研修せんたーまで
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珍しい第2小臼歯からの上顎洞炎
- 2022年2月15日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
頭の検診でMRIを撮影し上顎洞に炎症が広がっていることを指摘される。
1カ月前に痛みが出て近医でCTを撮ると、根尖病変が上顎洞と繋がっていると指摘された
とりあえず、抗生剤と痛み止めを処方してもらった。
その歯科医院での治療は難しいとのこと
現在の症状は頬の奥の方が痛い、頬を押すと痛い+違和感を感じる
レントゲンを撮ると、
第2小臼歯に比較的大き目の根尖病変がある。
過去に何度か頑張って根管治療をしている痕があるが、上顎洞とも離れているので・・・
とりあえず、返信投影
過去の治療でガッタパーチャーが歯の外に押し出せれていることを確認
ただ、第2小臼歯が原因か!?とも疑ってしまう。
前の歯科医院でCTのコピーを頂いたとのことで見せてもらうと
確かに根尖病変と上顎洞が繋がっている!
*これだけ分かれば当院でCTをわざわざ撮る必要はありません。
第2小臼歯の頬側の皮質骨が厚かった為か口蓋側に病変逃げ道が出来てしまい
たまたま近くにあった上顎洞に交通
ただ、前の治療で相当削ったようで治療に耐えられるか!?
とりあえず残す方向で話を行い初診は話だけで終了
その後、数日後に電話があり大きく腫れてきたとのことでまた近医で抗生剤をもらったそう。
頬側にはフィステル(膿の出口)が出来てきたとのこと。
治療1回目
メタルボンド+ゴールドコアを除去し電メスで歯肉をトリミングして
縁下から隔壁後、ラバーダムをしてGP除去を行うと排膿あり、根尖は非常に大きく削られていた。。。
外に出ているGPは除去できませんでした。
2週間後に来院してもらいフィステルチェックとインタビュー
腫れ、痛みはない。頬を押しての痛みもほぼ無くなった。
フィステルも無くなったことより、次回MTAで根充しますと説明
更に2週間後の治療3回目
MTA根充+レジンコア+仮歯
術後6か月後のレントゲン検診
痛みや腫れ、フィステルなどはなく調子はいいとのこと
レントゲンでもだいぶ骨が出来てきてくれています。
これだけ治ってきていれば本歯を入れても大丈夫でしょう!
この後、1年予後までレントゲンで経過をみて終了となります。
経験上、上顎洞炎ケースは第1、第2大臼歯が多く
今回のように上顎洞と少し離れた第2小臼歯が原因歯となっているケースというのは
初めてであり、本当に!?とは思いましたが、CTの所見ではっきり原因歯が確定できました。
経験からの先入観は持たずに診断することが大切と教えられた1ケースでした(・。・;)
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破折歯の分割抜歯(トライセクション)
- 2022年2月12日 09:09
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは70代女性
右上のゴールドクラウンに違和感があるとのこと
レントゲンを撮るとなんとなく違和感のある所見
別角度で確認すると
やっぱりMB根が折れており、違和感の原因はここと診断
幸い大きな痛みや歯の揺れなどがないことより、
折れている根だけ分割抜歯(トライセクション)で歯の保存を行うことにしました。
2根は特に根尖病変などの問題ないのですが、
破折した場所からの細菌感染を疑い根管治療も行うことにしました。
治療をスタートしクラウン、コア除去を行うと患者さん自身も心配するぐらいの腐敗臭が部屋中に充満
細菌感染した歯、歯の中に入れた人工物に細菌が住み着き臭いを出します。
特に歯の中に住む嫌気性菌は非常に強い臭いを作り出します。
個人的には年に数本はこのような凄い臭いがすることがあるのですが、患者さんはやっぱり心配してしまいますよね・・・
臭いに心配する患者さんに
「大丈夫ですよ、治療終わることには殆ど臭い取れますから」と説明
ただ、このままの臭いだと次の患者さんもビックリしてしまいますし、何よりその近くで治療を行う私の喉が痛くなるので
医院にある空気清浄機&口腔外バキュームを全開にしてしておきます。
*天井の空気清浄機は音はうるさいですがよく吸う!
まずは2本の根の根管治療
中に入ったガッタパーチャーも臭います。
ただ、除去、拡大操作、次亜塩素酸で消毒する頃には歯の臭いは落ち着きます。
綺麗にした後でガッタパーチャーを入れ、レジンコア
レントゲン
普段作らないポストも、残った歯の維持力を考え3mm程度のポストも作成
この後、顕微鏡下で音波を使い歯根分割し、折れている根の抜歯
根管治療は殆ど手づかずであり特に太く削ってあった訳でもありません。
また根の先から割れているという珍しいパターン
*ホント歯科の世界は不思議がいっぱいです。
分割した場所がスムーズに切れているかレントゲンで確認
綺麗に分割出来ました。
この後、仮歯を入れ半年程度待って本歯を作成します。
歯根破折回避の為、クラウンを入れた方がいいというのが今の教科書ですが、
クラウンを入れても折れる時は歯根が折れてしまいます。
今回入っていたのもゴールドクラウンでしたが、ゴールドクラウンを入れると、
咬み合わせに馴染むという理論も個人的には
「そんなに都合のいい話ってある!?」と思っています。
*タイプⅠの金属なら可能化もしれませんが。。。
根管治療後の長期の安定というのは非常に難しい問題だと感じます。
だいたい、夜間の歯ぎしりで悪くなることは想像できますが、こればっかりはどう対応すればいいか。。。
今回のケースはこの後、仮歯を入れ4~6か月程度様子を見て本歯を作成していきます。
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挑戦者求む!(笑)人工歯①
今日は休みですが、2022年のアドバンスセミナー用の動画を作っております。
国内ではまだまだマイナーな「コンサバティブエンドアクセス」の
私のやり方をスライドにしようかと、事務局に用意してもらった人工歯
トゥルートゥース #30 - アクセス - DELabs (delendo.com)
近心根が根途中からMM根が現れ、真横にイスムスもあり難しかったです。
セミナー動画を撮りながら1時間15分(実質50分ぐらい)
約3mmの穴から髄角部分を処理します。
入り口から小さくして富士山型に処理していきます。
術後と術前模型
赤い部分が歯髄、赤いロウのようなものが入っています。(水で洗っても取れません)
3mmの穴から5根管(MB,MM,ML,DB,DL)を処理、イスムスが多い歯でした。
MB根とMM根を繋ぐイスムスにどうしても点状に歯髄が残ってしまいました。。。
ここを処理するにはMB根穿通前に処理すべきだったかも!?
ただ、自分では結構効率よく歯髄取れたかな!?と思います。
横から歯髄を見れるのでラクっちゃラクです(笑)
遠心2根+イスムス
見えるからDB根の側枝3つも比較的ラクに処理できました。
コンサバティブエンドアクセス(3mm程度の穴)からでも殆ど歯髄は処置できます。
逆に歯冠部を大きく落としても、ハンドファイル、Ni-Tiファイル、超音波だけではここまで取れないと思います。
コンサバティブエンドアクセス否定派の先生は是非是非挑戦してみてください(笑)
歯髄除去は穿通拡大後にどこまで洗浄操作をどこまで行うか!?
Ni-Tiファイルまで通すと安心して終わりのように思えますが、そこからが洗浄スタート
見えない部分にどこまで手をかけるか!?
どうすればここまで除去できるのか!?
セミナーで効率よく歯髄を取る方法をお話したいと思います。
腕に覚えのある先生からの挑戦お待ちしております(笑)
制限時間は1時間でお願いします!ヽ( ̄▽ ̄)ノ
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近医の先生からの根管治療の依頼
- 2022年2月 8日 09:01
- 歯内療法日記
矯正予定の40代の女性患者さん
担当の先生から「土台の除去が難しそうだから専門医に行った方がいい」
との説明
レントゲンを撮ると
遠心根を取り囲むように、透過像があり折れているときの所見によく似ています。
また、長い金属の芯が入っております。
残っている歯質も少なく一歩間違えればパフォレーションを起こしてしまいそう。
こういうケースは超音波で除去を行えれば比較的安全にコア除去が出来ます。
ただ遠心根を取り囲むようなレントゲン所見もあり、
コア除去後に歯が折れているクラックが出てくる可能性もあることを患者さんに説明。
矯正の際に一番の肝となる第一大臼歯ですので、何とか保存したい。
とのことで通法の歯内療法を行うことになりました。
が、実際治療をスタートすると
遠心根のコア除去を行うと既に薄っすらパフォレーションを起こしておりました。。。
現在レジンコアは、金属の補強をしなくてもいいのですが、ひと昔前の保険治療は
レジンの補強の為に金属の芯を入れなさいというレギュレーションがありました。
逆に言えばこのレギュレーションがない今の時代なら起こってなかったかもしれません。
、遠心根は2本の神経があったのですが、神経管が近接していた為か1本の神経管が全くの手づかずでした。
*これは顕微鏡がないと判断が難しいと思います。
術後のレントゲンで解釈すると、
炎症の原因が歯の上と下に1つづつあり2つがくっ付いて大きな歯根破折様の所見になっていました。
この場合2つの問題が解決出来ないと治癒はしてきませんのでより難しい根管治療となります。
黄色部分に穴(パフォレーション)が開いていました。
2つの根尖にはガッタパーチャー根中央部のパフォレーション部にはMTAと使用
先日のパーフォレーションリペア
根管治療時の偶発症の1つ「パフォレーション」。。。 - EE DENTAL_Blog
たまにこのような歯に開けた所に感染が起こって問題化していることもあります。
仮歯で1年経過をみさせてもらい
1年予後のレントゲン 症状も一切ないとのこと
根分岐部の骨も綺麗に出来、病変も小さくなってきています。
これなら最終補綴を行い矯正しても大丈夫でしょう!
今回ご紹介をして頂いた先生のナイス判断だったと思います。
裸眼で土台除去を行うと下手したら穴を広げて抜歯になっていたかもしれませんからね!(?。?)
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根管治療 ガッタパーチャーの入りはそれほど気にしない
- 2022年2月 4日 09:06
- 歯内療法日記
患者さんは昔から診させてもらっている60代の患者さん
他の歯で長いこと痛みで悩まされていましたので、左の上に小さな影があるのは分かっていましたが
このぐらいの大きさなら問題なく経過するケースも多くあり、症状もないことより6年ほど様子をみていました。
が、
最近になり歯茎に痛みが出てきた為、いよいよ根管治療を行うことにしました。
積極的に介入しなかった理由の1つには
根が⚡型にくねくね曲がっており過去の治療でレッジが出来ている
*一度このような歯にレッジを作られるとオリジナルな根管の治療はまず不可能、だから1回目の根管治療が大切なんです!
「たられば」ですが、私であれば1回目は断髄したでしょうね。
このような⚡型の神経管は根の先まで治療出来ても削る量が大きくなるので、
まず断髄を行い、ダメなら根管治療をします。
これだけ手の入った歯は、根管治療だけで治る見込みも低く外科的歯内療法が必要になりそうだったので
あえて積極的な介入は避けていました。
*痛みを抱えやすい人の外科は痛みを作るリスクもあるのでなるべく最小限の介入を心がけます。
過去に2回根管治療を行ったようで太い土台が入っており残っている歯質もかなり少ない。。。
コアの不適合も気になるのでまずは通法の根管治療を
1回法にて+レジンコアまで、
Kファイル+超音波で攻めてみましたが、根尖付近は石灰化しておりここまでしか開きませんでした。。。
ただHファイルなどを使用して神経管でもない所を削り根の先を目指すのは間違った根管治療だと思っているので私はしません。
根管治療は細菌の数を減らす治療であり、ガッタパーチャーを根の先まで入れる治療ではありませんからね。
ここから仮歯を入れて定期検診を行い、
痛み腫れが1年出なかったことよりセラミッククランを入れさせてもらい
1年6カ月
症状はなく、レントゲンでも根尖病変は小さくなってきています。
この先また根尖病変がぶり返す場合も極稀にありますが、
その際は外科で対処できるように戦略的な治療を行っております。
ガッタパーチャー(ゴム)が入らなくても消毒さえきちんと行えれば、約6割は治癒します。
ふた昔前はガッタパーチャー(ゴム)の入りは予後の成否に大きな影響がある的な考え方でしたが、今やそれは過去の考え方です。
先生の中にはガッタパーチャーの入りが悪いから再治療しましょうなどの診断をされる先生がおられますが、根尖病変のない、痛い違和感のない歯の再治療は積極的にはしない方がいいと個人的には思います。
根管治療は2,3回の治療で打ち止め次は外科 or 抜歯となります。
歯を長持ちさせるにはまず診断です、次に技術、患者さんが最も気にされる材料とか道具というのは大分後のポイントになります。
今回の患者さん、痛みが出やすいので根管治療だけで済ませられて安心しました!ヽ(・●_・ )
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感染根管治療 トライケースからの歯の保存
- 2022年2月 1日 09:02
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
最初の来院は2017年 全顎検査後
右下に虫歯特有の違和感があるのでここの部分を治療したいとのことで、
歯髄保存させブリッジ治療を行いました。
2019年
治療した右下には問題ないが、反対側の左下に違和感があり、
ブリッジが浮いている感じがするのことで再来院
かみ合う左上をインプラントにした後に透過像が進行しており
私は破折を疑い、インプラントにするなら早目に抜いてかかりつけの先生に
インプラントを入れられた方がいいと説明
インプラントはケースによっては周りの歯にダメージを与えることもあります。
その後連絡なく、1年以上経過した2020年
夜になると左側の上下の歯に痛みが出て来て痛み止めがないと寝れないとのこと
揺れがなかった右下のブリッジにも揺れが出てきており、
レントゲンを撮ると更に骨が無くなっている所見に・・・
歯根を取り囲むような所見であり・・・
ますます折れている所見に近い、原因としては歯ぎしりが最も疑わしい。
患者さんには、たぶん今の状態は抜歯が順当と繰り返し説明
ただ、患者さんはここ数年でどんどん抜歯になっていることもあり、
多少でも残せる可能性があるのであれば保存治療をトライしたい
とのこと、
患者さんと話し合い、
とりあえず破折線がないかクラウンを外して確定診断をすることに
大臼歯はクラウン&コア除去後に歯に破折線のないことを確認して、ガッタパーチャーで根管充填
小臼歯はクラウン除去後に大きな虫歯があり、症状も無かったので断髄を行いました。
過去に2回根管治療してあったのですが、治療してあったのは4根管中の2根管
でその2根管も根管口付近の処理だけで途中から石灰化
舌側の2根は全くの手つかずで、この2根は根の先まで探し根管充填
顕微鏡で見ると「あっ!ここ手づかずの神経管!?」とは分かりますが、
裸眼だと非常に分かりにくい場所に神経管の穴が隠れていました。
根管治療は難しいので仕方がありませんが、先生も出来ないと思われれば
途中で治療を終わらせるのでなく、患者さんに専門医に行くかどうか聞いてあげた方が・・・
第一大臼歯で神経管が2本という歯はまず神経管の見逃しです。
*必ず3~4本の神経管があります、過去の私が治療した最多は6本でしたが2本は経験がないです。
そこから定期的にレントゲン撮影を行い
久しぶりにレントゲンを撮ると、まだ多少透過像はありますがだいぶ骨が出来てくれています。
患者さんも腫れや痛みもないとのことで、この状態であればブリッジを作っても大丈夫かな!?
患者さんは「治療トライして良かった!」とおっしゃっていました。
今回のように残せるときは残ることがありますが、
術前のレントゲンではここまで回復するとは全く思えませんでした(-∇-;)
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