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知らないうちに歯が溶ける外部吸収

歯内療法を専門にしていると年に数人『外部吸収』という歯が溶けてしまう状態での来院があります。

  

前歯の外部・内部吸収などは外傷によるものがありますが、

奥歯の外部吸収は何が原因で起こるのかは分かっていません。

 

破歯細胞という歯を骨を食べる破骨細胞に似た自分の細胞が起こしてしまうことと考えられています。

 

  

患者さんは30代男性

全体的に虫歯を治療したいとのこと

奥歯の銀歯があっておらず、土台も隙間だらけであった為、

一度根管治療しておきましょうということで治療スタート

2019 EEdental SN (1).jpg

 

土台まで外すと。。。

2019 EEdental SN (2).jpg

この部分にデッかい穴、  

  

 

歯に穴が開くのは2つあり

1つが医原性に起こる、前の先生が治療の際に開けてしまった『パーフォレーション』

もう1つが自分の体の細胞が起こす『外部・内部吸収』

   

開いた穴の付近の歯質から出血があるのでこれは吸収だと判断

*吸収した歯は歯髄でもない場所から点状の出血が見られます。 

 

今回のケースは明らかに医原性ではない感じでしたので、

 

患者さんに説明をさせてもらい、

「使えるまでとなってしまうが、1本前の歯もないし保存を行うか!?」

 

 

患者さんは残せるのであればとのことで、保存する方向で再び治療を行い

2019 EEdental SN (3).jpg

仮歯を作り、患者さんには「1年ぐらい仮歯で様子をみさせてください」と説明し、 

 

3カ月、6カ月、1年と経過観察

2019 EEdental SN (4).jpg

幸いなことに歯ブラシ能力が高い患者さんでいつも綺麗な口腔内だったのが大きいのか

腫れや痛みなどはない

 

そして根管治療から1年3カ月後

2019 EEdental SN (5).jpg

特に問題なく経過してくれています。

 

 

ちょっと前にも患者さんに言われましたが、

レントゲンはただの影絵であり、その影絵から全ての状況を知ることはできません。

しいて言えば、ざっくり悪い歯のイメージが出来る程度です。  

このイメージも経験とか知識によって1枚のレントゲンでも抜き取れる情報量が異なります。

 

ですので、実際治療してみると

「えぇ!?」ということもたまにあります。

 

またレントゲンの種類にもより、見えるものは異なってきますので

病気に合ったレントゲンの種類で診断をした方が誤診も少なくはなると思います。

 

今回のケース、根尖病変も無かった為CBCTを撮らずに治療を行いましたが、

術前時にもしCBCTを撮っていれば、歯の穴が予想できたかもしれませんがリスクとしてもれなく被爆します。

 

ホント医療は結果論の部分が多く、後でああすれば良かったのかな!?という所も出てきてそれが経験値となります。

 

難しいっすわ歯科医療。。。(>。<)

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