Home> 歯内療法日記 > 歯を抜いても痛みが取れないケースの診断と処置
歯を抜いても痛みが取れないケースの診断と処置
- 2023年2月 4日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは30代の女性
2021年5月以前は全く痛くなかったのに急に痛みが出た後次々に色々な所に痛みが出てきてしまっている。
話を聞くと2021年5月に右下の歯に痛みが出てきた。
普通にしていても腫れはなかったが先生にヒビか割れと言われ右下の歯を抜歯をした。
その後、右下の痛みは無くなったが右上に痛みが移り、また右上の奥歯が折れているかも!?
と言われ右上7を抜髄右上6の虫歯治療を行う。
⇒痛みは変わらず、右上6の抜髄 ⇒痛みは変わらず 9月に右上7の抜歯 ⇒痛みは変わらず右上6の再根管治療を行う。
その後、抜いたはずの右上7の部分に痛みが出てきた、その後歯茎から歯の破片みたいなものが出てきたのでを切開して掃除を行う。
最近になり、左上の歯も痛くなってきている。
口腔外科に紹介状をもらい行ってみるが納得できないとのこと
患者さんの歯を見せてもらうと、
右上の銀歯の歯にファイル破折はあるものの特に病変はない。
黄色丸の部分にファイル破折あり
*破折ファイルを痛みの原因という先生もいますが、それは大体間違っています!
左上はかなり大きな根尖病変あり。
特に左上5に大きな病変
患者さんの話をよく聞くと左右で痛み方が違う
左は歯に物が当たると痛いが右は絶えず痛みが続いている。
上下抜いた右側は下顎は痛くないが、上顎だけ抜いた部分が痛みその部分を舌で触っても痛い。
1年ちょっと前は何の痛みもなく生活できていたのに、急に歯がどんどん痛くなる。。。
と話される。
(歯の痛みはストレスになりますよね・・・)
私が出した治療方針は、
右上は特に痛みの原因になるような所見はないので、今は何も触らない ⇒ 待機診断を行い、悪い所見が出てきたら治療を行うか検討
この時点で右側は非原性歯痛の疑いが強いが、左側は細菌感染による痛みだと推測
ペインにかかるのは左上2本の根管治療を行ってからがいいと説明。
左上6から治療スタート
2回法で根管充填+土台
左上5
こちらも2回法で根管充填材にはMTAを使用 仮歯を入れ
歯ぎしりの所見もあった為マウスピースを作成し井川先生に紹介状を書く
*超稀に歯ぎしりが原因で痛みを出す人もいます。
井川先生の所で投薬が始まる。
根管治療後の痛み 非歯原性歯痛 - EE DENTAL_Blog
その間、私は待つだけ
根管治療1年後にレントゲンを撮らせてもらいました。
おぉ~、だいぶ骨が出来てきています!
患者さんに今の現状を聞くと、左に関しては一切痛みはない(たぶん細菌感染という細菌の攻撃が取れたからだと思います)
右に関してはだいぶ痛みの頻度は減ってきているが、たまに痛みがまだ出る。
投薬のことを聞いたらまだもう少し続けるとのこと、ただ、静岡まで行くのが大変なので
先生が薬処方できないの!?と言われましたが、即答で「出来ん!」と 笑
患者さんには
「よかったね、痛みが取れつつあって、もうちょっと井川先生の指示に従って頑張ってね!」
「あの状態で普通の歯科治療を続けていたら、たぶん後歯何本か無くなっていたよ。」
「よくある話で、歯が原因と思い込んで触って触って、原因が分からず歯を抜いて抜いての繰り返しになる典型的な病気だからね。」
『私も1本抜いちゃったけど・・・』
「1本で済んで良かったと思った方がいいよ」 と説明
この後、痛みがもうちょっと治まり井川先生のGoサインが出れば左上の仮歯を本歯にしていきます。
こういったケースって、痛みが取れず何件も歯科医院を回ってから見させてもらいますが、ホント女性に多いです。
ペインは私の専門ではありませんが、ペイン前のきちんとした根管治療であれば治療は可能です。
個人的にはペインを疑うようなケースは歯内療法専門医がきちんと診断&治療してからペインにかかられた方がいいと思います。
細菌感染が原因で痛みが出ているのであれば、それは歯科治療で治ります。(左上の歯がそれだと思います)
ホワイトニングをしたら痛みが出た、その後7カ月痛みが止らない - EE DENTAL_Blog
逆に感染で痛みが出ているケースをペインの先生が見てもそれは不適応症で痛みは取れません。
似たようなケースはコンスタントに年に数本歯ありますね。
歯の神経治療は要注意!特に女性!! - EE DENTAL_Blog
*注意)全ての方の痛みが完全に取れる訳ではありませんのでね。。。
根管治療を半年以上続けている方、先生が原因を特定できないケースなどは
無駄に時間を潰したあげく抜歯になり痛みが残るのは最悪の結果ですから、抜く前に歯内療法専門医に相談した方がいいと思います。
- 購読
- Powerd By