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歯内療法日記の最近のブログ記事
外科的歯内療法 術後8年
- 2025年10月31日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
近医で根尖病変を指摘され、2回目の根管治療ということで抜歯の可能性もありと説明を受けた。
レントゲン
近心根に少し大きな根尖病変
ただ、過去の治療で歯茎の中の方までクラウンが入っており、このレントゲンから予想されるのは
残っている自分の歯はだいぶ少なそう・・・
確かにこのレントゲンを見ると抜歯という判断もないことはない。
患者さんには残す方向で治療をしましょうと説明し
2回法で根管充填+レジンコア+仮歯
ここから経過観察をしていったのですが、7か月後のレントゲンでも病変に変化なし、
ということで外科的歯内療法で治すことになりました。
*現在であれば、腫れや痛みが無ければ1年ぐらいは経過観察をしています。自分でも時期(時代)により診断は異なります。
外科的歯内療法を行いました。
外科後1年
だいぶ骨は出来てきてくれています。
先日、左下7に虫歯があり左下6のクラウンを外さないと治療が出来ないとかかりつけの先生に言われたそうで来院されました。
レントゲン、顕微鏡下での審査で左下7の虫歯はないので、クラウンも外す必要はないと説明
外科的歯内療法を行った場所も綺麗に骨が出来てくれています。
処置した歯に問題がないと一安心します(笑)
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切開を繰り返しても治らない歯の治療
- 2025年10月28日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
2~3年前から膿んでは切開の繰り返しを行っており、何とか治せないものか!?と来院
レントゲン
右上6の近心頬側根に少し大き目の根尖病変があります。
ただ、通常のレントゲンだと識別しにくいケースです。
普通だったら、CTなどで精査をするんでしょうが・・・
私は左上6が原因であり折れているような所見が無い為わざわざCT撮る意味があまりないので
このレントゲンで治療をスタートしました。
*最初にCTを撮らず、途中で撮ることもあります。
治療1回目
病変のある近心頬側根から排膿、また手づかずのMB2が見つかる。
治療2回目
フィステルは無くなり、根管内からの膿も無くなったので根管充填
MB,MB2根はMTA使用 DB,P根はガッタパーチャー使用
経過観察中に手前の第2小臼歯に虫歯があったのでこちらも治療させてもらいました。
術後5ヵ月
病変は少し小さくなってきています。
また患者さんも治療後から腫れも痛みもなく、順調とのこと。
術後10ヵ月
病変は更小さくなり、無くなった骨が出来てきてくれています。
問題無かったので、先日ゴールドクラウンを入れさせてもらいました。
病変は歯根膜腔の広がり程度まで落ち着いてきてくれています。
根管治療は手間もかかり難しいものなので仕方がありませんが、切開して膿を出しても
それは抜本的な治療にはなっていませんので、必ず再発します。
先生も手に負えないと思われれば、歯内療法専門医などの存在があることぐらい患者さんに伝えてもらえばなと思います。
今回の患者さんもネットで色々検索してEEデンタルを見つけられ、来院されました。
後、先日面白かったのが、ある患者さんが歯が膿んできてしまい、近医で「根尖病変で根管治療が必要」と先生に言われ、AIに聞いたらEEデンタルを勧められたので来院しました。という患者さんがおられました(笑)
これはビックリしましたがそういう時代になってきたんですね(・Д・;)
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3mmの穴からの根管治療
- 2025年10月25日 09:00
- 歯内療法日記
以前セミナーもさせてもらっていた「3mmの穴からの根管治療」
第10回 エンドハンズオンセミナー終了! - EE DENTAL_Blog
この方法、顕微鏡と道具があり練習すれば誰にもできるような治療法ではあります。
難しいというデメリットを除けばメリットの多い治療法だと思っています。
患者さんは60代女性
全顎検査をさせてもらった後に悪い部分だけ治すことに
右上7のブリッジの支台の歯に根尖病変が見られます。
保険のブリッジでしたが、クラウンの適合も悪くなかったのでクラウンに穴を開けて治療をすることにしました。
1回目で4本の神経管を処置して、
仮蓋
白いものが仮蓋(直径3mm)
この穴からの治療できちんと出来るのか!?
レントゲン
第2大臼歯にたまに見られる4根管の神経管でした。
この後経過観察をして行きます。
必要最小限の治療で仕上げられたのではないでしょうか!
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口蓋根を探してパフォレーション経過
- 2025年10月24日 09:00
- 歯内療法日記
歯の神経管の入り口は大きなものでは、2mm近くありますが、小さなものでは0.1mmもありません。
一般的に患者さんは歯科医師が目で見て治療を行っていると思われますが、実はほぼほぼ手の感覚頼りの治療になります。
また歯の軸が傾いていたりイレギュラーな場所に神経管の入り口がある場合は
歯の変な場所に穴を開けてしまうこともあります。
今回のケースはまさにそれ、
患者さんは60代女性、10年前に根管治療を行った歯
赤丸:手づかずの神経管に根尖病変
黄色丸:歯の側面にパフォレーション
詳しくは:ラッパ状に開いた根尖 - EE DENTAL_Blog
先日仮歯が割れたと来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
口蓋根の根尖病変も綺麗に治ってくれています。
また、長く続いていたぐじゅぐじゅした痛みも無くなったそうです。
神経管の治療は歯科治療の中でもトラブルの出やすい治療なので注意が必要です!
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間違った根管治療で大きな根尖病変(膿)
- 2025年10月11日 09:00
- 歯内療法日記
【お知らせ】
10月12日~10月20日までお休みを頂きます。
留守番電話、メールの対応は21日からとさせて頂きます。
カルテ番号の若い、久しぶりに来院された40代の女性患者さん
抜歯+手術ケースの大きな病変
術前
ウズラの卵ぐらいの大きな病変(黒い部分は炎症で骨が溶けています)
本来の神経管は先端で右側に曲がっているのですが、Hファイルなど先端の削れるファイルで根管治療を行うと、オリジナルの神経管とは間違った場所に穴を開け医原性の問題を作ってしまいます。
旧来の根管充填剤が根の先まで入ればOKという間違った根管治療。。。
根の先をこういった治療をされてしまうと再治療の成功率が40%になるという報告もあります。
*ブログ読んでくれている先生は、抜髄でこんな事しないでください。
経過を見ながら根管治療を行い
MTAセメントにて根管充填
根の先が壊されており、オリジナルの根管は触れませんでした。
根管充填材はMTAを使用
患者さんにはこれで腫れたりして来たら外科的歯内療法が必要になると説明
根管充填後にレジンを詰めて経過観察
術後1年 患者さんは腫れ痛みはなく生活できているとのこと
黒い部分に骨が出来てきてくれています。
OK,OK! 89%治るケースだわ!( ^ ^ )/
術後2年
1年前に比べても骨が出来てきてくれており、これは待てば更に骨出来るだろうと推測し終診とさせていただきました。
(遠方からの患者さんだった為)
先日別件で久しぶりに来院されたので、レントゲンを撮らせてもらいました。
大きな透過像は無くなっています。
小さなな透過像は残っていますが、特別治療は必要ないと思われます。
注目すべきは根の先のMTAの吸収
長期的に見ると、根管内のMTAは吸収しないのですが歯の外に出たMTAは吸収が見られます。
根管治療は歯科治療の中でも手間もかかり、症状も出やすく治療が難しい分野なのですが最新の医学を知っている先生と30年前の治療基準で治療をしている先生では差が出てしまいます。。。
今回のケース
15年経過して歯はこんな変化をするんだなと1つ経験を積ませてもらいました!
ホント長期症例診させてもらうのは、個人的にも非常に学びになります(^。^)
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根管治療 術後12年
- 2025年10月 8日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代男性
治療させてもらった歯のセラミックブリッジが外れたと連絡がありました。
当時のレントゲン
右下6に少し大き目の根尖病変があります。
右下5はコロネクトミー がしてあり、骨の中に根っこが残っています。
(この方法は、骨の厚みを確保する為の方法です)
根管充填
この当時は根充確認でレントゲンを撮っていました。(今はやっていません)
セラミッククラウンが外れたと10年以上ぶりに来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
病変は綺麗に治っています。
セラミックブリッジも綺麗に戻ったので、再Setしました。
ただ、次に外れたら作り直した方がいいとも説明済み
基本的に根管治療をした歯は1年予後まで追いますが、それ以降は問題起こったら来てね!システムなので長期ケースを見ると一安心します(・ ω・)ノ
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女性に多い樋状根の根管治療
- 2025年10月 3日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性の衛生士さん
4年前ぐらいにMTAで直接覆髄をした歯、3カ月前から咬合痛&フィステルが出来膿が出てくる。
とのこと
レントゲン
第二大臼歯に直接覆髄がしてありますが、根の方には大きな透過像(骨が溶けている場所)
第一大臼歯遠心根にもうっすら透過像あり。
今回のケースは珍しくフィステル(膿の出口)が2か所あります。
ということは膿の原因場所が2か所あると推測されます。
第一大臼歯はそんなに問題無いように見えるので、とりあえず第二大臼歯の治療を行うことにしました。
1回目の治療
直接覆髄がMTAでしてありましたが、完全に神経は死んでしまっていました。
虫歯の取り残しなどもなく綺麗な治療がしてあったのですが、このような結果になってしまってます。
直接覆髄法の難しい所なのですが、この方法は年々成功率が下がり大丈夫かな!?と思っても数年後に神経が死んでしまうことがある治療法です。
私も昔はよくMTA直接覆髄はやっていましたが、最近はあまりやること少なくなりました。
ただ、積極的に神経を取ることはせずに「シールドレストレーション」や「AIPC(非侵襲性歯髄覆罩)」などの神経を出さない間接覆髄法を主にしました。
理由は直接覆髄より間接覆髄の方が予後が良い!
結局、患者さんの望むことはなるべく神経を残したいという希望なので、その希望を完遂することに主眼を置きます。
1回目の治療で根管内を徹底的に綺麗にして、
治療2回目 2個あったフィステルも無くなっていたので根管充填+レジンコアまで
根管充填材はガッタパーチャー使用
*基本的に私は根管充填材はMTAが良いとは思っていませんので、ケースを選んでしか使っていません。
ネットで根管充填材はMTAが良いと情報を拾ってくる患者さんもいますが、ネット情報が必ず正しいとは限りませんのでね。
今週1年予後で来院しててもらいました。
レントゲン
綺麗に骨が出来上がってくれています!
また1本前の根尖病変に見えた歯の所見も落ち着いているように見えます。
個人的に経験を積んだ為に、積極的な医療介入は避けるようになりました。
私の持論ですが、「歯の寿命を縮める最大の因子は歯科医師の治療」だと思っているので
長く歯を使う為には、治療介入のタイミングというのは非常に重要だと感じます。
保険治療だからダメ!自費治療で治さないと治らないなどは思いませんね。
先日も「ちょっとこれ酷いな。。。」と思えるインプラント屋さんの自費根管治療を見ましたが、保険か自費選ぶ前に歯科医院(歯科医師)選びが重要だと思いますね(・∀・;)
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歯根破折+パフォレーション
- 2025年9月27日 09:00
- 歯内療法日記
気になっていたので久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
術前
右上2:メタルコアによる歯根破折
左上1:神経管と異なる所を削ったことによるパフォレーション(フィステルあり)
術後
右上2:破折片を抜いてレジンにて立ち上げ
左上1:パフォレーション部をMTAセメントにてリペア
今月撮らせてもらったレントゲン
右上2:は骨頂からレジンで立ち上げましたが、問題は出ていません。
左上1:はMTAセメントが歯の輪郭に沿って割れていますが、今の所異物反応は出ていません。
こういうレントゲンを見ると、歯って咬む力で動いているんだなと改めて覚えさせられます。
患者さんも「先生調子いいよ!」と言ってくれていますので経過観察で行きます。
前歯のパフォレーション、歯科医師って前歯でも殆ど見えてなく感覚で治療しているんだなとこれも改めて思います。
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水酸化カルシュウムを押し出す治療
- 2025年9月26日 09:00
- 歯内療法日記
以前書いた記事ですが、
根管治療の水酸化カルシュームの使い方 - EE DENTAL_Blog
病変を治す為なのか!? 歯の外の病変内に水酸化カルシュウムを押し出す治療
昔は権威のやっている治療が広まってしまう土壌がありましたが、今はエビデンスベースの治療が主となっているのでこういったおっかない治療が流行る土壌は無くなってきています。
ただ、ホント止めた方がいいと思う日本オリジナルの治療で全国中に広まった治療の1つに水酸化カルシュームの押し出し。
先日、治療した歯の調子がわるいという患者さん
ん~、水酸化カルシュウムが歯の外に押し出しているように見えます。
私はこの歯歯根破折だと判断し、抜歯させてもらいましたが。
抜いた歯には根尖病変内に水酸化カルシュウム
国内で販売されている根管貼薬剤の水酸化カルシュウは殆ど油なので
歯の外に押し出しても吸収して骨に変わることはありません。
そもそも論なんですが、根尖病変の原因は細菌感染でその結果として骨の吸収が起こります。
つまり溶けた骨にアプローチしても殆ど意味ありません。。。
先生も患者さんの歯を治そうとアプローチしていると思いますが、
宗教的な非科学的な方法をチョイスしても治る確率は低いと思います。
メーカーの方も歯の外に押し出さないで下さいと、シリンジにもシールが貼られるようになったのですから、水酸化カルシュウ好んで押し出している先生は止めた方がいいと思います。
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穿通が出来ないという主訴
- 2025年9月17日 09:00
- 歯内療法日記
同級生の小児歯科医の紹介患者さん
患者さんは10代男性
検診時に歯の色が変わっており、検査の結果神経が死んでいるということで根管治療をスタートしたが、根の先まで穿通が出来ないとのことで紹介を受けました。
先生によると
2018年 根未完成歯の時に中心結節が折れ冷温水痛が出たので生活歯髄切断を行う
経過良好で来ていたが、
2024年歯冠の変色が見られ感染根管処置を行なうも、根尖までファイルが行かないが根管内からは浸出液が認められる。
難易度が高いと判断した為、専門医での治療を勧める とのこと
レントゲン
根管中央から下がたぶん生活歯髄切断後に出来た部分だと推測されます。
患者さんに治療の説明を行い、1回法で治療を行うことにしました。
歯の中からは石灰化物(石みたいなもの)がコロコロ出てきましたが、穿通は無かった為
徹底的に洗い、開けれた所までをMTA+で根管充填、その後レジンコア+レジン充填
レジン充填後
術後半年、と術後1年で来院してもらい経過を見ましたが、
これであれば外科的歯内療法しなくても済みそうです。
難易度が高いと判断し専門医を紹介してくれるかかりつけの先生は患者さんからしても安心できますね!
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