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歯内療法専門医の意地と攻め方!
- 2014年9月 6日 09:45
- 歯内療法日記
やり直しの根管治療は、最初の神経を取る抜髄に比べると難易度がかなり高くなってしまいます。
今回のケースは、疲れると強く違和感が数年前から続いているという患者さん
(ただ、通っていた歯科医院ではこんなものだから様子をみてみてと・・・)
レントゲンの真ん中の歯を取り囲むような黒い影があり、この歯が違和感の原因になっていると思われますヾ( ´ω`)ノ
ただ、この所見は、歯根破折様のレントゲン所見にも見えますが、たまにこういう形の根尖病変もある為
患者さんに破折の可能性があることを説明を行い、患者さんは何とか保存する方向で治療をしたいとのこと。
一度被せ物を外して、破折所見が無ければ治療を行いましょうという流れになりました(ゝc_,・ )
問題点としては、
1、二股の根のうち前側の神経管が全く手付かずで治療をしていない(ここの神経管は治療が難しい為)
2、根の先の根の形が長期間病変があった為か変な歯根吸収を起こしている(歯の先は病変期間が長いと吸収を起こすことがあります)
3、手付かずの神経管は石灰化していて根管が細くなり過ぎ見えない・・・
実際治療を行うと問題の近心根の2根が石灰化しており、根管口らしき痕 しか見られない・・・
そこが最初の手掛かりなので、超音波で元根管があった場所を0.1mmずつ2mm程度深く削って行くと
僅かに、0.06mmのファイルがひっかかる感触をつかむ!
*このことを【タッグバック】といいます、数ある専門医のテクニックの1つです(笑)
そして、そこからひたすらタッグバックを消さないようにプッシュ&プル×無限 +ステップバック(#08~25)
(ファイルを少し押しながら回して、元の神経管に0.05~0.1mmぐらい食い込ませ、ファイルを引き抜く)
をホント永遠に繰り返して行きます。
そんな繰り返しをすること1時間15分(この間ずっと手先に感覚を集中させて殆ど顕微鏡は使用しません)
1回で0.05mm進む治療を繰り返しを200回行えば10mm治療が進んでいることになります。
見えない単位の治療は全て指先の感覚だけの治療になります( ・∀・)ノ
ようやく元の2本の神経管を根の先まで探り当て、そこから5分でNi-Tiファイル(ボル・プロテーパー)で根管形成・拡大
ここまでが1回目の治療で治療時間1時間45分
歯の治療、特に根管治療は0.1mm以下の単位での治療になることもしばしばあり、
私のファイルボックスには0.06mm、0.08mmの道具が常備されています(・3・)
ただし、これは【神の手】ではなく人間が突き詰めて行けば行える『職人の手の感覚』なんです。
そして、職人作業が終わった後、科学的根拠に基づいた治療に戻り、
今日徹底的な根管洗浄+根管充填を行い
術前 ⇒ 術後
自己採点:92点
なかなか難易度の高い歯の治療でしたが綺麗に治療が行えました。
ただ、この歯が残ってくれるかどうかはもうしばらく経過観察を行う必要があります。
根の治療が得意な先生が、たまに言う言葉があります。
「根管治療は最後は術者の腕次第!」
この先もまだまだ、腕(指先)と感覚(直感)の研鑽は積む必要がまだまだ無限にあります。。。(´-ω-`;)ゞ
歯内療法は奥が深すぎる!
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