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歯内療法日記の最近のブログ記事
セラミッククラウンのやり替え前に根管治療
- 2025年6月27日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
全顎検査後に悪い所は治しておきたいとのこと
また前歯のセラミックも入れて時間が経ち歯並びも悪くなってきているのでやり替えたいとのこと
前歯にセラミックが入っていますが、全て根管治療済み
左上1・2に根尖病変が見られます。
患者さんに説明を行い左上1・2だけ根管治療を行うことに
右上1・2は根尖病変も無かった為、メタルコアのまま仮歯を入れさせてもらいました。
経過も良かったのでセラミッククラウンまで入れさせてもらいました。
綺麗に治ってくれています。
セラミッククラウンを長期に安定させるにはまずは根管治療をきちんとした方がいいと思います。
ただ、過去に根管治療した病変の無い歯の治療まで私はやり替える必要はないと考えます。
そこにメタルコアが入っていても、技工士の技術である程度色はカバーできます。
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MB2 Ni-Ti穿通・拡大法
今週末の28日土曜日の診療は15時までとさせて頂きます。
同級生の勉強会で20分程度の発表をするように言われており、週末に動画の編集&スライド作成を行いました。
1週間前になってようやくやり始めた(笑)
内容は MB2 Ni-Ti穿通・拡大法
ここ4年ぐらい前から行っている方法になります。
年配の患者さんの石灰化根管 - EE DENTAL_Blog
細い、MB2などハンドKファイルを通すのは大変です。
最近はMB2はハンドファイルを通さずにNi-Tiでいきなり形成してしまいます。
*ハンドも途中で08Kファイルを少しだけ使います。
今回作った動画は最近やった症例
最初入り口は0.1mmのマイクロオープナーを用いても0.1mmぐらいしか入らず引っ掛かりがあるかな!?ぐらいでした。
こういった極細の神経管はハンドファイルの穿通能力(技術)の優劣で、きちんと治療出来る・出来ないが決まってしまいます。
また技術のある先生が穿通・拡大出来てもかなりの労力と時間が必要となります。
Ni-Tiを用いて行うことで、穿通・拡大操作が10分ぐらいに短縮できます。
今回の同級生の勉強会はクローズドセミナーなので、
9月21日の中部歯内療法学会で許可が出たら「MB2 Ni-Ti穿通・拡大法」の発表もさせてもらおうと思っています。(今回のスライドをブラッシュアップして使い回します。)
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歯科医院3軒でCTまで撮ったが痛みの原因が分からない
- 2025年6月20日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは海外に住む日本人男性
2017年に左上の歯の治療を行わせてもらいました。
先日メールがあり、左下の歯茎が腫れ現地の歯科医院3件に行き、いずれもCTで確認するも異常が分からず、抗生剤の投薬のみ行われた。
抗生剤で一時的には良くなるが、すぐに左下の奥歯の内側が腫れてきてしまう。
虫歯のような痛みはなく、4ヵ月も治らない為根の方が悪いのでないかと疑いメールをしてきたとのこと。
一時帰国するので可能であればEEデンタルで治療を受けたいとのこと
またわざわざ海外から来てもらい、見させてもらうと
左下7の舌側の歯肉が腫れ、膿が出てきている。
まず小さなレントゲンで診察すると
「はい、左下7の外部内部吸収が原因で腫れている」と1秒で判断
いやいや、3件でCTまで撮って何故原因が分からない・・・!?(★。★)
患者さんには歯を残す為には、かなり難しい状態
治療をするようならCT撮って吸収場所を特定してから治療するが・・・
CTを撮ると、腫れている近心舌側の歯肉縁下に外部・内部吸収が見られました。
経験上この部分の吸収は非常に難しい・・・
治療1回目
セラミックアンレーを外して歯を削って行くと、思っていたより吸収が大きく出血が凄く止血ができない
治療の流れとしては、まず吸収部分の穴の大きさを確認して、止血を行いレジンで吸収部分の封鎖をまず行う必要があるのですが、1時間以上やっても止血できず・・・
また部位的にも舌神経があり電メスで止血するのも恐ろしい。。。
患者さんには「すみません、ちょっと保存は難しいかも・・・」と謝り
この日は穴の開いた場所にネオダインを圧接して、圧迫止血するように治療終了
治療2回目
ネオダインの影響か、出血は止まっており何とかレジンで隔壁(穴埋め)が出来る状態に
まさか、穴埋めで都合2時間半も費やすとは思わなかった・・・(文字にすると簡単そうですが、難易度はかなり高かったです)
隔壁後、3本の神経管の治療を行う。
治療3回目
食事の際に油断してしまい咬んでから痛みが続いている、痛み止めを飲まないと寝れないぐらい痛い
抗生剤を処方し中を消毒
治療4回目
前回の治療後から4日ぐらい激痛、腫れは10日ほどで収まった。
歯の中を診ても出血や膿などは見られないので、根管充填+レジンコアまで
綺麗に治療出来たと思います。
この後、この歯の経過をみて行きたいと思います。
いや、診断は1秒でできる初級レベルでしたが、ホント処置は難しかったし色々なことを考え治療する必要がありいい経験が積めました。
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問題無かった歯に根尖病変
- 2025年6月14日 09:00
- 歯内療法日記
今回の患者さんも以前から診察させて頂いている30代女性
適合の良いジルコニアクラウンが入っており、根尖病変もない状態でした。
2023年のレントゲン
2017年にくらべると口蓋根に根尖病変っぽい透過像が出てきました。
*定期的に診させてもらっている患者さんでしたし、今介入の必要はないと判断していました。
先日連絡があり、クラウンが外れたとのこと
レントゲンを撮ると更に透過像が大きくなってきている為に患者さんに根管治療からやり直した方がいいと説明
治療回数は2回
口蓋根にかなり深い場所までファイバーコアが入っていました。
またMB2も隠れた所から出てきました。
とりあえず、仮歯まで入れここから経過観察をしていきたいと思います。
今回MB2はハンドファイルなしでNi-Tiのみで穿通・形成しました。
最近MB2はこの方法で仕上げることが多くなってきています。
ただファイルの疲労が大きな方法になるので、使ったNi-Tiは廃棄になりコストのかかる方法ではありますが、この方法がラクで早い。従来の方法でやる時間の半分ぐらいなので、時間を買いその時間を消毒洗浄に回せ効率よく治療が行えます。
*ハンドファイル使うと、エンド三角が大きなMB2は根管上部にレッジを作りやすいのですが、Ni-Tiを使うことでエンド三角は簡単に削れていまい、早い段階で根管上部のストレートラインが作れます。
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術後17年で起こった根尖病変
- 2025年6月11日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは私が開業してすぐぐらいから診させてもらっている40代の女性(当時は20代)
患歯は左下4、この歯は2008年に私がレジン充填した歯になります。
そこから4~5年おきぐらいに来てもらっており全顎検査で経過を見ていたのですが、
2025年のレントゲンで
根尖病変が見られます。
あれ!?と思い過去のレントゲンでチェック
2020年時は特に問題のあるような所見はありません。
全顎検査をしてもらっていると過去のレントゲンで経過をおえます。
患者さんには神経が死んでしまっている為に根管治療が必要なことを説明し
1回法で根管治療をすることにしました。
2mmぐらい穴を開けさせてもらってこの穴から根管治療
髄角とかの取り残しを防ぐためにはやはりこのぐらいの大きさのアクセスホールは必要になります。
治療時間1時間30分
根管治療+レジンコア+レジン充填
たまに今回のように、勝手に神経が死んできてしまう歯はあります。
個人的には咬合性外傷のような気もしますが、はっきり原因は分かりません。
先に書いたように全顎検査で口の中のレントゲンデーターがあると、過去もふり返られますし急な痛みが出ても再初診で来る前に診断の手助けになります。
今回のケースまた半年後にレントゲンでチェックして行きたいと思います。
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開業当時に抜髄した歯の再根管治療
- 2025年6月 4日 09:00
- 歯内療法日記
こちらの続き
開業して行った根管治療のやり直し - EE DENTAL_Blog
私が2008年に抜髄した歯に根尖病変が出来てしまいました。
14~15年問題無かった歯に根尖病変ができ、今予想できるのは黄色矢印からのコロナルリケージ(細菌進入)
治療回数2回
根管充填+レジンコア+仮歯
経過観察
根尖病変は綺麗に治ってきてくれています。
ここ10年で変えたのは、レジンコアのスタート位置を根管口内からにしたこと
赤線が昔のレジンコアスタート位置、黄色線が今のレジンコアスタート位置
これのメリットは①接着力の向上、②歯頚部付近からのコロナルリケージ対策 になります。
ようやくクラウンまで入りました。
1本の歯でも長期で持たせるには非常に大変です。
自分が思う予後因子は、患者さんの歯磨き能力、夜間の歯ぎしり含めた咬合力
この2つのコントロールをしない限り、人間が治した歯(人工物)などは長期にわたって安定しないと思っています。
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インプラント前に出来る治療
- 2025年5月30日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
2023年にセラミッククラウンを入れ、最近近所の歯科医院へ検診に行った際に
「右上の歯を抜いてインプラントにする必要がある」と説明を受けた。
現在痛みがある時、無い時がある、歯の奥の方が痛い感じ、1月ぐらいに歯茎にフィステルができ今もある。
レントゲン
近心頬側根(MB)と口蓋根(P)に根尖病変が見られます。
CTを撮ったのですが、口蓋根の根尖病変は上顎洞に接しているのは分かるのですが、病変の大きさがはっきりしません。ただ病変はあります。
セラミックアンレーが入っていますが、適合は良い為3mmの穴を開け根管治療をすることに
治療1回目
人工物を全て除去、MB2が出てくる。
過去の治療で口蓋根の根尖はかなり削られていました。
根の先はあまり闇雲に削らない方がいいと思うんですが・・・
根尖を削れば治る、貼薬剤を入れれば治るという間違った理解 - EE DENTAL_Blog
治療2回目
腫れ痛みはなく、フィステルも無くなった。とのこと
口蓋根と近心頬側根にはMTAを使用
口蓋根はガッタパーチャーとMTAが出てしまっていますが、
出さないように治療しても、入口1つ出口も大きな状態なのでどうしても人工物が外に出てしまいます。
今回のセラミックアンレー適合が良かったのと、中の治療もきちんとやってあるように見えたので
セラミックは外さず3mmの穴から治療を行い、その部分はレジンで蓋を作りました。
この後経過観察を行っていきます。
何とか病変治ってくれるといいのですが(・ω・;)
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歯を長く残したい患者さんへ「土台除去はリスク:大」
- 2025年5月23日 09:00
- 歯内療法日記
何度か書いていますが、個人的には
歯の治療で歯の寿命を縮めてしまう最大の因子は【歯科医師の治療】
「えっ、治す為に治療しているんじゃないの!?」
と思われますが、違います。
歯の治療=歯の寿命を短くする になります。
虫歯の進行と言うのは個人差がありますが、歳を取れば取るほどゆっくりになります。
しかし、歯科医師の治療というのは虫歯が数年かけて進む距離を2~3秒程度で削ってしまいます。
特に歯を大きく削るのは根管治療後に入れた土台を除去する際
患者さんの中には、歯科医師が入れたものなんだからレゴブロックのように簡単に外れるようなイメージを持たれている方もいますが、外れないように入れた物ですから、外すのは全て削って壊しながら除去します。
全て顕微鏡下でチマチマ治療している先生なら、どこからが人工物でどこからが天然歯の見分けは付きやすいですが、それでも微妙に健康な歯は削ってしまいます。
*たまにいるのですが、顕微鏡治療を受ければ健康な歯は削らない的なことをいう方いますが、「それは無理だって! アロンアルファーでくっ付けたもの綺麗に外せますか!?」(笑)
今回のケース
50代女性
歯周病健診で行った歯科医院で「根に膿がたまっている、今すぐ治療した方がよい」と言われ説明もないまま治療が始まり、クラウンとコアを外したら「抜くしかない」と宣告されショックを受けた。
全く症状も無かった歯だけに。。。
抜歯宣告をされて2か月後にEEデンタルへ
レントゲン
土台は外しているようなのですが、近遠心根に根尖病変+根分岐部にパフォレーションの疑い
ん~、経験上大きな痛みや腫れがない限りそんなに急いで治療する必要などはないと思うのですが・・・
根尖病変(膿)は慢性疾患であり、糖尿病や高血圧と同じように日に日に微妙に悪くなる病気です。
患者さんに残す方向で治療してみるか!?と話
治療スタート
治療1回目
パフォレーションが2か所あり、その部分の補修
裸眼で奥歯の土台を外すとこのリスクはかなり大きくなります。
*保険診療では仕方がないと思います、窓口負担200円程度でやる処置なのであまり時間はさけれません。(ホント治療費設定誤り過ぎだって!)
1本100万円の価値があるという歯を200円で治すって、ちょっと意味不明(100万円の軽自動車を200円で何直せますか!?と同じ)
治療2回目
腫れや痛みなどの症状もないことより根管充填+レジンコア+仮歯まで
ここから経過観察をして行きます。
術後1年
根尖病変は小さくなってきてくれていますが、根分木部の骨はあまり回復していません。
患者さんも仮歯で普通に生活出来ているとのことで、仮歯でもうしばらく様子をみることに
術後2年
根尖の透過像は小さくなったように見えますが、根分岐部の骨はあまり出来ていません。。。
経験上、根分岐部付近のパフォレーションは治すのが難しいです。
ただ、これって患者さんの不摂生で作ってしまった病気ではなく、治療で削り過ぎたことによる医原性の問題です。
今回のケース、問題無く2年使えており先日仮歯が割れてきてしまったので、そろそろ本歯に入れ替えをしようと思います。
日本の医療システムは優秀だと思いますが、歯科に関して言えば安過ぎの為に起ってしまう問題でもあります。
物事には適正価格があると思うんですけどね。。。(>。<)
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根尖病変は切開では治りません。
- 2025年5月20日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療を専門でやっていると初診の患者さんでたまにいるのが、
腫れて近医に行った際に切開を行って治療をしたのに治らないというケース
基本的に根尖病変由来で腫れた場合は、切開をしても治りません。
腫れて膿んだ原因は歯の中の細菌感染であり、歯の中の細菌除去を行わないと何度も腫れを繰り返します。
つまり、「切開」は膿がかなり溜った際に膿を外に出し減圧を行い痛みを多少和らげるぐらいの応急処置の1つです。
では、なぜ原因除去である根管治療をせずに切開で済ませるのか!?
こういったケースの多くは、長いポストが入ったコアが入っており、根管治療がしにくい場合が多いです。
今回の患者さん
40代男性 7~8年前から痛みがあり近医で切開治療を行った際に膿んで骨が溶けていると言われた。
レントゲン
大きな根尖病変が見られ、案の定長いメタルポストが入っています。
ただ、歯根端切除などは行っておらず根尖は破壊されていません。
*たまに患者さんは切開と表現されても「歯根端切除術」という外科処置がされている場合があり、この場合の予後は悪いです。
患者さんに一通り説明して、まずは根管治療でトライしましょうとなりました。
長いメタルポストですが、このぐらいの長さであれば歯内療法専門医であれば問題無く除去可能です。
治療は2回法で行いました。
この歯神経管は2本でしたが1本しか治療しておらず、手づかずの神経管はドロドロに汚れていました。
歯の中からも細菌が作る独特の臭いが部屋に充満します。(綺麗にすれば臭いは殆ど取れますが、患者さんは自分の歯の臭いでビックリする人もいます。)
術後痛みも腫れもなく経過しており
レントゲンでもだいぶ病変は小さくなってくれています。
かかりつけでクラウンを入れてもらう予定で治療終了となりました。
今回のケースは手づかずの神経管に細菌感染が起こり、結果膿んできたと推測されます。
つまり切開をしても原因の除去を行っていないので、何度も腫れたり痛んだりを繰り返します。
今回のケース、先日電話があり
「先生に作ってもらった仮歯が割れた&隣の銀歯も取れた」
と連絡があり5年ぶりに来院してもらうと
根尖病変は綺麗に治ってくれていました。
仮歯が6年も持ったのは初ではないでしょうか(笑)
患者さんに「本歯は先生やって!」と言われたので6年越しにセラミッククラウンを入れることになりました。
仮歯は入れてから1~2年後には本歯にしてくださいね( ・ω・ ;)
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根尖を削れば治る、貼薬剤を入れれば治るという間違った理解
- 2025年5月16日 09:00
- 歯内療法日記
最近は減りつつありますが、たまにあるケースです。
これやっている先生、やられている患者さんがおられましたら歯内療法専門医に早目に相談された方がいいと思います。
私が大学生だった頃、教えられたのは根管治療は削れ、削れとよくライター(指導医)に言われ、
抜去歯での練習でもライターチェックを受けると
「後、3号上まで拡大してきて」(後、歯の中を1.5mm太くして)
学生なので、『はい』というだけで指示に従っていました。
前歯なんか、今の自分では【おいおいもう削るの止めておけ!】ぐらい太くしていました。
仕方がないんですが、トレンドなんですよね。
今の根管治療は次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液で細菌数を減らす方向になっています。
削る作業は必要最小限に留めるのが今のトレンドで、昔のように大きく・太く削るのは過去の考え方です。
今回のケース
患者さんは50代女性
急に左上1に痛みが出てしまい、歯科医院に行くと神経の治療が必要とのことで根管治療スタート
術前時特に大きな虫歯などは無かった。
最初の歯科医院で7ヵ月ぐらい根管治療を続けるも治らず、転院
また転院先で根管治療を続けるも痛みが取れない、都合30回ぐらい根管治療を続けている状態で
大学病院に行くも「消毒しかない」と言われ、EEデンタルへ
現在は治療中の左上1より右上1・2の方が気になる。治療中の左上1はたまにズキズキする程度
過去に1度だけ腫れたことがある。
レントゲン
右上のピンクの神経管に対して4倍近く太く削られており、あまり触らない方がよい根の先もだいぶ削られ、根尖破壊が見られます。
ただし、根尖病変は見られません。(30回も根管治療していればこうなってしまいます)
経験則で、これは「削り過ぎ」だなと判断しました。
また抜髄スタートから8ヵ月も根尖を突かれていると思われるので、患者さんには
「経験則で話すと、たぶん痛みはすぐには取れないと思います。 痛みが取れるパターンは2~3ヵ月ぐらいして、痛みの頻度・大きさが減り、半年後ぐらいに『あれ!?最近いたみないな!?』みたいな感じで治るパターンがありますが、多少の違和感程度のものは残ることもあります」
と説明(こういうパターンは毎回同じ話します。)
治療1回目
仮蓋を除去してみると、ペリオドンの臭い。。。
「えっ、そっちのパターン!?」
レントゲンから削り過ぎで痛みが出ていたパターンだと思っていたら、どうやら複合因子でペリオドンを貼薬して痛みを長期化させているよう・・・
歯の神経治療は要注意!特に女性!! - EE DENTAL_Blog
またこれだけ太く削っている割には、入口付近の髄角の歯髄は取り残していました。。。
歯の先の方の根尖は、唇側方向にトランスポーテーションを起こしており、本来のオリジナルの根尖が口蓋側にありました。(鏡餅のような形)
つまり太く削っていても問題無い部分をゴリゴリ削って傷口を広げているだけ。
見えている人間からすれば、やっちゃダメ!と分かるのですが、見えていない先生は更に削って治そうとします。(ステンレスファイルの特性で太いファイルほど根管を直線化させます)
削る必要ないぐらい太く削られているので、この日は消毒液で徹底的に洗って無貼薬で終了。
1回目の治療で分かったのは医原性の問題がたくさん作られている・・・(>。<)
(先生も治そうと頑張ってくれたのだとは思いますが)
1か月後の治療2回目 インタビューのみ
治療後から腫れて来た感じがあり、歯に物が当たると痛い。
痛み止めを飲むほどは痛くなかった。
レントゲン
特に所見に変化なし
更に1か月後の治療3回目
腫れ感、痛みはあるとのこと
歯の中をもう一度洗浄(根管内は削らない)
更に1か月後の治療4回目
腫れ感は無くなり、痛みもほぼないぐらいに落ち着いている
ということでMTA+で根管充填+レジンコア+レジン充填
根管充填後3ヵ月
歯に物が当たると痛い、普通の時は痛くない
患者さんには痛みが減っている傾向にあるので、待てば痛みも治まる可能性が高いことを説明
ここから諸事情で来院が途絶え経過が追えていませんでしたが、
久しぶりに来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
治療後2年4ヵ月
特に問題はありません。
症状も根管充填後6ヵ月後ぐらいから全く無くなり、今も痛みは出ていないそう。
*たまたま、最初に説明させてもらったパターン通りでした。
OK,OK、おおよそのパターンに乗っており治ってくれたようです。
これって、不適切な根管治療により患者さんに植え付けられる医原性の痛みです。
結果から言えば、今回のケース触り過ぎ&ペリオドンの不適切な使い方が原因になっています。
GPの先生も大学時代に教えられたことがメインだと思います。
ただ、その治療というのは30年以上前のやり方であることが多く、今の治し方ではありません。
全ての歯科医師が全分野のトレンドを追う必要はないと思いますが、3ヵ月やっても改善しないようなケースは闇雲治療しても症状を悪化させるだけなので、3ヵ月やって収まらないケースはなるべく専門の医療機関を紹介してください。
また患者さんも、ある程度の所でその歯科医院に見切りを付けた方がいいケースもあると知ってもらった方がいいと思います。
転院は患者さんの権利ですし、歯科医師に気を使って痛みに耐え、歯を失う必要はありません。
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