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歯内療法日記の最近のブログ記事
外科的歯内療法で治ったケース
- 2025年3月21日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性 昔から来院して頂いている患者さん
先日他の歯の件で来院してもらった際に
過去に外科的歯内療法を行い、術後の経過を追えていなかった第一大臼歯(6番)のレントゲンを撮らせてもらいました。
この歯は
2009年に根管治療をした歯でしたが、2017年に腫れてきてしまい、
レントゲンでは病変が大きく広がっており、。歯根破折のような所見もありました。
外科的歯内療法で保存治療を行いました。
そこから経過が追えていませんでしたが、先日来院された際にレントゲンを撮らせてもらいました。
綺麗に骨も出来上がってくれており、患者さんも何の症状もなく生活出来ているとのこと
一応、根管治療した歯、外科的歯内療法をした歯に関しては、半年後と1年後にレントゲン診察しますので来てくださいね!
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海外の患者さんからすると治療費安い!?
- 2025年3月19日 09:00
- 歯内療法日記
EEデンタル自費治療専門で保険診療に比べ治療費はざっくり10~15倍の費用を設定です。
患者さんからすると、
「高っ! 何でこんなに治療費違うの!?」
と思われると思います。
詳しくはこちらを:自費診療専門の理由と開業の経緯アーカイブ - EE DENTAL_Blog
最近、私は一人の治療時間は虫歯1本:1時間半~2時間の時間を頂きます。(咬合面などは1時間の場合もあります)
保険診療だと1時間で4~5人の患者さんを診ます(流行っている歯科医院だと6名ぐらい)
2時間診療を行うと8人前後の患者さんとなります、またその中で自費治療を受けられる方もいると思います、そうすると売り上げは保険治療を主体としている方が大きくなります。
つまり8人診れるところを1人に集中するので、8~10人分の費用をもらわないと同じ売り上げを上げれません。
また保険診療のように3割負担ではないので、ますます高く感じると思います。
ただ、最近開業以来4回目の言葉を言われました。
その言葉とは、「先生の歯科医院は治療費安目ですよね」
1回目は歯科医師の先生(顕微鏡歯科学会の飲み会で)
2回目は海外の患者さん
3回目も歯科医師の患者さん
今回も海外の患者さん
海外、特に医療費の高いオーストラリア、アメリカに比べると日本の自費治療費は安いですよね。
個人的には海外で受ける治療より上のクオリティー出していると思いますが(笑)
以前、講演を聞いた時も 一流処の先生の治療費は根管治療1本30万以上
クラウンまで一流の専門医にかかると1本70万ぐらいするのではないでしょうか。
*保険診療なら3割負担で2万円以下で治療出来ます。
ホント、最近海外にお住いの日本人患者さんを診る機会が増えてきています。
今年だけでも、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、台湾、ベトナム、
知ってます!?ベトナムの治療費って日本の保険治療より高いんですよ!
20年までは考えられなかったです。
飛行機代を払って日本で治療を受けたい患者さん層がこんなにいるとは思いもよりませんでした。
今回の患者さんも30代女性 ドイツで右下奥歯に虫歯があり治療が必要と言われ、
EEデンタルの患者さんのお母さんからの紹介で診させてもらいました。
問題は虫歯の位置・・・
歯茎の中で、凄い難しい場所に出来てしまっています。
不思議なのがこういった大きな虫歯が急に出来るのは最後大臼歯が凄く多いんですよね。
たぶん、咬む力も関係していると思うのですが、一番奥の歯はトラブルを起こしやすいです。
先日も患者さんでおられたのですが、こういうケース①抜歯→インプラント、もしくは
②矯正治療+歯肉弁根尖側移動術+虫歯治療+クラウン(オール自費) と先生に言われ
「何とかなりませんか!?」と来院されましたが、
個人的には縁下から顕微鏡下でレジンで立ち上げた方が、時間もお金もかからずに予後の良い方法だと思っています。
歯茎の中まで削り過ぎたインレーで歯肉弁根尖側移動術!? - EE DENTAL_Blog
今回のケースも患者さんの帰国のタイムリミットがあるので、①、②の方法は取っていられません。
ですので、患者さんには今後毎日歯間ブラシは通してもらうことを条件に、縁下からレジンで立ち上げ外科なしに治療を行いました。
しばらく仮歯で様子を見て、痛みや腫れのないことを確認して
ゴールドクラウンを入れさせてもらいました。
個人的には第2大臼歯のクラウンはゴールドクラウンが最も予後が良いです。
正直、最近色々な新しい材料が出てきていますが、やはり歴史ある材料は歯科では最も信頼性が高いです。
歯科材料はホント色々な材料が出ますが、一時はブームのように使われその後問題が分かり無くなる材料が多いです。つまり「最新の材料=信頼性が低い」と言えます。
一応、海外からの患者さん向けに
目安として、C2(神経を取らない)なら2週間ぐらい日本に滞在できる方
根管治療が必要な方は最低1ヵ月ぐらい日本に滞在できる方(仮歯まで、本歯希望は+1ヵ月)
*問題があればフォローできる時間込みです。
参考にしてください。
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見つからない神経管と綿栓根充
- 2025年3月14日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性
近医の先生から根管が見つからないと紹介されました。
正直、こういった案件で紹介してくれる先生は凄い患者さん思いだと思います。
分からず頑張り過ぎてしまってパフォレーション・・・、患者さんに告知なしで蓋だけして終了しているケースはちょくちょくあります。
患者さんの話を聞くと、
過去に神経の治療をしていた歯、固いものを咬んだ拍子に歯がバキッと折れてしまった。
前々からぐらつく感じはあったとのこと
レントゲン
折れてしまった為か歯茎の上に健康な歯はなく、先生が仮歯を入れてくれていました。。
小さなレントゲンでは神経管は映っていません。
*神経管が映らない=神経管が細い、もしくは無くなった
ただ、CTを撮るとうっすら神経管が!?
矢状断で見ると、神経管も少し唇側側にありそうです。
ただ、水平断で見ると、
どの面で見てもかすかにあるか!?という感じ
仮詰めのレジンを全て削り取り、根管を探すも
「ん~、よく分からない・・・」
CTと睨めっこを行い、歯の中心から唇側を怖がりながら攻めると
何か人工物を見つける、なんだこれ!?と除去してみると
もの凄い細い綿栓(綿)が出てくる。(こういう綿栓って歯に張り付いていることが多いので取るのが大変、今回はNi-Tiファイルに巻き付かせ除去しました)
綿栓が出てきたということはこれがオリジナルの神経管!?
歯の位置的に中心よりかなり唇側にあり、パフォレーションではないことを祈りつつ治療を進める
穴が2つありますが、上がオリジナルの神経管、下がフェイクの神経管
*このケースはラバーなしで治療を行いました。
前歯の深い場所の捜索は、ラバーすると周りの歯の軸が分からず変な場所を削り過ぎる傾向があるので、私はこういったケースはラバーなしで治療を行う事があります。
ラバーダム絶対信者ではないので(笑)
術後レントゲン
過去の治療でガッタパーチャーを使っていればレントゲンにもヒントが現れもっと治療がスムーズに行ったと思うのですが、歯の中に入っている綿はレントゲンに写らない為、非常に難しい診断&治療となってしまいました。
治療後にCTを見直していると、
なるほど、この白い点が綿栓で根管に蓋をしていたのか!と分かりました。
*今回の綿栓もの凄く細かったので、裸眼ではまず見つけれないレベルでした。
大昔は、神経治療後に綿を詰めていた時代もありますが、ここ最近では珍しいケースでした。
自分の頭の中にも綿栓根充という考えは無かったので、こういうケースもあるのかと良い経験が積めました( >ω<)b
この後、患者さんには仮歯で1~2ヵ月生活してもらい、症状が出なければかかりつけの先生にクラウンを作ってもらいます。
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治らない歯の見極め
- 2025年3月 6日 09:00
- 歯内療法日記
自費専門で歯内療法専門医をしていると、残すには凄く難しい歯が多いのです。
ただ、来院してくれる患者さんの希望は何とか残したいという希望をどう叶えるか!?
一応歯内療法専門医ですが、
顕微鏡下における虫歯治療、特にレジンも同じぐらい専門です。
言い方を変えると、
「歯を長く残すにはどうすればいいのか!?」が専門です。
患者さんは50代女性
腫れてきてしまい近くの歯科医院に行くと
以前の根の治療に問題があり膿が溜っていると言われた。
とのこと
レントゲンを撮ると・・・
左上6には、根尖病変が見られるのですが、頬側2根は手づかず。
また口蓋根も上顎洞に入り込むオーバー根充。
左上5は大きくパフォレーション。。。
保険診療は何処でも同じ治療が受けられるという建前ですが、そこはやっぱり差は出ますよ。
特に歯科治療はかかった先生の腕が結果に直結するものです。
今回のケース、左上6近心根は保存不可能と判断しました。
理由は支える骨がないから、私が抜歯と判断するのは、
①歯が折れている
②歯を支えている骨がなく、グラグラする
この2つは残念ながら抜歯した方がいいと説明します。
今回のケースは患者さんの年齢でまだ抜きたくはないということで、根管治療をして近心頬側根だけ分割抜歯(トライセクション)を計画
根管治療後(抜く予定の頬側近心根は根管充填せず)
近心頬側根を分割抜歯
抜いた歯を観察すると、たぶん根尖病変がかなり長期的にあったのでしょうね根尖(根の先)に歯石が見られます。
*根尖に歯石が付くのは稀です。(だいぶ前から何らかの治療が必要で、治療の時期が遅すぎることを意味します。 患者さんが悪い訳ではなく病態を指摘をしない歯科医師が悪い)
根の先端に歯石が付いているということは、根尖口外感染を起こしており(歯の中の細菌が歯の外まで感染している)一般的な根管治療では治らないことを意味しています。
こういったケースは頑張って何度も何度も、1年治療しても治ることはありません。
抜いた後の結果論ですが、見立ては合っていたとなります。
次は、左上5 どう治すのが歯を残せるか!?(>。<)
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神経を取った歯のレジンアンレー(11年予後)
11年前に治療させて頂いた患者さんが来院されたので見させてもらいました。
2013年
奥から2本目の歯に痛みがでてしまい、神経を取る治療を行い
この当時私のレジン熱が高かった為かレジン充填をおこないました(笑)
第2大臼歯もレジンアンレーを行いました。
2025年 右上7が咬むと違和感があるとのことで見させてもらうと
レントゲン
特に根尖病変もないですし、電気歯髄診断でも問題無かったのですが、
咬み合わせのチェックを行うと、咬合紙の当りが強かった為
たぶん咬合性外傷だろうなと推測し、咬み合わせの調整だけ行わさせて頂きました。
術後11年経過していますが、レジンも問題無さそうです。
個人的な経験則ですが、直接法で詰めるレジンって結構強いんですよね。
レジンアンレーが詰めれなかった時代、間接法でハイブリットアンレーを作っていましたが、
間接法のアンレーはよく割れるしレジンの擦れが激しい!
正直、11年前の治療を見ると攻めた治療していたなと思います(笑)
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「根管治療する・しない」 餅屋の判断
- 2025年2月25日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
開業して1年後の2008年に私が治療させてもらった左上5
16年近く全く問題なかったが、1ヵ月ちょっと前かにうずく感じが出てきた為
近医の歯科医院にかかると根管治療が必要と言われ、治療をスタートした状態
レントゲンを撮らせてもらうと
2008年時私が治療させて頂いた歯
根尖病変があり、前医が折った破折ファイルがこの時取れなくて、
なおかつ前医が根尖とは違う場所にパフォーレーションを起こしてしまいそこを治療した歯です。
ただ、昔あった根尖病変は2024年の再初診時には根尖病変は見えません。
患者さんにも腫れなどは出たか聞きましたが、一切出ていない。
ん~~~、何でこの歯を触ったのか・・・!?
ファイルが折れているから!?
何度も書いていますが、ファイルは膿や痛みの原因にはなりません!
⇒ ファイルが原因であれば16年も痛みがないのはおかしい。
ただ根管治療初めてしまっているので、引き続き治療を行うことに
まず歯の中には歯周病の治療で使うペリオクリーンのような抗生剤が入っており、治療された先生も色々試行錯誤はしてくれていたようです。
治療1回目
16年前に取れなかった「破折ファイル」寺内先生の破折ファイルセミナーなど行き、取り方が分かってきているので、
16年前に1時間近くやっても取れなかったものがものの10分以内で除去完了!
約2.5mmの破折ファイル
*ファイルを折ってしまうのは歯内療法専門医でも起してしまうもので偶発症の1つです。
治療2回目
腫れや痛みの無いことより根管充填+レジンコア+仮歯
術後6か月検診
あれからは腫れや痛みは出ていないそうです。
レントゲン所見も悪い感じはありません。
個人的には今回の痛みは歯ぎしりや噛みしめの可能性があったと考えます。
基本的に私は抗生剤にはあまり頼りたくないのですが、このケースに関しては歯を触るより一度抗生剤で様子見がベターだったのではないかなと考えます。
痛みや腫れなどは原因があり、その原因をまず推測しそれに対し適切な処置を行うことで治癒を迎えられます。
痛みの原因はさまざまです、根管治療した歯などは古傷が痛むような痛み方をする場合もたまにあります。
昔から「餅は餅屋」というように歯科も原因が分かりずらい難しいケースはたまにあります。
治療を行うことがいいのか!?は自分で言うのも何ですが専門でやっている人間の方が経験値や知識があるので診断は長けていると感じます。
歯の治療は同じ歯を何度も治療出来ません。
治療の度に自分の歯は削られ歯の寿命は短くなります。
ただ、前医の先生は先生で考えがあり患者さんの痛みを取ってあげたいと思い治療したとは思います。
これはかかった歯科医院で差がでてしまうよい一例かもしれません。
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あまりやらない意図的再植術
- 2025年2月21日 09:00
- 歯内療法日記
基本的に私は殆ど抜歯しません。
根管治療後に破折線があっても患者さんがインプラントを希望する場合などはインプラントを行う先生が抜いて骨の状態や、ソケットプリザベーションなど骨の処置をしてもらった方がいいから、すぐは抜きません。
*患者さんの気持ちも整理もありますしね。
今回のケースは昔から来院してもらっている50代女性患者さん
右下の奥歯から膿が出てくる、痛くなったり落ち着いたりの繰り返し
レントゲンを撮ると、第2大臼歯に根尖病変が見られます。
神経の方も痛みに対して抵抗しているようで石灰化が著しい(神経管が細くなり隠れてしまう)
患者さんには残す方向でトライしてみるかと提案
3.5mmの穴を開けけてそこから根管治療
3回ほど根管治療をおこないましたが、近心根は完全に石灰化してしまい分からず。。。
いつもお決まりの、開けれる所まで開けて後は消毒液で徹底的に洗う
樋状根でしたが、近心根は入れれる所までガッタパーチャーを入れました。
*第一大臼歯と同じようにレジン充填で
これで経過を見て行くことに
根の先まで掃除出来なくても治ってくれる時は治ってくれます。
根管治療は歯の先まで掃除出来ないと治らない!? - EE DENTAL_Blog
経過観察を行いますが、根尖病変は消えていません。。。
その後、また膿が出てきたと連絡をもらい、
患者さんに抜歯前に意図的再植術を行うか!?と提案
*第2大臼歯は外科的歯内療法が位置的に難しい為、一度抜いて根の先を処理して元に戻す方法になります。
ただし、意図的再植術は抜いている最中に折れたり、ヒビが入ると抜歯となります。
普段殆ど抜歯はしないので、折れないように慎重に抜歯
抜いた歯の先をカットしてMTAを充填
基本的にこの術式は抜いてから15分以内に元に戻さないといけませんので、時間との勝負!
と言ってもできるだけ生理食塩水をかけながら処置しているので、歯根膜を乾燥させることはありません。
外科は上手く行ったと思ったのですが、1週間後に来院して頂くと頬側にフィステル・・・
手技的には手ごたえあったんだけど、ダメだったかな!?と少し落ち込む。。。
患者さんにはとりあえず抗生剤を3日飲んでもらう。
再植7か月後レントゲン
あれから2週間で痛みも治まり膿も出ていない。とのこと
このまま様子を見て行くことにしました。
久しぶりに患者さんが来院されたので話を聞くと
あれからは膿などはでてきていない、多少気になる時もあるが普通に使えている
レントゲンでも悪い感じはないですし、
患者さんは症状なく使えているとのことで、このまま使ってもらうこととなりました。
基本的に治療後膿が出るような場合は失敗と判断することが私の中の1つの基準ですが、
今回のケースは何で手術後に膿んできて、その後5年も問題無く経過しているんだろう!?と疑問にも思える1ケースでした。
意図的再植術、普段抜歯はしないのでホント抜くのにヒヤヒヤします(笑)
*勤務医の頃は親知らずの埋伏抜歯までやっていたので、抜くことはできます。(@@;)
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根管治療は歯の先まで掃除出来ないと治らない!?
- 2025年2月12日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
かかりつけの歯科医院でCTを撮った所根尖病変が見つかった。
話を聞くと小学生の頃に神経を取った歯で今まで症状は出たことがないとのこと
レントゲン
副鼻腔を上に押し上げるよな形で根尖病変が見られます。
ただ・・・
小学生時代の神経がかなり太い時だったのにも関わらず、殆ど根管治療していない・・・
口蓋根の上だけ太く削った痕
こういう根管治療って多いですけど、患者さんはきちんとやってくれていると思ってしまいますよね。
根管治療は非常に手間がかかるので、手を抜きたい気持ちも分からなくなないですが・・・
こういう根管治療する先生に限ってインプラント押しの先生が多いイメージがあります。
一度人工物を全部外し、オリジナルの根管を探すものの根管は石灰化しており根の先まで分からない。
ここからどうするか!?
①、削れる道具で根の先まで道を作り根の先端まで消毒をする
②、オリジナルの根管が分からないので、分かる部分まで消毒する
熱量の高い先生は①を選択しますが、私は②を選択
何故か!? 細菌感染があると推測されるのは元々あった神経管部分
根の先まで人工的に穴を開けても、その部分が感染している訳ではない、むしろ根の先に出口を人工的に作りパフォレーションを作ってしまう(医原性の問題を作る)
レントゲン上でガッタパーチャーがきちんと入っているような画像が欲しければ①をやってもいいですが、成功率の観点からいえば下げている可能性もあります。
根の先までゴリゴリ削らなくても6割ぐらいは治ってくれますし、それでダメなら外科的歯内療法
①の術式で根尖付近にパフォレーションを作ると、外科的歯内療法の際にそこの処置もしないといけなくなるので、削る量が増え、ステップが多くなり術式が煩雑になります。
因みにオリジナルの根の先まで掃除出来ても成功率は8割程度です。
追える所まできちんと治療して、
土台と仮歯を入れて待ちます。
*口蓋根は過去の治療で極太でしたのでMTAをチョイス、MB,DBはガッタパーチャー使用
治療後6ヵ月
根尖病変は治ってきてくれており、副鼻腔の白い線も下がってきてくれています。
半年でこれだけ骨出来てくれていればクラウンを入れて大丈夫でしょう!
以前、私の好きな松〇先生の講演を聞かせてもらった際に〇浦先生もオリジナルの根管が無ければ、
「ラッキー、作業長はここまでね!」とすぐに割り切っているみたいです。
歯内療法専門医で外科的歯内療法が出来るからなんでしょうけど、
先に書いた①の工程は無駄な作業であって治療にはなっていない可能性が高いです。
楽して、リスクが低くなり、成功率もそこそこあるのであればそちらの方が良くないですか!?( ・д・)つ
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歯科医師の先生の治療
- 2025年2月 8日 09:00
- 歯内療法日記
勤務医時代の問診表の項目の1つに職業欄があり、開業当時は勤務医時代のノウハウを参考にしていたので問診表にも「職業欄」がありました。
職業を知っておくとそこから話が広がったり、患者さんのステータスを知ることも出来することも出来色々歯科医院経営にとっては好都合でした。
ただ、無記入の方もおられ書くの嫌なんだろうなと薄々は気づいていましたので、10年前ぐらいに問診表にはこの項目はいらないな、むしろ、もっと患者さんに聞くべきことがあるなと思い、問診表のそこの場所は「当院までの交通手段(車・電車・その他)」に替えました。
これを見て車の方なら駐車券を渡したり、電車の方だと電車の遅延の恐れがあるなど把握しています。
ですから、患者さんがどういった職業科は分からず治療をする訳ですが、たまにあるのが治療が終わった後に同業者と分かるパターン(笑)
保険診療をしていれば、保険証からある程度の職業は知ることもできるのですが自費診療専門の為に保険証を見ることもありません。
*最初だけ本人確認の為に身分証明書を見せてもらいます。(免許証でもパスポートでも本人が確認出来れば何でもOKです)
患者さんは30代女性
2020年ぐらいにMTAで直接覆髄を行ったが、3ヵ月前から咬合痛とフィステルが出来てきた。
歯の保存を行いたい。
レントゲン
神経がしんでしまい、根分岐部まで広がる根尖病変が見られます。
ただ、この歯膿の出口が頬側、舌側に見られ何か嫌な予感・・・
*通常、根尖病変1つに対して膿の出口は1つ形成されます、2つ膿の出口があるということは2つ原因があると推測します。
1回目の治療で髄腔開口
女性に多い樋状根で覆髄をした為か凄く石灰化物が多い。
またエンド三角も発達しており、その当たりを顕微鏡下で処理
「く」の字の部分をストレートに修正
*顕微鏡下で必要最小限の切削でも樋状根の必要性最小限はこんな感じ
治療2回目
不安であった2個のフィステルチェック
幸い2つとも膿の出口は無くなっており、1回目の治療である程度感染が取れたと判断
治療3回目 根管充填+レジンコア
ガッタパーチャーを使用
*近心根と遠心根はイスムスで繋がっていたのですが、MTAよりガッタパーチャーの方を選択
ここまで治療した後に同業の患者さんと知りました(笑)
歯科医師であろうと、一般の方であろうと対応や治療は変わることはないのでいいのですが、
歯科医師と知っていれば、専門用語を会話の中で使います。
術後4ヵ月のレントゲン検診
凄っ! だいぶ骨が回復してくれています。
第一大臼歯も多少の透過像ありますが、このまま経過することも多いので
先生にはこのまま様子をみて、症状出た時に介入しましょうと説明
この状態であれば勤務先の歯科医院で補綴してもらって大丈夫でしょう(・∀・)∩
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メタルコアが除去できない奥歯の根管治療
- 2025年2月 5日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性
10年以上前に神経を取った第2大臼歯
膿んでいて根管治療が必要であるが、かかりつけの先生はメタルコアが除去できないということで現在仮歯の状態
何とか歯の保存を行いたい。
レントゲン
大きな金属の土台が入っており、近心頬側根には大きな根尖病変があり副鼻腔を上に上げています。
この状態が長く続くと、歯が原因の副鼻腔炎になることもあります。
かかりつけの先生は自分がメタルコアを外すのはリスクが高いと、客観的な技術評価が出来ている先生だなと思います。
出来ないのに頑張ってしまうと先日のような
こんなことも起こりえます。
歯科の不思議な所で、来院された患者さんの治療は出来ようが出来まいが全て担当してしまう先生がおり、「頑張ったですけどダメでした」みたいない昭和感覚の先生もおられます。
個人的にはもうそういう時代じゃないと思うんですが・・・
特に根管治療は歯科治療の中でも細かく繊細な、治療で0.1mm以下の肌感覚が必要です。
歯科医師のライセンスを取った人間全てが、0.1mm以下の単位の感覚を持っている訳ではありません。
*あんまりこういう事言うと敵ばかり作るのでこの辺で・・・
治療1回目に人工物(メタルコア、セメント、ガッタパーチャー)を除去すると近心頬側根はかなり太く削られており根尖からは排膿が見られました。
また膿んでいる近心頬側根はオリジナルの根尖口とは違う所が削られており、根尖にはパフォレーションが見られます。
*Hファイルなどごりごり強引に削る道具を使うとこうなります。
空にして徹底的に洗浄
メチャ太く削られていたのでMTAで根管充填
仮歯を入れるスペースがないので土台で咬めるようにして経過観察
術後6か月
腫れや痛みもなく順調のようです。
レントゲンでも副鼻腔が下に下がってきており正常所見に戻ってきてくれています。
副鼻腔が元の状態に戻ってきてくれている所を見るとこれは治るケースだなと思います。
ただよく見ると第一大臼歯と第二大臼歯の間に若干の透過像がありますが、これは第一大臼歯のオーバー充填(歯の外にはみ出した人工物)が原因の透過像だと思われるのでそれほど心配していません。
今回のケース、もう1回1年後のレントゲンを撮って終了となります。
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